後方確認は腹がよじれる

 日本の自動車は道路の左側を走行し、運転席は右側にある。

 運転免許をお持ちの方は、「バックをするとき、左側から(助手席のほうに)振り向いて、目視で後方を確認」の経験があるはず。

 これを、を閉じたウィンクの状態で、やってみていただきたい。真後ろを見るために、どれだけ身体をひねらなければいけないか。

 ……右回りなら、首で振り向いて、あとちょっと肩を後ろに回せば見えるんだけどなぁ(左目弱視)。左回りは、完全に腰を浮かして、全身で後ろを向かないと無理だった。


 上記は完全に目のせいだが、下記は、単に私がどんくさいだけかもしれない。

 とりあえず、自動車運転関係で困ったことを列挙してみる。


   ◇


 私が取ろうとしたのは、普通自動車のAT限定免許だ。

 自動車学校では、座学の学科教習と、実際に車を運転する技能教習を受ける。

 車にはMT(マニュアルトランスミッション)車とAT(オートマチック)車があるが、AT車のほうが操作が簡単で、免許取得までに最低限受けなければいけない技能教習の時限数が少なく、費用も安い。

 技能教習の第一段階は、自動車学校の敷地内コースでの場内教習。


 ……「受けなければいけない時限数」の、かかったよ……。


 私がクリアまでに最も時間を要した項目が、「適切な位置を走行する」。

 右側に寄っていく傾向があるらしく、自分がいる車線の真ん中を維持できないんだよねー。


 やっとクリアできたと思ったら、次なる鬼門は「左折させつ」。

 曲がる前に、車線の左側に車を寄せないといけないのだが、充分に寄せ切れない。

(左に、バイクなどがすり抜け可能な隙間が空いていると、車が曲がる際に巻き込んでしまうかもしれず危険なのである)

 同じく左寄せが必要になる「停車」も、一発クリアはできなかった。



 私、車体の横幅と道路との位置関係の把握が、とことん苦手のようで。

 免許取得後、当時の生活圏で2年は実際に運転したが。

 中央線センターラインのない道路は、車のすれ違いが可能かどうか、全く判断できない。

(すれ違う現場を目撃したら「可能」という事実は記憶するが、自分の目測ではどうしても、可能だという確信を持てない)

 怖いので極力、中央線のない狭い道路は走らない。

 雨の夜は、濡れた路面が街灯や信号で光り、中央線が見えにくく怖いので走らない。

 雪が積もったら、中央線が(後略)。

 ……「悪天候や寒い日でも、快適に目的地まで移動できる」というのが車の利点の一つだと思うのだが、全く活用できん……。


   ◇


 第一段階の技能試験と学科試験(ここで再び視野しや検査)に合格して、仮免許を手にしたら、第二段階の路上教習へ。


 路上に出たら、左折より右折うせつが怖かった。

 交差点の中は別にいい。問題は、その前の車線変更だ。車線が複数ある道路では、後ろから来る車に注意しつつ、一番右へ移動しなければならない。

 ……私、自分が歩行者で歩道に静止しているときに、走ってくる車の速度がわからなくて、信号がないところで道路横断できないんだよね。

 自分が車で走ってて、相手も走ってるから、難易度アップするんだよ! 「サイドミラー見ればわかる」って、理屈はそうだとしても、怖いものは怖い。


 あと、実は救急車のサイレンが怖い。

 救急車が通るときは、車を左に寄せるなりして道を空けなければいけない。

 しかし私は片耳難聴のため、その救急車が後ろから来るのか横から来るのかも、音では判別できないのだ。

 運転する知人は「どっちから来ようと、その場で停まるだけだよ」と言うが、来る方向を想定して心構えできないのは、めちゃくちゃ焦る。



 2年運転した土地は、最寄りのコンビニまで徒歩40分、スーパーまで12 kmとかで、歩行者も対向車も滅多にいないので、トロトロ運転しても問題なかったのだけれど。

 そこから引っ越すときに、車は手放した。現在はペーパードライバーである。

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