第6話 「ニートは外に籠る!?」

いかなる状況においても微妙な立場にいるニート。

現在では”外に籠るのが”主流である。

 新ソーラーパネルの完全自動車の発展型とも言える完全自動運転するキャンピングカーが生まれる。通常の一軒家なら2軒程度余裕で賄える電力を一つのキャンピングカーに集約し、あらゆる機能を付加・向上と資源のリサイクルをさせている。

しかし、なぜこれがニートと関連するのかは説明しなければなるまい。


 性能が向上したキャンピングカーでも新ソーラーパネルの電力は十分余裕があり別の事に使えた。そこにニートを住まわせ管理させようというのだ。

そこに目を付けたのが”企業と役所”である。

 重要な警備でないにしろ巡回がある無しでは大きく違いそれがカメラ搭載なら安全に貢献できると踏んだからだ。数時間おきに徘徊する数台のカメラは数台連携してあらゆる道を行く。”数台”なのは単体で何かあった場合その情報の正確性と安全性が問われる場合があるからだ。

 企業や役所はキャンピングカー所持者との契約時にカメラと通信録画用の器材BOX(故意に開けると契約が無効になる)を取り付ける。定期的に器材の安全と予備データの回収の為に食事を配布配給し、その時にBOXの交換やデータチェックを行う契約をしている。BOXのデータと送られてきたデータはAIが自動判定し、問題があった場合は対処する。

 契約内容は雇う側のリスクも考慮されあくまで独立した画像提供者ということになっている。きちんと雇った上で死亡してしまう場合、色々と面倒になるので「企業と個人の取引」という形に収められている。一部(主に関西)の人情社長は”それでも社員だ!社員扱いにする!”と声明を出し一躍時の人になった。


 この完全自動キャンピングカー監視システムの試みは世界からも多くの注目を集め、初期投資は大きいものの投資額の回収と軽微な儲けと何より家族の食事の世話がいらない事を考えると、半ば寝ててもいいような仕事は当然ニュースになった。ただし、未来への貯蓄はほぼなく趣味に使える金額もないが、副業込で考えたり老後の職にも向いており割と人気のようだ。

 次にルートの事だがある程度は自由が利く。が犯罪防止の関係上(ストーキング・のぞき等)あまり狭いエリアで固定できないような選択ものが主流のようだ。そして一部の性癖者・・・いわゆる”ロリコン”もニートの中にはおり、その趣味に合ったルートになった場合は巨大掲示板への熱い書き込みが多くなるらしい・・・・・。ただ眺めるだけの不接触を徹底している部類も存在しており、その部類の人間が巡回する日は警備コメント(あそこの壁は低くて侵入され易いのではないか等)なぜか異常なまでに徹底される報告もある。そして逆に”観察”に熱心な者がいる場合もある。前科や児ポ法など照らし合わせ出来るだけ問題ない人物を配置する。・・・が!ある時声掛けの事例が発生してしまった!このような仕事の場合は二度と復帰は望めないことを認知させるために法的にも処罰的にも徹底された。しかし、その内容は・・・・巡回の”男性”が”男子高校生”に声をかけキャンピングカーに連れ込みわいせつな行為をしたという事案だった。またもやロリコンか?とそういうことに食らいつくマスコミは構えたが、「ちょっとジャンルが違った」という微妙な話だった。ただしネット上のツッコミは盛り上がったという・・・。

 

 話は逸れたが、キャンピングカーの内部で普通に生活が出来るレベルまで機能が向上した。シャワーや洗濯・炊事等の排水も洗剤性能の向上や簡易ながら側溝に流せる程度まで浄水できる小型水質浄化装置が開発されている。災害時にも移送出来る為、あらゆる場所で活躍しているようだ。簡易的なものでもどの山間部の川水や湧き水等を使用しても、ほぼ普通に使えるようになるという。

 次に車載トイレである、車内設備で一番電気を食うのが汚物処理装置である。プラズマ汚物処理装置はプラズマを発生させ汚物の性質の分解・変化をして”ほぼ臭いの無い土”同然まで変化させる。その”土”自体は地味に工業素材になることから企業や役所は無料回収をしている。一般家庭には無用の話だが微々たるものながら金銭になり社会貢献できるものとしてその筋では注目されている。


 ニートは独立した部屋を持ち、家庭によっては厄介払いができる+アルバイトみたいな契約だが職には付けるし食事の世話もしてくれるので貯蓄のある家庭はキャンピングカーの購入に前向きに取り組んだという。

 

そして時代の変化に対し法律の改正が行われたが「電気の出力一つでここまで(法律が)変われるのか」と議員達はボヤいたという。

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パラレル狂想曲 もう一つの日本! 庵乃 云(アンノウン) @full_hasuto

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