ⅱ
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古式ゆかしい
雪として地上にふることこそが至上の喜び。そう考える水の粒子はいまだ多く、叶わなかった夢をわが子に託して
いいですか、お母様。入学可否を判断する三者面談の場で教師は言う。この世界において、われわれはなくてはならない存在です。雨は大地をうるおし、川や海は生命を育む。雲は気候を創造し、血や汗や涙は動物を動物たらしめる。われわれは必要不可欠な労働者だ。雪になるものは、と教師はそこでもったいぶって言葉を区切る。
雪は、その求められる機能をこえて、うつくしくあらねばなりません。おわかりですか? と教師は言う。母親はふかぶかと首肯する。
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