武帝3  呉牛月に喘ぐ  

満奮まんふんは風が苦手である。


武帝ぶていの側に侍る際にも、

北側にある瑠璃の天窓が、

きっちり閉まっているのにもかかわらず、

いつ風が吹き込んでくるかわからない、

と怯えていた。


その様子が、武帝さまにとっては

おかしくって仕方ない。

なので、ちょくちょくからかうのだ。


すると満奮は、憮然と言い返すのだ。


の地方に、水牛がいるでしょう。

 水牛は、太陽が苦手すぎるせいで、

 月が出てさえ喘ぐ有様です。

 臣めも似たようなものです」




滿奮畏風,在晉武帝坐;北窗作琉璃屏,實密似疏,奮有難色。帝笑之。奮荅曰:「臣猶吳牛,見月而喘。」


滿奮は風を畏る。晉の武帝が坐に在らば、北の窗の琉璃の屏にて作れるに、實に密なるを似て疏となし、奮に難ずるの色有り。帝は之を笑う。奮は荅えて曰く:「臣は猶お吳の牛なれば、月を見たれば喘ぐ」と。


(言語20)




滿奮

三国志、魏の武将満寵まんちょうの孫。ちなみに皇帝の側に侍る人は散騎常侍、あるいは侍中と言う位にあって、要するにめっちゃ高官である。つーか満奮さん痛風かな?

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