第2話 掃除1
本日の白猫さんはアオを迎えるために部屋の隅々まで掃除中。
家はお城までは大きくなく館ぐらいのサイズだ。
それでもやっぱり一人で掃除するには大きすぎる。
「はぁ~あ。こんなことならもっと早くから掃除しておけば良かった。いつもの奴かと思って何もしてなかったよ」
とかなんとかグチグチ言いながらも手は動かす。
だけど悲しいかな普段使い慣れてないせいか思いのほか進まない。
そうこうしてるうちに時計が12時の鐘を鳴らす。
「やばっ、もう来ちゃう!ええ……ええい!全部ここに入れちゃえ!早く迎えに行かないと」
部屋に落ちてた衣服やらなんやらを全部クローゼットにほん投げてバタバタと外に迎えに行った。
外ではアオがウロウロしていた。
「こんばんはアオ」
「こんばんは白猫さん」
「突然ですけど今日は私のお家を案内します。のでついてきてね」
「あ、うん」
と、言うと白猫さんは私の手を引っ張って家の方へ連れてってくれた。
「着いたよ。これが私の家」
「これまた豪勢な」
「と言ってもいつもは二部屋ぐらいしか使ってないけどね」
ドアを開けるとそこには綺麗な洋館ではなく、天井にクモの巣、絨毯は真っ黒、手すりには埃。
「ねぇ……掃除した?」
「うん!」
いやそんな自信満々に言われても……汚いとは言いづらい。
でもこれは本日は大掃除案件だな。
「聞くけど、どこら辺掃除した?」
「全部!」
ああ、ダメだ。この子掃除がよくわかってないタイプの子だ。
「まあまあ。いろんな部屋を案内するから付いてきて」
私は取り合えず言うことを聞くことにした。
「まず最初、大広間!」
黒い絨毯の上に謎の物体がこびり付いてる。テーブルの上にはもれなくカビたパン。
「次に風呂場!」
随分とカラフルに染まった湯舟だな。
「次はキッチン!」
なぜか冷蔵庫の中に凍ったネズミが。
「ここはトイレ!」
やばすぎるのでノーコメント。
とまぁ、色々紹介されたがもれなく全部アウトだった。
今までこんなところに住んでて病気にならなかったのが不思議なくらいだ。まあ夢に病気があるのか知らないが。
それでも自分が寝る部屋だけは掃除が行き届いて綺麗だった。
「白猫ちゃん。掃除しようか」
「あ、やっぱり汚かった?にゃはは……」
こうして本日の夢の内容は決まった。
白猫さんと私の夢物語 @tetra_kanon
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