附録(extra)

仙人名鑑④〝白魂蝶〟チャ・ノイフェン

名前:〝白魂蝶はっこんちょう〟チャ・ノイフェン(かい瑞聞ずいもん

年齢:26歳(1308年秋現在)

種別:特異とくい魂魄者こんぱくしゃ剪式せんしき霊魂れいこん

出身:大閻だいえん帝国ていこく媽京まきょう特別行政区


▽ノイフェン

好きなもの:未来ある子どもたち、ピアノ、学校、両親

嫌いなもの:危険なもの全般、塾の月謝滞納者

趣味:読書と小説創作(ホラー多め)、怪奇映画鑑賞


▽白魂蝶

好きなもの:美容化粧品、宝石類、強い男を殺すこと

嫌いなもの:ノイフェンのダサさ、臆病、弱虫、獲物を奪われること

趣味:化粧と鍛錬

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 チャ・スーフェン(かい子聞しもん)とヤン・ノイ(甘瑞かんずい)の夫夫ふうふに育てられた養女。元は媽京の捨て子であり、拾われる前の記憶はない。

 ※閻を始め多くの国では、婚姻とは「互いに同意した成人」によって行われる神聖な権利である。同性婚が認められない国や一夫多妻制、一妻多夫制の地域もある。


 幼い頃に身の丈ほどもあるはさみを背負った仙人〝流纏るてん道人どうじん〟に遭遇しており、彼の手で【魂】を真っ二つにされ、二重人格となった。本人はその名前を覚えていない。


「ノイフェン」と「白魂蝶」は二つに分かたれた【魂】が、繰り返し入れ替わりながらそれぞれに経験を積み成長していったもので、どちらが本来の人格ということはない。どちらも、チャ・ノイフェンという少女が成長していった結果である。


 白魂蝶に殺師ころしやとしての武術を伝授した師は、養父スーフェン。彼はかつて媽京に存在した黒幇やくざ晩鐘幇ばんしょうほうお抱えの殺師〝黒爪虎こくそうこ〟であった。


 ノイフェンは、幼い時分には漠然と「がっこうのせんせいになりたい」という夢を語っていた。それを受けた養父のヤンによって、高等教育を受けている。

 そして中学校(閻では初級中学と言う)時代にある恩師と出会い、教職を目指すことを決意。しかし白魂蝶の存在から様々な問題を起こし、せっかく教員として採用されても退職に追い込まれたため、自ら塾の経営に踏み切ったのであった。


 武器は黒壇のような素材で出来たかし櫛型の樹巧きこう暗器あんき黒翅風こくしふう〟。

 高い硬度を誇る鐵顛樹てってんじゅを職人の手で加工し、櫛になってなお宿る樹霊に内力を与えることで、櫛の形から鉄爪に変形する。二組一対の愛用品である。


 人格の交替(変心スイッチ)には特別な条件はない。

 必要なのは、互いの意志が一致することだけである。しかしそれだけに、危険な戦いに出たくないノイフェンは、しばしば変心を拒み、白魂蝶もノイフェンの臆病風が疎ましいため、変わりたがらないという問題が起きる。

 最終的には、彼女たちの両親がそれぞれに説得することも多い。


 数奇な運命と殺師としてはひとかどの戦闘力、相反する二つの心を持つ女性。過去の経緯と、コージャン師弟に関わったことから、彼女も仙縁せんえんある人間のようである。

 その行き先にあるのは、果たしていかなる未来か。

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