第5話 1ページ目

僕は目の前のトーストに目を移しながら、

「夜…寝れなかったんだ」

と、意味のわからない半笑いで答えた。


「……。」

貴志が僕の方を見ている視線を感じた。


慌ててパンを掴み、

ジャムも塗らずにかじりついた。

母さんが置いてくれたコーヒー牛乳を一気に飲み干して、

「ごちそうさまでした!」

と手を合わせた。


後から考えたら、とても怪しいが、

僕はそこまで考える頭はなかった。

とにかく、一秒でも早くこの場から離れたかった。

それだけだった。

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