第6話 ブス全身脱毛完了。~脱毛編④~
予約当日。なんとか寝坊せずにサロンに到着。「今日の施術は長時間になりますので、お手洗いお済ませくださいね~」という受付のお姉さんの言葉にビビる。
施術の部屋に案内されると、施術台の上には前開きのホックがついた丈の短いガウンと、前がTバック状態になったすっげぇ紙パンツが用意されていた。これに着替えるために服を脱いだら、昨日の寝る前にもニ○アを塗り込んでおいた脛がやっぱり白い粉まみれになっていた。
(ど、どうしよう…。これじゃ施術してもらえないかもしれない……!)
とっさに私は、緊張でうっすら汗ばんだ両手のひらを脛になすりつけた。
嘘だと思われるかもしれないが、本当に本気で必死にやった。
「ちょわ子さ~~ん、お着替え終わりましたか~~???」
施術室の外からサロンのお姉さんの声がして、飛び上がりそうにビビる。
「あっはい終わりましたっ!」
するとお姉さんが入ってきて
「手足は乾燥しやすいので、先に保湿ローションを塗っておきますね~」と言って、何やらフローラルな良い匂いの液体を私の手足に塗りたくりはじめた。 ものすっごい脱力した。
(……なんだよぉ、乾燥してたらダメとか言われたけど、ちょっと粉ふいてるくらいならこれで全然大丈夫じゃん。心配して損した~~)
隣の部屋では先客の施術が行われているのだが、パーテーションの天井ぎわの隙間からレーザーのちょっとレインボー入った眩しい光が瞬き、バチバチいう音も聞こえてくる。光が尋常じゃなくビカビカ光っている。怖い。
が、怯えているヒマなどすぐになくなった。サロンのお姉さんに「ではうつぶせになってくださいね~」と指示されて施術台に伏せると、怒濤の施術が始まるのだ。
機械で施術するお姉さんと、背中やOの毛を剃ってくれるお姉さんとふたりがかりの分業で、施術と背面のシェービングが同時に行われていく。シェービングのお姉さんが襟足や背中を剃りつつ、施術のお姉さんがジェルを塗って機械を当てて…という具合に、てきぱきとした連携プレーでどんどん進んでいく。言われた通りに足だの腕だのを動かしたり、あっち向いたりこっち向いたり、襟足を押さえたり放したりしているうちに、どんどこシェービングが進み、ジェルが塗られ、機械が肌の上を滑っていく。
お姉さんがその都度「ジェルを塗りま~す」「レーザーを当てていきま~す」「お痛みはありませんか~?」と聞いてくれる。痛みはたま~にちょっとチクッとしたかなという程度。個人差はあるようだけれど、私の場合、例えるなら冬場に静電気でバチッとするのの10分の1くらいに感じた。そのたま~にある痛み以外はただ温かいだけ。肩の辺りを施術しつつ脇腹をシェービングされた時は若干くすぐったかったけれど、全然ちっとも苦痛はなかった。
二人のお姉さんがガンガン作業を進めていく様子が何かに似てるなぁ何だろうなぁと思ったら、回転寿司屋さんで見たマグロの解体ショー!あれだと思った。流れるような作業っぷりは、まさに職人技だった。
「Oラインのシェービングに入らせていただきま~す。パンツを下ろすので、少しお尻を上げてくださいね~」
シェービングのお姉さんに言われるままに、施術台の上でうつぶせのまま腰をちょっと浮かせて、その綺麗なお姉さんに向かって汚い自分のおケツを突き出した。
(ひいぃ、お尻丸だしだよう。今オナラしたくなったらアウトだわ…。あぁ……毛がジョリジョリ剃られていくのが分かる……!!)
と突然、このタイミングで、施術のお姉さんに「襟足の仕上がりをご確認くださ~い。顔を上げていただけますかぁ?」と、タブレットで撮った後頭部の写真を見せられた。
「襟足ですが、生え際がキレイなM字になっているので、それに沿って自然な感じに剃っています。いかがでしょうか?」
(うそぉ!ケツ毛剃られながら確認しないといけないのぉ!?この情況かなり面白いっつ~か…は、恥ずかしいぞぉ!)
「はははい!だだ大丈夫です!ありがとうございます!!」
動揺を隠しつつ返事をしている間に私のケツ毛はキレイに剃られ、そこにもジェルが塗られレーザーが当てられた。内心アワアワしているうちに身体の裏側は完了。ここでシェービングのお姉さんは退出、続いて仰向けになって表側の施術。最後に顔をやって、サービスのパックをしてもらって終了した。
ジェルを塗られるとき少しヒヤッとするのだが、お姉さんが「冷たいですよね!?」「この部位はかなり冷たいんですけど、頑張ってくださいね!」と励ましてくれる。緊張しそうなVIの施術も「剃るの大変でしたよね?」「キレイに剃れてますよ~!」と誉めてくれるので、和やか~な雰囲気に。もちろんそういうマニュアルがあるんだろうけれど、その声掛けの仕方が絶妙で、プロの仕事っぷりスゲェなぁ~と感心しているうちに、あっという間に2時間の施術が終了した。
あんなに心配していた手足の薄いシミや黒いVIも、普通に施術してもらえた。ホクロは保護シールを貼って避けていたし、顔にあったそばかすは避けてやってもらったけど、多少の色黒や手足に薄い小さいシミがあるくらいなら支障はないようだ。
すごかったのがやはりVIで、お姉さんが施術用のヒモパンのヒモの部分を際どいところまでグリグリ容赦なく動かして、本当に際っきわのところまで機械を当ててくれるのだ。一回急にお豆のあたりをグリッとやられて、思わずビクッと反応してしまったのだが、お姉さんは笑って「ビックリしますよね~」とサラッと流してくれた。
顔のレーザー照射は怖かった。目をしっかり閉じていてもハンパなくまぶしい。私ちゃんと目蓋とじてたかしらと心配になるくらいまぶしい。といってもまぶしい他には特になんてこともないのだけれど、これで恐がっている私はレーシック手術とか絶対ムリだなと思った。
さてさて、そうして一回目の施術は無事終了したが、果たしてブスに光脱毛は効果があったのだろうか。毎日ドキドキしながら様子を見ていたのだが……。
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