骨を探す女

 

 骨を探す女

 

 海辺の砂浜を独りで歩いていると

 

 独りの女が手で地面を掘っていた

 

 まだ若い女であった

 

 ワンピースを着て

 

 潮風に黒い髪を靡かせて

 

 貴女は何をしているのか

 

 私がそう訊ねると

 

 女は微笑んで答えた

 

 亡くなった恋人の骨を探しているんです、と

 

 私は突然怖くなって逃げ出した

 

 翌日訪れてみると

 

 やはり女はそこにいて

 

 昨日と同じく掘っている

 

 女はこちらを振り向くと

 

 満足そうに笑って

 

 死んだ魚の骨を片手に

 

 おかげ様で見つかりました、と言った

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る