第12話

「相談…か。改まってするのは初めてだな。」

「そうだね、ここじゃあれだから先生の部屋でもいい?」

「あぁいいよ、じゃあ行こう。」


「で、改まって相談ってなんだ?」

「さっきの先生のお話聞いたから、私からも先生に言葉送ろうかなって。」

「それ、相談か?」

「まぁそうだけど、一応ね?」

「そっか。」

「私ね、ずっと先生に支えられてきたの。私はずっと嘘をついてきた。しかも苦しい嘘。そのせいで、誰かといるのが苦痛だった。でも、先生のおかげでその苦痛も和らいだよ。もちろん、リラやひゆのおかげもあるけど、一番はやっぱり先生。先生といるのが一番私が私でいられるし、嘘をついても苦しくない。私、先生以上にそんなことを思える人いるかな…。」

言葉を選びながら、私は言った。そんな人いないと思いながら、それでも、先生の負担になりたくないと思いながら、私は言った。

「そういうことか。」

先生は少し考えてから続けた。

「なら、一番簡単な方法がある。俺と一緒にいればいい。」

「え…?」

先生の笑顔がとても優しい。

「お前が一番楽なら、俺といればいい。」

「ほ、本気で言ってるの…?」

「俺はお前と違って、嘘つかないからな。」

「でも、なんで…。」

「俺がお前といたいからに決まってるだろ。」

当たり前のように先生は言った。

「お前のこと、知りたいから、まず俺のことを話したいんだ。


俺は、お前が好きだ。」


先生の突然の告白に私は固まった。


「私も、好きです。付き合ってください。」


当たり前のように続いた自分の言葉にも私は驚いた。

気づくと私は、先生に抱き寄せられた。先生に抱きしめられながら、そっと唇に触れる感触にこれは現実なんだと、改めて全身で感じていた。

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ねぇ、先生… チェシャ猫 @vulpes6969

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