あたたかな居場所探し

優空

第1話

私の安らげる場所、ずっと探し求めていた。誰の機嫌も伺わず、心安らぐ…温かい居場所。


私は、この家の長女として生まれた。二つ歳の離れた妹と四つ離れた弟がいる。両親は、とても厳しい人だった。…私だけに。機嫌が悪いと私へ厳しい視線が来て、手伝いが出来ていないと怒鳴られ平手打ちや、げんこつ。食事も葬式のような静けさの中、箸の持ち方や食べ方が違うと怒鳴られ叩かれ、美味しく食べた記憶がない。

しかし、外出先では全く違う関わり方をしてくる。愛情たっぷりな瞳であだなで呼んでくる。この時間だけは怒られる事はない、安全だ…。子ども心にそう思っていた。

中学へ上がった頃からだろうか、母から無視をされ続けたのは。挨拶は辛うじてするが、会話を求めても無視をされる。父は助けに全く入ってはくれない。弁当は妹も持っていくので作ってはくれるが、私のだけは弁当箱に詰めてくれない。

高校生になり、更には私の洗濯物だけは洗わないと宣言された。私は、ここにいて良いのだろうか…。毎日思いながら、でも帰る場所はここしかないので帰るしかない。息苦しかった、機嫌を伺いながらの生活も疲れた。体が鉛のように重く感じるようになった。休日は起き上がれなくなってしまった。でも母はそれを見つけると「何怠けてる!だらだらしてないで家の事やりなさい!」と怒鳴りつけ、機嫌が悪くなるので、母が部屋に来る足音が聞こえると、すっと起き上がりその場をしのいでいた。一日中これが繰り返されていたので、常に神経はビクビクして心も体も休めなかった。

こんな時に友達という存在があれば違ったのだろうか。その頃の私には、心の内を話したいという友達が居なかった。

ひとりぼっちだ…といつも感じていた。

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あたたかな居場所探し 優空 @yura10

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