【コラム】第4回『スペシャルアクションフィギュアの謎』

みなさんは、ファンタスチック・バンパイアのフィギュアが存在することをご存知でしょうか?

その名も『ファンタスチック・バンパイア スペシャルアクションフィギュア』。

フィギュアコレクターの間では度々思い出したかのように話題に上がる、曰く付きのフィギュアです。

今回は、そんな一部界隈では有名なアクションフィギュアについてお話しましょう。


『スペシャルアクションフィギュア』は、前回お話した最初のアニメ版の放送に合わせてアメリカで発売されていたフィギュアで、wave1として3種類発売されました。

ですが、アニメ版が3話で打ち切りなったため、フィギュアもそれ以降続くことはなく、wave1の3体のみで終了しました。


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No.001『マイキー・マックイーン』


ナンバリングが3桁目まで用意されているのが哀愁を誘いますね…。

サイズは4インチほど。見ての通りゴリゴリのアメトイで、造形も甘く、塗装が雑なので、顔が怖いです。

デザイン自体はアニメ版をベースにしているようです。


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頭部と左肩が可動します。

このスペシャルアクションフィギュアシリーズには、可動とは別にギミックがついていて、マイキーの場合は、小さい魔道書が付属し、右手に持たせ、背中のレバーを引くことで、右腕が連動し、本を投げます。

投げてどうする!!

ちなみにこの本は、原作では特に名前がついていませんでしたが、パッケージ裏では"ネクロノミコン"と説明されています。

ネクロノミコンだったのか…。


このマイキーは、主役ということもあり、製造数が多かったようです。しかし、ギミックもデザインも地味で人気がなく、未だにリサイクルショップ等でよく見かけますね。


☒no2.jpeg


No.002『アイスマン』


「誰?」と思われた方も多いかと思いますが、アイスマンはアニメ版第2話に登場するオリジナルキャラクターです。

ジャックに召喚された悪魔のひとりで、氷の身体を持ち、学校を氷のダンジョンに変えて、マイキーたちを苦しませましたが、最後は松明で溶かされました。


見ての通り、フィギュアというよりはただの型です。では、どうやって遊ぶのかというとですね…。

型の中に水を入れて、冷凍庫で凍らせるんです。そして、凍ったら、型から取り出します。すると、氷で出来たフィギュアが完成するというわけです。


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出来たフィギュアは氷の塊なので可動もしませんし、商品自体はただの型なのですが、この大胆な発想が好きで、個人的にお気に入りです。

ですが、アニメオリジナルキャラであることや、実際に遊んでみないと魅力が伝わりづらいことから、かなり不人気で、いまだに新品のデッドストックが大量に出回っている状態です。

わたしが持っているのも、サンタの倉庫で30円で売っていたのを見つけ、買おうとしたら、お金は払わなくていいから、店の在庫を持っていってくれといわれ、ダンボールに入ったままの状態でもらってしまったものです。

なので、わたしの手元には12体のアイスマンが……(笑)


その入手の容易さから、ネットでは結構いろいろ遊ばれており、色付きの水で作ってみたものや、ジュースを固めて"食べられるアイスマン"を作ったり、特に有名なネタでは、『お菓子屋で、変な形のクッキーが売られていると思ったらアイスマンだった』という話があります。

一家に一体アイスマン!あなたも見かけたらぜひ手にとってみてはいかがでしょうか!

というか、うちのをもらってください!!


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No.003『バニラ・バンパイアプリンセス』


"マックイーン"ではなく、"バンパイアプリンセス"なのは、アニメ版に準拠。

実は、原作で最初の単行本が出た際のキャラ説明の、"マックイーンはマイキーの名前を借りているだけで、本当の名前はバンパイアプリンセス"というものが原典で、いまではすっかり忘れられた"バンパイアの名字は、人間のそれとは違い、階級を表している"という設定の名残りです。


コレクターの間で、よく話題に上がるのはこのバニラです。


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後ろから見ると完全に板ですね……。

画像を見ていただければわかるかと思いますが、板に貼り付いたような造形になっています。横から見ると、後ろ半分が完全に板なのがわかります。

プロポーションうんぬん以前に、"立体的な絵"とでも表現すればいいのでしょうか…?非常に独特な造形です。腰の部分にある大きなヒンジも目立ちますね。これらの特徴は後述するギミックのためであります。


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可動は両腕のみ。後頭部が埋まってるので、首も回りません。

トライデンタルが付属し、手に持たせることができます。

灰色一色でかなり地味。というか、作中であれだけ"三叉槍"であることが強調されているのに、二叉です。なぜ……?アニメ版でもトライデンタルだけはちゃんと三叉でした。


☒no3_ skirt.jpeg


このバニラは、マイキー、アイスマンと比べるとかなり手の混んだ造りになっているのが特徴で、それを象徴するのが、このスカート。

わざわざ別パーツで作られていて、PVC製の軟質パーツが、本体にネジ止めされる形になっています。

しかし、かなり古いものなので、経年劣化でパリパリに……。いま市場で出回っているもののほとんどは、このスカートパーツが破損するか、欠品しており、パンツまるだし状態です。

パンツもあまりありがたくない造形で、そのもっさり感から、白ブリーフなどとよくネタにされていますね。


そして、ここからが、メインギミック。

腰のヒンジを中心に、前屈するような形で折りたたみます。ちょうど旧世紀の携帯電話のような感じです。


☒no3_change.jpeg


すると、こういった形になります。

そう、本です。

このバニラ、本に変形するんです。

さすが自由の国アメリカ、我々の想定の遥か斜め上を行く恐ろしい発想です。


このギミックのおかげで有名になり、他の2体が二束三文で売られているにもかかわらず、ジャンク品でも1万弱、スカートが無事なら10万は下らない価格で取引されています。

わたしは、今回紹介したものの他に、新品未開封を1体と、パンツまるだしのジャンクを2体所持しています。

実は今回紹介したものは、海賊版です。当時品は変形させようものなら一発でスカートが砕け散ります。


で、実はここからが本題。

当時発売されたのはこの3体だけですが、パッケージの裏をご覧頂きたい。


☒package_1.jpeg


真ん中にフィギュアの写真があり、その下にギミックの説明が書かれています。

で、見てほしいのは一番下の段。"ラインナップ"として、他の2体のフィギュアの写真が載っているのですが、一番最後に"COMING SOON"という文字とともに、実際には発売されていない4体目が載っているのです。


☒package_2.jpeg


写真が小さいのでわかりづらいてますが、よく見ていただけると左腕がチェンソーになっているのが、お分かりいただけるかと思います。そう、ジャックです。おそらくテストショット(未完成の試作品)だと思われ、頭部が塗装されておらず肌色一色なのがわかります。

写真が存在するということは、このフィギュアも存在するということです。

マニアの間では、様々な憶測が飛び交いました。マイキーのフィギュアをCGで加工したものではないかとか、すでにテストショット品は処分されてしまったのじゃないか、とか……。


そして、つい先日、なんとこのジャックがオークションに出品されたのです!


みなさんは知らなかったかと思います。なにせ、他の人に知られまいと、みんな隠れて入札しましたからね。

そして、先に謝らせて頂きたい。これを読んでいる方の中に、入札したという方がいらっしゃったら申し訳ございません。


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わたしが購入してしまいました!

最終入札価格、63万円……。

これを手に入れるために四苦八苦しておりまして、前回のコラムで言った更新が遅れた理由というのがこれであります。


お詫びと言ってはなんですが、たっぷりとレビューしていきますので、ご勘弁を。


☒jack_2.jpeg


これが、あのジャックです。

みなさん、違和感を感じませんか?wave1のパッケージの画像と見比べて見てください。

オークションで写真を見た時は、あまりの興奮で気が付かなかったのですが、"右手が"チェンソーになっているのです。

さらによく見ると、シャツのエリのy字の造形も左右逆であり、パッケージ裏の写真は左右を反転したものだったことがわかります。


全体を見ていきましょう。未塗装の肌色一色の頭部が不気味ですね……。アニメ版のジャックはかなりの肥満体型でしたが、フィギュアはすらっとしています。ですが、似せようという気はあるのか、特徴である黒いジャケットは塗装で再現されています。

そう、塗装なんです。小さい写真だとわかりませんでしたが、ただのTシャツを白黒で塗り分けることで、ジャケットを着ているかのように見せているだけなんです。


☒jack_3.jpeg


可動はマイキーと同じ。左肩と頭部。

ギミックは、背中のレバーをひくと、右腕が連動して動き、チェンソーを上下に振ります。

また、チェンソーの胴体部分にあるスイッチを押すことで、チェンソーの刃を発射できます。

ツッコミどころのあるギミックではありますが、本に変形するバニラを見たあとだと、いまいちインパクトに欠けますね……。


とまあ、ここまでいじってきて、あることに気が付きました。


このジャック、マイキーのリデコですね…!


☒hikaku.jpeg


2体を横に並べて見るとわかりやすいかと思います。

胴体と左腕のパーツは色以外完全に同じものです。

マイキーはTシャツを着ていたため、ジャックでは、ジャケットが塗装で再現されていたのです。

また、背中のレバーと右腕が連動するギミックも同じ。このギミックを使い回すために、ジャックのチェンソーが右腕になっていたのでしょう。


ここに来て手を抜くか……。


バニラを変形させるパワーをこっちに使うべきだったのではないか、とか思ってしまいますが、結局このジャックは発売されることはなかったのだから、これで良かったのかもしれないですね。



さて、次回は本編の更新です。

第一部最終回!

"大いなる禍"とはなんなのか!?衝撃の結末を見逃すな!

お楽しみに!


米 追伸:サーバーのエラーで、画像が読み込めないケースが出ているようです。

申し訳ございません。アイスマンあげるから許して。え?だめ?

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