なぜ村上春樹はノーベル文学賞がとれないのか

@Okaso

村上春樹がノーベル文学賞を取れない理由

世界中で毎年注目を集めるノーベル賞

これまでにも日本人が2人受賞してきた

そんな中

毎年メディアが取り上げるが

受賞できない日本人が一人いる

世界中にファンを持ち

支持されてるが受賞できない日本人

村上春樹である

彼のファンは

「ハルキスト」

などと言われ

毎年ノーベル文学賞発表の時間

彼のゆかりの地に集まり

じっと結果を待つけれども

これまで彼のファンの願いが

報われたことはない

彼がなぜ

毎年の日本国内の

注目もむなしく

受賞を逃すのか

今回は独自にそれを調べてみたい


ノーベル文学賞というのはその作家の作品や活動を総合して選ばれるもので

1つの評価された作品に対して与えられるものではないらしい

ノーベル文学賞の選考は資格を持っている

各地のペンクラブ・大学・文学者などが候補としたものの中から

スウェーデン学士院が決める

私は村上春樹が受賞できない理由は

単にスウェーデン学士院の連中に嫌われてるだけか

自分でいらないって言ってるか

どっちかだと仮定していた


過去にも村上春樹のような人がいたのではないだろうかと探すと

1901年の第1回の選考の際には

ロシアのトルストイが有力候補とされていたが

フランスの詩人シュリ・ブリュドムが第1回ノーベル文学賞に選ばれた

これに当時のスウェーデン国内の文学者の一部が抗議をするなど

非難はあったが

トルストイの主張する

「無政府主義」

「宗教批判」

これらが受け入れられず

とうとうトルストイは死ぬまで

ノーベル文学賞を受賞することができなかった

1901~1912年までのノーベル文学賞受賞者は

「立派な人物像」が大きな要素であり

受賞者にはノーベル文学賞に値する

「モラル」

「生活態度」

「社会的地位」

これらが大切だと考えられてきたそうだ

では村上春樹はどうだろう

何かスウェーデン学士院が気に入らない

思想や哲学を持ってるだろうか

それはわからない

まぁ

あくまで1901~1912年までの間の話だ

その後は作品自体の文学性を

公平に審査基準とするように

努めるようになった

ノーベル賞は

スウェーデンが起源であるゆえ

比較的ヨーロッパ出身の受賞者が

多かったが

1913年

この常識を破り

インドのタゴールが受賞した

当時のインドはイギリスの植民地ではあるが

ヨーロッパ以外の地域から初めて選ばれた

だが次のアジア出身で選ばれたのは

1968年の川端康成と

それまでほとんどが

欧米諸国

さらにいえば

白人が受賞していた

日本人は今日までの間に

二人受賞している

1968年受賞の

川端康成と

1994年受賞の

大江健三郎の二人だ

ちなみに

2017年に受賞した

日系人のカズオ・イシグロ

日本人ではないが日系人では初の受賞だった

これまでに

110人程がノーベル文学賞を

受賞していて

日本人はわずか二人

双方の受賞理由は

川端康成

「『伊豆の踊子』『雪国』など

 日本人の心情の本質を描いた

 非常に繊細な表現による叙述の卓越さに対して」

大江健三郎

「『個人的な体験』『万延元年のフットボール』など

 詩的な言語を用いて現実と神話の混交する世界を創造し

 窮地にある現代人の姿を

 見る者を当惑させるような絵図に描いた功績に対して」

だそうだ

単純に周期で考えれば

次の受賞は

1994年から

26年後の2020年

それまで

村上春樹が生存してれば

授賞できるのではないか

そういえば

東京五輪も2020年

もしかしたら

何か日本に関連する

国際的に大きな何かが授賞に関係あるかもしれない

じゃあ

1968年には何があっただろうか

1968年は

プラハの春が始まり

当時の日本の首相だった佐藤栄作が国会答弁で「非核三原則」に触れて

ベトナム戦争において南ベトナム共産ゲリラがテト攻勢開始

グルノーブル五輪開催 (冬季)

ベトナム戦争下での虐殺の嵐

ガガーリン死亡

「国際勝共連合」発足

キング牧師暗殺

イタイイタイ病が公害病認定

フランスで五月革命が始まる

ケネディの弟が暗殺

小笠原諸島が日本復帰

メキシコ五輪開催 (夏季)

野球はセリーグでは巨人が4年連続リーグ制覇

パリーグは阪急が2年連続リーグ制覇

国際反戦デーで新宿を学生が占拠

和田アキ子が歌手デビュー

「ゴルゴ13」の連載開始

そんなもんか

ざっと並べてみたが

日本人が受賞するような

日本が関係する国際的な何かが

あったわけではない


調べつづけてわかったことがある

ノーベル文学賞の候補者となった人は

候補になってから50年たたないと

発表されないそうだ

ということは

今年は取れる

今年は取れる

と毎年いってる

連中は何の根拠もない

ということ

本屋の予想も

メディアの予想も

大した根拠はないということだ

彼が本当に候補者だったのかは

50年後に明らかになる

日本人受章者は2人だが

候補者は何人いたのだろうか

判明してるのは

西脇順三郎

谷崎潤一郎

川端康成

三島由紀夫

賀川豊彦

井上靖

遠藤周作

安倍公房

井伏鱒二

案外多く

個人的に驚いている

彼らが受賞を逃した理由として

若い

死んでしまった

など

選ぶスウェーデン学士院側も

年齢や受賞する国や地域を

考えてるらしい


ではここ最近受賞してる地域はどこだろうか

20年前まで遡ると

1997年 ダリオ・フォ イタリア 71歳

理由「中世的な道化や権威を風刺し、弱者の尊厳を庇護したこと」

1998年 ジョセ・サラマーゴ ポルトガル 76歳 

理由「想像、哀れみ、アイロニーを盛り込んだ寓話によって我々がとらえにくい現実を書いた」

ポルトガル人初の受賞

1999年 ギュンター・グラス ドイツ 72歳

理由「遊戯と風刺に満ちた寓話的な作品によって、歴史の忘れられた側面を描き出した」

2000年 高行健 フランス 60歳

理由「普遍的な正当性、痛烈な洞察力、言語的な独創性をもった作品によって、中国の小説や劇作に新たな道を開いたこと」

中国からフランスへ移住

2001年 V・S・ナイポール イギリス 69歳

理由「知覚的な文体と永続的な調査により仕上げられた作品によって、抑圧的な歴史の存在を直視させたこと」

2002年 ケルテース・イムレ ハンガリー 73歳

理由「人間が社会的圧力にますます服従している時代にあって、個人として生き、考え続ける可能性を追求した」

ハンガリー人初の受賞

2003年 J・M・クッツェー 南アフリカ共和国 63歳

理由「アウトサイダーが巻き込まれていくさまを、無数の手法を用いながら意表をついた物語によって描いたこと」

2004年 エルフリーデ・イェリネク オーストリア 58歳

理由「その小説と劇作における音楽的な声と対声によって、社会の不条理と抑圧を並はずれた言葉への情熱を持って描き出した」

オーストリア人初の受賞

2005年 ハロルド・ピンター イギリス 75歳

理由「劇作によって、日常の対話の中に潜在する危機を晒し出し、抑圧された密室に突破口を開いたこと」

2006年 オルハン・パムク トルコ 54歳

理由「故郷の街のメランコリックな魂を探求する中で、文明の衝突と混交との新たな象徴を見出した」

トルコ人初の受賞

2007年 ドリス・レッシング イギリス 88歳

理由「女性の経験を描く叙事詩人であり、懐疑と激情、予見力をもって、対立する文明を吟味した」

2008年 ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ フランス 68歳

理由「新たな旅立ち、詩的な冒険、官能的悦楽の書き手となって、支配的な文明を超越した人間性とその裏側を探究した」

2009年 ヘルタ・ミュラー ドイツ 56歳

理由「凝縮した詩と率直な散文によって、収奪された人々の風景を描いた」

2010年 マリオ・パルガス=リョサ ペルー 74歳

理由「権力構造の地図と、個人の抵抗と反抗、そしてその敗北を鮮烈なイメージで描いた」

ペルー人初の受賞

2011年 トーマス・トランストロンメル スウェーデン 80歳

理由「稠密で透光性のあるイメージを通じて、読者に現実への斬新な道筋を与えたこと」

2012年 莫言 中国 57歳

理由「幻覚的なリアリズムによって民話、歴史、現代を融合させた」

2013年 アリス・マンロー カナダ 82歳

理由「現代短篇小説の名手として」

カナダ人初の受賞

2014年 パトリック・モディアノ フランス 69歳 

理由「最も捉え難い人々の運命を召喚し、占領下の生活世界を明らかにした記憶の芸術に対して」

2015年 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ ベラルーシ 67歳

理由「我々の時代における苦難と勇気の記念碑と言える多声的な叙述に対して」

ベラルーシ人初の受賞

2016年 ボブ・ディラン アメリカ 75歳 

理由「米国歌謡の伝統の中に新しい詩の表現を創造したこと」

シンガーソングライターとして初の受賞

2017年 カズオ・イシグロ イギリス 63歳

理由「壮大な感情の力を持った小説を通し、世界と結びついているという、我々の幻想的感覚に隠された深淵を暴いた」

遡って見えてくるのは

結構高齢の作家であるということ

彼らの

年齢の平均は72.5歳と高齢だ

では村上春樹はどうだろう

彼は68歳だ

彼がここ20年の受賞者の平均に達するには

あと4年

2021年だ

さらに村上春樹が受賞している

フランツ・カフカ賞

エルサレム賞

これらの二つは

受賞者の中でも受賞してる人が多かった賞だ

そもそも

村上春樹がノーベル文学賞に近いと

注目されるようになったのも

フランツ・カフカ賞を受賞した人が

2年連続でノーベル文学賞を受賞したからである

ここまで調べた

私の見解は

村上春樹が候補者であるなら

スウェーデン学士院が

まだ時期ではないと

判断してるからではないか

彼を今すぐに受賞させる必要はなく

それなりの時期に賞を送ろうと考えてるのではないか

という予想も浮かぶが

2016年にボブ・ディランが受賞したところを

考えると

やっぱり嫌われてるのかなとも考えてしまう

ボブ・ディラン以外にも

作家ではなく

受賞した人もいるが

ここ数年

村上春樹に注目が集まってるという

認識があるゆえの

思い込みかもしれない

国や地域のことを考えて選んでるらしいと

前に書いたが

20年間で見ると

ヨーロッパが多く

イギリス

フランス

ドイツ

イタリア

オーストリア

ポルトガル

スウェーデン

特にイギリスは

ここ20年で

4人も受賞している

とても

国や地域のことを

考えて選んでるとは

思えない

アジアは

2012年に中国の莫言を

最後に受賞者は出ていないし

その前は

2006年に受賞した

トルコのオルハン・パムク

その前は

1994年の大江健三郎だ

その前は

1968年の川端康成

その前は

1913年の

インドのタゴール

アジア国籍で受賞したのはこれしかいないのだ

とても考え抜かれて選ばれてるとは思えない

しかし

2000年に受賞した

高行健はもとは中国出身でフランスに移住しノーベル文学賞を受賞

2017年のカズオ・イシグロも

生まれは日本の長崎の日系人

そうなると

1994年 大江健三郎

2000年 高行健

2006年 オルハン・パムク

2012年 莫言

2017年 カズオ・イシグロ

約6年おきに受賞してる

そうなると

2017年村上春樹が取れなかったのは

不思議に感じる

ただ2012年までは

6年おきにアジア系が受賞してるので

もしかしたら

2018年に村上春樹が受賞する可能性は十分にある


ノーベル文学賞を選ぶスウェーデン学士院は

設立当初から会員の人数が18人と固定されており

会員は死ぬまで会員の職を

やめることができない

終身制だ

会員の誰かが死んだ場合

残った会員の投票によって新会員が選ばれる

すなわち毎年

ノーベル文学賞を選ぶ人間は

高確率で変わらないのである

さらに言えば

会員の好き嫌いがはっきりでるし

取れない人は

いつまでも

取れない可能性がある

すなわち

今の会員の人柄や好みがわかれば

村上春樹が取れるかが見えてくるのではないか

生憎私はスウェーデン語が読めないので

スウェーデン学士院のホームページに書かれてるであろう

会員の方たちのことや

会員の方の専門がわからない

だが村上春樹という作家の作品は

彼らの琴線を振るわせないような作品ばかりなのだろうか

村上春樹の有名な作品と言えば

「ノルウェイの森」

「海辺のカフカ」

「風の歌を聞け」

「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」

「ねじまき鳥クロニクル」

「1Q84」

「騎士団長殺し」

もっとたくさんの作品があり

多くの賞を受賞してる

1979年 群像新人文学賞

1982年 野間文芸新人賞

1985年 谷崎潤一郎賞

1996年 読売文学賞

1999年 桑原武夫学芸賞

2006年 フランツ・カフカ賞

2006年 世界幻想文学大賞

2007年 朝日賞

2007年 早稲田大学坪内逍遥大賞

2008年 バークレー日本大賞

2009年 エルサレム賞

2009年 毎日出版文化賞

2009年 スペイン芸術文学勲章

2012年 小林秀雄賞

2014年 ヴェルト文学賞

2016年 アンデルセン文学賞

国内でも国外でも多く受賞している

これだけ賞に輝いていてもらえないことが

私には不思議でならない

だが

国内で有名な賞である芥川賞や直樹賞を

受賞してないことは不思議だ

芥川賞の候補になったことは

何回かあったそうだが

受賞するにはいたらなかった

今では国内での売り上げより

国外での売り上げの方が

高い作品もあるそうで

ハルキストなるファンが

世界中にいることにも

納得がいく

ファンの量が作家の評価だと私は考えるが

世界中にファンがいるからといって

ノーベル文学賞をくれるわけではないらしい

作品は各国で評価されてるのに

スウェーデン学士院の考えはわからない


さて一通り調べてみてわかったことは

スウェーデン学士院の考えはわからないということか

受賞できるだけの評価は受けてるし

世界中にファンを持ち

翻訳されてる本も多い

ここ20年の受賞者を見て思ったことだが

やはり国や地域を考え偏らないようにしてると

言ってはいるが見るからに偏りがあり

ヨーロッパを中心に選ばれてるように感じる

アジア系が6年おきに来るなら

2018年に受賞にかもしれない

日本人周期なら2020年

どっちも不確か過ぎて信用はできない人が多いだろう

では彼が賞を取り過ぎて

もうノーベル文学賞を受賞させるほどではない

というのはどうだろうか

すなわちスウェーデン学士院は

村上春樹はあれだけの文学賞を受賞してるから

ノーベル文学賞に選ばなくてもいいか

と考えてるのではないかということだ

それなら個人的に納得がいくのだが

すでにあれだけ国内及び国外で賞を受賞して

まだ欲しいのかいと

スウェーデン学士院が言ってる気がしてならない

さて皆さんはどう思いますか

「2018年説」

「2020年説」

「嫌われてる説」

「凄すぎてもういいや説」

どれであっても当たったら

こっちは多少嬉しいもんだ

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