曹操13 花嫁泥棒    

曹操そうそうは若い頃、

結構袁紹えんしょうとやんちゃをして遊んでた。


ある時、新婚カップルを見かけた二人。

にやりと、二人がヤバい笑みを浮かべる。


新郎の家の庭に潜り込み、夜を待つ。

そして夜、宴がたけなわとなっていた頃、

宴の行われていた屋外の天幕の外から


「泥棒が出たぞ!」


と叫んだ。


天幕の中の人は驚き、

外に様子を見に出てきた。


その隙をついて天幕の中に侵入。

新婦に短刀を突き付けて脅し、掻っ攫う。


やんちゃ……?


だが逃げる途中、道に迷うわ

袁紹は路肩の茂みに嵌って

身動きが取れなくなるわ。

そこで曹操が叫んだ。


「ここに泥棒がいるぞ!」


そりゃ袁紹もビビる。

新婦を放り出して脱出。


そうして二人とも逃れたとさ。

めでたしめで……たくねぇよ!



そしてこちらは、おそらく後日のこと。


花嫁泥棒の時のことを恨みに思ったか、

袁紹、剣投げの達人を連れてきて、

夜、眠る曹操に向けて剣を投げさせた。


ぇえ……。


ただその剣、寝床の少々下に当たり、

曹操には命中しなかった。


これは、次は上を狙ってくるな。


曹操、ベッドから降りて横になる。

すると思った通り、

剣は曹操の上を通過していくのだった。




魏武少時,嘗與袁紹好為游俠,觀人新婚,因潛入主人園中,夜叫呼云:「有偷兒賊!」青廬中人皆出觀,魏武乃入,抽刃劫新婦與紹還出,失道,墜枳棘中,紹不能得動,復大叫云:「偷兒在此!」紹遑迫自擲出,遂以俱免。

魏武の少き時、嘗て袁紹と好みて游俠を為す。人の新婚なるを觀、因りて主人の園中に潛りて入り、夜に叫呼して云えらく:「偷兒の賊有り!」と。青廬の中の人の皆な出でて觀たるに、魏武は乃ち入り、刃を抽して新婦を劫して紹と與に還りて出づ。道を失い、枳棘の中に墜ち、紹は動き得る能わず。復た大いに叫びて云えらく:「偷兒は此に在り!」と。紹は遑迫して自ら擲ちて出で、遂には以て俱に免る。

(假譎1)


袁紹年少時,曾遣人夜以劍擲魏武,少下,不箸。魏武揆之,其後來必高,因帖臥床上。劍至果高。

袁紹の年少なる時、曾て人を遣りて夜を以て劍を魏武に擲たしめど、少しく下がり、箸かず。魏武は之を揆し、其の後に來たるは必ずや高かりしと、因りて床上に帖臥す。劍の至りたるは果たして高し。

(假譎5)




袁紹

曹操最大のライバルですね。官渡かんとの顛末から、曹操に翻弄される立場として書かれることが多いです。ここでもそんな感じの扱い。

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