第5話「”完全自動”車とニッポン」

日本は新ソーラーパネルをエネルギー源とした完全自動で動く車を完成させる。

ドライバーを必要としない・・・・・・ある意味安全に多くの人を乗せることができるようになった車の誕生である。

運転はGPSや赤外線等各種センサーを利用したAIがメインを担当し、そして縁石や中央分離帯と自車と他車に電磁力や電波を利用した補助誘導装置で二次誘導を行っている。


しかし、この完全自動車は・・・・普通車タイプのみ”国の物”である。タクシーの様に常時車が徘徊・もしくは各エリア(自動立体駐車施設)に自動収納されている駐車場から発進する。指紋や網膜認証のスマホ等で行先を申請。近くを通っているor近くから発進してくる車に乗るだけである。

しかし、ここから少し違ってくる。目的地の行きがかり上の序や被った場合は相乗りになるのである。プライバシー保護として仕切りや周囲窓が乗降時(100M付近)及び搭乗中は互いにに曇りガラスになる仕掛けがある。自分の端末のマップ上の現在位置はわかるものの、他の利用者が誰(性別年齢)で何人なのか分からないように配慮してある。これによりか弱い女性や子供でも一人から利用出来るようになる。


国有化には幾つかの意味ある。

 まず第一に安全である。飲酒・病気による人間の運転防止、と運転技術の未熟なドライバーによる事故。そして運転すると突如豹変する人間・・・煽り運転手である。この手(煽り運転)の動画を観たことあるだろうか?明らかに異常な状況が窺える。煽り運転手が他のドライバーを引きずり降ろしたり妨害行為を行った挙句事故を引き起こし死亡者まで出している・・・・・・。そして、とある議員の息子が煽り運転手に暴行を受ける被害に遭う。政治的にはこれが起爆剤となり「絶対に運転させない為の車開発の運動」が始まり”完全自動”車が完成する。そして、端末による身分証明により何かあっても責任を追えるようにしてある。

次の意味は、土地と税金の関係である。東京のような都会だと土地の関係で車が要らない、というかでデメリットが多いという状況が収入差で発生したりする。その場合、車の税収が偏り気味になる。金銭苦からくる「若者の車離れ」を解消する狙いがある。自動車税のではあるが、完全自動車利用税と名目になっている。ただし、東京のような大都市はそう簡単に交通事情が改善されているわけでなく地下道路や立体車道の工事が連日連夜行われている

 次に盗難防止である。政治上国交が芳しくない国(主に近隣国)が不正入手(新ソーラーパネル目的で盗みを)したがっており、それを防止する為に国有化とし法律と警察を整理した。警察の交通課は地域課と統合され地域交通課となり緊急時には手動ドライビングもできるパトカーでほぼ外を巡回する形(階級が一定以下は巡回員)になっている。これにより退職した元警官も完全自動パトカーで巡回、緊急時の補佐・応援が出来るように再雇用されている。

 

さて、エネルギー問題は新ソーラーパネルにより解決したが、メンテナンスは定期的に行わなければならない、それに伴い自動車バブルがやってくる。

 元々自動車生産していた企業が国から受注・メンテナンスを行うようになる。完全自動車に移行しても生産における業界内の順位はあまり変化なかった。メンテナンス重視で業績を伸ばした企業も少しは出てきた。

 収入が多ければ女性週刊誌(ネット上)でも取り上げられるようになり、そのような情報に踊らされ合コンで自動車関係に狙いを定める女性が増える。当然クルマ女子(?)という妙なジャンルも出来上がる。

 道路工事も完全自動車の誘導用縁石の工事需要により向こう数十年は固い(暇がない)職業といわれ、完全に人手が追い付いていない状況下にある。田舎道の道路工事には良い手当がつくので、それを目当てに転々とし稼いでいる者もいるようである。ついでに道路工事受注による汚職事件も増える。

 完全自動車用の整備士と資格が大賑わいになる。専門・工業高校でも専用の課が出来るくらいである。大手企業になるとシフト制でメンテナンスを行い、これにより完全自動車の安定は支えられることとなる。

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