すいりゅうさんの美しい描写に見惚れ、読み始めた作品。
けれどもそれ以上に、とかげくんの純粋で温かい想いに心奪われました。
すいりゅうさんに少しでも近づきたいと努力する姿や、辛いことがあって心を揺れ動かしながらも前へ進んでいく姿に、読んでいてこちらが勇気をもらえました。
「好き」って気持ちは、きっと恋愛だけじゃない。
だれかへ純粋に憧れる気持ちや、一生懸命頑張る姿を応援する気持ち、
だれかの成長を見守る気持ちや、どんな状況でも相手を信じる気持ち。
この物語には、たくさんの「好き」が詰まっています。
甘く美しく、愛に溢れたファンタジー。ぜひ、温かな想いに包まれてください!
愛らしい話が好きな人。
優しい話が好きな人。
世界はけっして悪意ばかりじゃないと、語ってほしい人。
そんな方にオススメしたい長編です。
平仮名が多く、子供にも読みやすい“とかげくん”のパート。
とっつきやすく、するすると世界に入っていけます。
小さなとかげくんの可愛さに、頬が緩む人も多いでしょう。
対して、彼が憧れる“すいりゅうさん”のパートは、朗々と美しい言葉を紡ぐ幻想文学タッチで進みます。
2つの文体の違いを楽しみつつ、中盤に差し掛かる頃には、彼らが人に思えてくるかもしれません。
でも、これは龍が天を駆けるファンタジー。
人の理でくくれない出会いと別れが、後半以降、スケール大きくうねり始めます。
涙も笑いも、冒険も恋愛も、これでもかと詰め込んだサービス満点の一編。
そして何より、飛び切り甘い。
優しさを求めるなら、さあ、とかげくんの世界へGO!
主人公、とかげくん。名の通り「とかげ」です。
子供のとかげには大好きな人がいました。
それは「すいりゅう」という大きな存在。
絵本のようなテイストで始まり、とかげくんの無邪気な可愛さや一生懸命な姿に癒されるでしょう。子供ならではの純粋な気持ちが読み手の心を強く刺激し、忘れてしまいがちな大切なことを気付かせてくれるはずです。
物語は中編に差し掛かると、絵本の雰囲気が変わり大人向けの繊細な心模様が描かれています。大人向けと言いましたが、実は子供が読んでも伝わるものは沢山あると思いました。子を想う親の気持ち。この物語には様々な人達の愛情が交錯しています。子供時代に本作を読んだなら、大人になってから読み返したいと思う作品になるでしょう。
後編は……
是非、読んでみて下さい。
波乱万丈な生き方の上に存在する安らぎをお楽しみ下さい。