第5話 ブス パイパンになる。~脱毛編③~
施術前夜。いよいよ全身の毛を剃らなければならない。背中と肛門まわりは当日サロンでやってもらえるが、それ以外はアソコ回りも含めて全部剃り残しなくツルッツルにしておかなければならない。
いつも100均のカミソリしか使ったことのない私が、今回は奮発してドンキで貝印の税込318円レディースシェーバーを購入。3倍高いだけあって歯がでっかくてスイスイ剃れる。カミソリ負けやウッカリ切れちゃったりもなかった。丁寧に足と腕と乳と腹を剃って、いよいよVIへ…。
先にハサミでモジャってる部分をざっくり切ってある。そこにそ~~っとカミソリを入れていった。
最初は股を開いて覗きこみながら剃った。サロンのお姉さんには、性器の穴の部分の両側のモリッとしたところにも結構毛が生えているので、そこもキレイに剃ってくださいね☆と言われている。ホントにそんなとこにもびっちり生えててビックリする。ずっと覗きこんでいるので首が痛くなった。
ある程度剃れたところで、股間の前に鏡を置いて、仕上がりを見てみた。
おぉ……これは………。
へぇ~ほぉ~~。
へ~、こうなってたんだ。自分の身体なのに知らんかったなぁ~~。
昔なにかで、「男性は自分の性器を日常的に見ているけど女性はそうじゃない。女性も自分の性器がどうなっているか知るべきだ!」みたいな主張を聞いたことがあって、一回だけ鏡で自分のを見たことはあった。んが、毛が生えていると正直なんだかよく分からない。毛がないと構造がすごくよく分かって面白かった。ここに詳細を書くときっとお読みの皆様が気持ち悪くなるだろうしガイドラインに引っ掛かるから詳しくは書けないが、珍しくもなんともないはずの自分の身体なのに生命の神秘を感じてちょっと感動した。
感心しつつ、シェーバーをくまなく当てて綺麗に仕上げて完成。剃った毛をシャワーで流して落とすと……なんとも変な感じだった。
ツルッツルなのである。
いや自分でそうしたんだから当たり前なんだけど、今まであった毛がキレイさっぱりない。
むき出しのVの割れ目ちゃんを姿見で見てたら、なんだか昔のマンガに出てくる宇宙人の頭みたいだなぁと思った。ものすごい変な感じだ。
パンツを履いてからも微妙な違和感は続いた。
思ったほどチクチクしたり痒かったりみたいな不快感はないのだが…、長年あったモジャがない、割れ目ちゃんだけがフニョッとある感じが、なんとも頼りない。
トイレでペーパーで拭くときも、毎回ギョッとする。そして毎回ついじーっと見てしまう。そんなふうにじーっと見ているうちに、あることに気づいた。
脱毛って、毛の黒いとこに光を当てて反応させるんだよね?
私のここ結構…
ど す 黒 く ね ?
いや一応自分の名誉の為にお断りしておくと、私そんなに遊んでいませんよ!?あれですよ!!ここの色って黒い人は元々黒いんだって!昔保健体育の授業かなんかで先生が言ってたわ!
てなことはどうでもいい。
大事なのは、こんなに黒くてちゃんと施術してもらえるのかということだ。もしかして
「これじゃ黒すぎて機械にかけられませんね~」って施術お断りになったらどうしよう……。
実際、契約の時に渡された注意事項で、施術ができない場合として「肌が黒すぎる」というのが挙げられているのだ。
さらには、機械を避けなければならないシミや、ぶつけたり転んだりした時のキズの跡なんて、手にも足にもわんさかあるぞ……。あと、保湿もいくらニ○アを塗り込んでも塗り込んでもいつの間にか脛から白い粉ふいてんだけど。
こ、こんな身体のいったい何割くらいを、ちゃんと脱毛してもらえるのだろうか……!?
心配になって、なかなか眠れなかった。
ゴロゴロ寝返りを打って、覚えてないけど何だか脂汗をかくような夢を見て、明日が楽しみなような恐いような長い夜を経て、それでもやっぱり朝は普通にやってくる。
仕事休みで午後の予約だったので、いつもより少し遅く起きた。
当日の朝が普通にやってきた。
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