「ホムンクルスが本当に知性を持っているかどうかをテスト」するというテーマは、ロボットやAIが溢れている中では、珍しいものではなくなっているかも知れません。ですが、このお話は、ホムンクルスでなければならないのです。ロボットやAI、クローンですら成立しない、不思議な作品です。
人間が人間に近似する存在を作ることは、常に哲学的な設問を孕む。「意識とは何か」という問いは、首元にあてられた鋭利な剃刀だ。その剃刀は、人間に赤い血を流させるのか。それとも、人間に近似する存在へ振り上げるのか。この物語に怯えよう。あなたの首筋にも、もしかしたら剃刀が……。
綺麗な美麗な修辞を使いながらくどくなく読みやすい文章がさすがにレベルが高いとしかいえないです。物語についてはネタバレになるのであまり深く言及できませんが、創作をしている人は、刺激を受ける作品だと思います。特にSF的な設定とファンタジーの融合とか、WEB小説で、そう言ったギミックをどう使うか考えている創作者の方ですね。すごくよかったです。