第3話 ブス脱毛サロンに上陸。~脱毛編①~

血眼で検索しまくった結果、脱毛をするには、どこのサロンでもまずカウンセリングとやらを受けないといけないと判明した。


あちこち比較して、自分の家の近くに店舗があって安そうで広告のイメージがキャピキャピ若すぎない某大手脱毛サロンに予約を入れる。


何しろこちとらイケてないブス歴37年、そんなリア充が行くようなとこ行ったことない。ドキドキしながら当日を迎えた。


この日のために、脱毛の動機(イケメンエリート外人を逃した)を面白おかしく語れるように脳内シュミレーションし、もしかしたらワタクシのムダ毛の現状をチェックされるかもしれないと思って全身すべての毛を剃らず伸ばしっぱなしにしておいた。


当日の持ち物は、銀行印と身分証明書とキャッシュカードがあるとすぐ契約できると聞いて、すべてFURLAのオシャレなポーチ(ただし雑誌のふろく)に入れて準備。


自分で考えうる限りの万全の体制で臨んだ。(のだが、それらの大半はムダな努力だったことを後で知ることになる…)



サロンの入っているビルの前には予約時間の15分前に到着。掌に3回人って書いて飲み込んでから、ビルのエレベーターに乗り込む。


ビルのエレベーターには撮っている画像が見える防犯カメラがついていた。映っている私は寝癖が直っていないボサボサの頭にファンデののりきってない青白い顔。毎日している顔剃りを今日はしていないために鼻下はうっすら青く、無難だろうと選んだ地味なアッシュブルーのセーターとジーパンと相まって、エレベーターのグレーの壁に完全に溶け込んでいた。


脱毛サロン行くよりこのままこのエレベーターの壁にぬりかべの如くへばりついていた方が私にはお似合いかもしれない。


そんな思いが脳裏をよぎった頃に、エレベーターはサロンのある階に到着してしまった。



ドアが開けば、まばゆいばかりの白い壁、ロビーっぽい所にはイングリッシュガーデンにあしらってあるような透かし模様の入ったこじゃれたテーブルと椅子が並ぶ。誰もいない受付で呼び鈴を鳴らすと、清潔感のあるキリッとした綺麗なお姉さんが出てきて優雅に「こんにちは~」と一言。


「こここんにひこんにちは!カウンセリングの予約をしているるちょわ子と申しますが」


「はい!ちょわ子様ですね。お待ちしておりました。あちらにおかけください。今ハーブティーをお持ちしますので」


……ハーブティー!


出されたローズヒップティーは特に旨くも不味くもなかったが、綺麗なお姉さん曰く美肌効果があるとのこと。エステサロンは出てくる飲み物もなんかリア充っぽい。


緊張でガクブル状態のままローズヒップティーをすすっていると、私のカウンセリングの担当の方がいらっしゃった。



「おまたせいたしましたぁ~~」

とやってきた担当のお姉さんは……



清潔感はあるけどちょっとポッチャリしていて、私よりは年下だろうけれど明らかに三十代の、物凄い美人とかオーラがあるとかじゃない普通の人だった。


(よ、よかったぁ~~!!普通の、ごく普通の、大人のひとだぁぁぁ~!怖くない!この人なら怖くないよぉぉぉぉ!)


何しろこちとらブス歴37年、美人とか若い子とかリア充とかそのすべてを兼ね備えたひととか、とりあえず怖い。違う世界の住人だと思っている。なので、ごく普通で年が近そうなお姉さんが来たとき、ものすごいほっとしたのだった。


たぶんサロン側も、年増に若い子つけても話あわねぇだろうと配慮してくださった上での人選と思われる。やはり大手サロンはいい仕事してるなぁ。


というわけで、ワタクシそのごく普通の担当のお姉さんにカウンセリングを受けたのだが、そこで私はこれまで全くご縁のなかった脱毛やエステサロンのしくみを詳しく知って軽くビックリすることになるのである。


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