第9話 灰色の思い

男は言う。(これはアレックスの破天荒な生き方に似ている。)ある小説の、ある主人公は男に語りかけたのだと言う。


僕は甲。僕は甲。

「なんで?どうして…僕のせいなのでしょうか」

竜がいなくなって3日間だ。皆が竜を思う。


「空は………グレーの、ポップコーンみ、、た、、い、、」

ポップコーンは美味しい。でも、作る時のあのポップコーンの跳ねる音は、すごく嫌いだ。心で思うのは自由。だけど、言葉は人の心を深く殺す。人の何でもない一言で、その一生を狂わす。心を閉じる。


「俺は、失踪だとは思わない。だって俺たちもあいつも、帰る場所なんてここしかない。甲が竜に何をしたか、空が傍観してたとか、そんなの竜は気にしてない。だって、竜は知ってるんだ。」

グレーの昔は、グレーのまま。

でも、それはただのシミだ。

あいつは、シミなんて消される。


「そうだね。私もそう思う。」

私が竜に声をかける前、一回会ったんだ。

その時は、多分竜は家を逃げ出していた時。

私は竜と何か通じるものを感じて、気になって最後までついて行った。

最後に竜が居た場所は、何もない広場。

誰も居ない広場。

やがて竜はとても苦しそうな顔をした。こんな開放感がある所であんな顔をするなんて、すごく興味を抱いた。

そして一台の黒い車が来て、竜を無理矢理乗せた。1時間半ぐらいの逃亡。あっという間に非望となる。


だから……。


「キリガイには希望がある。」






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幻覚が見える頃 神樂零 @gree32sx10

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