戦国時代、甲賀と伊賀の忍びたちが忍法戦争をおこなっていた。
甲賀の忍びである鬼岳沙衛門は従者である「るい」を守るため里を足抜けしてフリーランスに忍者家業で暮らしていた……。
躯螺都幽冥牢氏の忍法シリーズには魅惑的な忍法が沢山登場する。
「忍法 死化粧」「忍法 月水面」「忍法 夢氷河」etc
実際の忍法というよりは、数千度の熱を発したり、鏡に映った相手を粉々にしたりとファンタジーの呪文に近いだろうか。
本作のタイトル自体が「無残絵」という忍法なのだが、これが沙衛門とるいの運命を分かつ憎っきもので、物語を語る上で欠かせない。
忍法帳ものとして欠かせないのが艶っぽいシーン。
忍びとしての刹那をおう歌するがため、お互いを求めあう描写はのちに待ち受ける至難を思えばなんと生き生きとしたものであろうか。
まごうかたなき傑作であり、また後のシリーズに続く「序」。
氏の作品を読み解くなら必読必須である。面白い!