第79話 嘘の告白

 ラムズに言われて、わたしは上の透けている服を脱いだ。さっき着たばっかりなのにな

(元々生地が薄すぎるおかげで、着ていても着ていなくても寒さが変わらない。こんな服を着るなんて貴族は変わってるわね)。


 なんだか当たり前のように脱いじゃったけど、いいのかな。でももう二度目だし関係ないか。ラムズはそういう目的じゃないって言ってたし、これは娼婦がやることとは関係ないものね

(裸になる時点でまずい? でもほら、人魚はいつも裸でしょ。たしかに今は若干鱗が剥がれているけど……)。



 ベッドに腰掛けたまま、ラムズはわたしの鱗をじっと見た。そしてつうっと指を滑らせる。たまに肌にも指が当たるからそれが寒い。肌に触れるたびに、鳥肌が立った。

 鱗は治ったから、今は触るとツルツルしている。宝石とは少し手触りが違うはずだ。


「はあ、幸せだ」

「……こんなので?」

「俺が世界で一番綺麗だと思う宝石だぜ? それが今この手にあること、これ以上の幸せはねえよ。メアリと出会えて本当によかった」


 ラムズは本当に幸せそうに言った。なんだかどうやって反応したらいいか分からなくて、曖昧に頷く。


「そんなに綺麗かなあ……」

「ああ」

「わたしが人魚に戻ったらどうするの? わたしは海に帰っちゃうわよ」

「毎日砂浜に来てくれ。会いに行くから。島でもいい。船でそこまで行く」


 人魚に戻ることは反対しないのね。鱗が増えるからかな。わたしは頷いた。

 ラムズがわたしの頭に服を被せた。


「着ていい」

「もういいの?」

「明日も見せて」

「はいはい」


 わたしはまた服を着た。


 着ても全然変わった気がしない。やっぱり違う服がいいな。これじゃあ着ている感じがしなくて違和感があ──ハッ!

 ダメじゃない、これじゃあ! わたしは普段は裸なんだから、むしろこの格好に慣れた方がいいわ。絶対にそう。

 服を着てる気がしなくて違和感があるだなんて、わたしも大分陸の世界に毒されてしまったわ……。ちゃんと価値観を戻さなきゃ。



 わたしは少し落ち込んで、今着ている服を見下ろした。その時、ラムズにぐっと腰を引かれた。


「ちょっ」


 ラムズがわたしの腰を持って、そのまま自分の膝の上にわたしを座らせる。な、なにしてるの……。こんなのって、その、えっと。


「ちょっと……」

「なに?」

「なにじゃないってば! これは、その、恋人じゃないとダメなの……!」

「じゃあ恋人になればいいだろ?」

「そ、そういうことじゃ……」


 わたしが彼の膝から降りようとしても、ラムズにがっちり掴まれて降りれらない。どうしよう。顔も近いし、心臓がまたバクバクしてきた。それと寒い。膝の上も、ラムズの掌も冷たい……。


「なんでこんなことするのよ……」

「メアリが好きだから」

「それ……、ほん……」


 「本当なの」まで言ったつもりでいたけど、恥ずかしいせいか言葉尻が消えちゃった。ラムズは首を傾げている。わたしはもう一度口を開いた。


「み……みんなが、ラムズはわたしのこと、鱗として好きなだけだって……」

「ああ、それか」

「それに……」


 わたしはごくりと唾を飲んだ。ラムズは優しく「なんだ?」と聞いてくる。


「この服って、本当は誰かが着てたの?」


 ラムズが口角をくいっと上げた。


「へえ、そんなの気にしてたんだ? 着てねえよ。メアリのために今日買ったんだ。貴族が寝る時に着るような服をくれってな」

「そ、そっか……」

「安心して。メアリ以外このやしきに入れたことはねえよ。男もな。メアリが特別」


 と、特別……。

 彼の瞳には優しい色もあるけど、どこかからかっているようにも見える。ラムズはわたしの髪の毛に指をつうっと滑らせた。そして頭を撫でられる。寒さと緊張で、その手をどかせられない。


「あとは? まだ何か言いたそうだけど?」

「えっと……。その……ラピスフィーネ様とは……」

「ああ、それも気になってたんだ? へえ」


 ラムズはまたわらった。優しいのか意地悪なのか分からない。手つきは優しいけど、なんだか眼が嗤ってる。


「ラピスフィーネとは、たしかに昔からの知り合いかな」

「それで……?」

「何が聞きたいんだ?」


 わたしは少し口篭ったあと、目線をくるくる動かしながら言った。


「えっと、その。好き、なのかなぁ、とか。美人とか言ってたし……」

「俺が好きなのはメアリだけだ。美人とは言ったけど、俺はメアリの方がいいな」

「あ、そうなの……」

「今まで誰かを好きになったことはねえよ」


 ラムズは頭を傾けて、悪戯っぽく目を細めた。こんな顔で言われちゃ、本当なのか嘘なのか分からないよ。


「本当にそうなの?」

「ああ。キスとかしたことないっつったろ」

「でも、ラピスフィーネ様に手を握られていたから、そういうこともあるのかなって……」

「よく見てるな?」

「いや、それは、なんていうか……」


 ラムズはわたしの手を握った。いつも通り冷たい。ぞくりと鳥肌が立った。わたしは必死なのに、彼は始終笑ってる。からかわれているのかな。ラムズっていっつもこう。


 ラムズは口を開いた。


「たしかに女にそういうことをされたのは何回かあるけど、俺からしたことはない。キスはさすがにねえしな」

「抱き合う、とかは……」

「それはされたことあるな」

「そっか。そうよね。5000年も生きてるんだもの」


 わたし、なに聞いてるんだろう。ラムズが何しようと関係ないわよね。いつの間にか顔が熱くなっているのに気付いて、わたしは片手で頬を覆った。もう片方の手はラムズに握られたままだ。



 ラムズが手を放して、わたしの頬に触れた。冷たくて気持ちいい。


「もう俺のこと好きなのか?」


 はっ、いや、へっ?

 愉悦ののった声が頭の中で木霊している。青い宝石の目がキラキラ光っている。それが光るたびに、わたしの心臓がどくんどくんと鳴った。

 何を言ってるんだろう。違う、違うわよね。


「えっと、うん。違うわ」

「そう? けど、それ嫉妬だろ?」

「ハッ、いやそれは……違うわ。それに、嫉妬はフェアリーの性格でしょ?」

「フェアリーは嫉妬心が強いが、他の使族に嫉妬心がないわけじゃない」

「そうなんだ……」


 ラムズがあどけなく笑う。


「俺が他の女の子と抱き合ってたら嫌なのか?」

「い、嫌じゃない……」

「へえ? そっか。分かった。覚えとく」


 ラムズは頬から手を放す。わたしは彼の手を掴んだ。ラムズはわざとらしく頭を傾ける。


「熱い、の……。だから触ってて」

「ああ」


 ラムズは笑みを浮かべながら、右手でわたしの首に触れた。ひんやりして気持ちいい。いつからこんなに身体が熱くなってたんだろう。分からない。

 どうしたらいいか分からない! もうわたしの身体じゃないみたい。悶々としてきて俯いた。


 ラムズはわたしの首から鎖骨に触れて、そのあとまた頬に触れた。氷みたいな冷たさが、優しく体を撫ぜていく。ラムズが触れるたびに、少しずつ頭がすっきりしてきた気がする。いやでも、むしろドキドキしてきたかも。どうしたらいい?



 ──そうだ、忘れてた。アリスが言っていたの、ちゃんと聞いておかなきゃ。


「ラムズは、わたしと宝石どっちが大切なの?」

「うん? 変なことを聞くな。うーん、そうだなあ」


 ラムズはわたしの方を見ながら、考える素振りをする。彼の右手がわたしの耳を触った。びくっとして鳥肌が立つ。


「どっちも大切だな。メアリに他の宝石を壊せって言われても、俺はそれができない。けど、他の宝石とメアリどっちかが壊れるっていうなら、俺はメアリを残す。あとはメアリが俺の宝石を欲しいっつうなら、それはあげられる」

「わたしが、他の宝石を壊したら恋人になるって言ったらどうするの?」


 ラムズは笑って即答した。


「壊さない」

「え、そうなの? 恋人にならなくていいの?」

「そんなことしなくても、俺のことを好きになるだろうから」


 ラムズは目を細めて笑う。

 また身体がおかしくなってきた。そんなんじゃないのに。好きじゃ、ないのに。

 わたしはラムズを見ていられなくなってまた顔を下げた。ラムズはわたしの髪をいじっている。


「すぐ照れんだな。言われ慣れてねえのか?」

「な、慣れてるわけないでしょ……」

「メアリはキスしたことあんのか?」

「な、ないわよ……」

「人を好きになったことは?」

「それは……あるけど……」


 わたしはサフィアのことを思い出した。


 サフィアとは、会っている時はなんとも思っていなかった。でも、人間なのにわたしのことを綺麗だと言って、初めてわたしに優しくしてくれた人間だ。それにああやって男の人と話したことはなかった……。

 とにかくそれで、会えなくなってからわたしはその寂しさに気付いた。こんなことになるなら、ちゃんと気持ちを伝えておくべきだったな。

 次に会うのは彼を殺す時なんだから──。


 けど、もしも今サフィアへの気持ちを全て捨ててラムズのことを好きになったら────。ちらりとラムズを盗み見た。虚ろな影と甘いサファイアのきらめきが、瞳の奥に隠れている。


 ラムズのことを好きになれば、すべてが上手くいく? サフィアのことを忘れられたら?



 ラムズがわたしの身体を引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。


「なあ、俺以外の男のことは考えんなよ。今は俺といるんだろ?」

「へっ、あ、ごめん……」


 からかうような声が耳をくすぐる。


「じゃあ、お詫びに俺のこと好きって言って」

「え? どういうこと?」

「まだ好きじゃねえんだろ? けど、嘘でいいからそう言ってよ」

「どうして……」


 ラムズがわたしの腕を掴んで、耳元に唇を近付けた。冷たい息で囁く。


「言えよ」


 ドキっとして、彼の身体をぎゅっと触った。ううん、離れなきゃ。でも離れられない。身体を動かしたら、もっと抱く腕が強くなった。


「放してよ……」

「言ってくれたら放してやるよ」


 どくんと一つ心臓が鳴って、それに聞こえない振りをした。乾いた口を動かす。


「嘘でいいの?」

「ああ」

「分かったわよ……。本当じゃないからね」

「分かってるって」


 わたしは息を吸い込んだ。ラムズの近くだからか、ちょっと空気が冷たい。身体も冷えてきた。でも火照っていたから丁度いいかも。


 ラムズはわたしを抱いていた腕を放した。目が合う。顔を合わせたまま言うの?!


「言って」

「こ、このまま……?」

「ああ」

「わ、分かった。本当に違うからね」

「はいはい」


 ラムズの顔を見ていたら、余計にドキドキしてきた。何度か視線を彷徨わせる。掌をぎゅっと握って、小さく呟いた。


「えっと、その。……好き」


 彼はくいっと唇を曲げてかわいらしく笑った。


「誰が?」

「はっ? ん、んー……ラムズが……」

「ちゃんと言って?」


 ラムズは首をかしげ、あどけない笑みを見せる。

 ちゃんとって何よ……。なんでこんなこと言わせられてるんだろう。分かんない。恥ずかしい。

 ラムズは楽しそうにわたしを見ている。こっちは頭の中がパニックなのに。口の中まで熱い。もう、言えばいいんでしょ、言えば……!



「ラムズが……好き……」



 ラムズはくくっと笑うと、「どうも」と言った。わたしの頭をぽんぽんと叩く。


 嘘って分かってるのに恥ずかしい。無理。顔を見てられない。

 わたしはどうしたらいいか分からなくなって、ラムズの膝から降りようと思った。でもそれは許してもらえないみたい。

 もういいや! わたしはラムズの肩に顔を埋めた。だって、見てられないんだもん。こんなの知らない。


「かわいいなー」

「な、何が……」

「メアリは素直だから、かわいい」

「素直?」

「なんでも言うこと聞くだろ」

「そうかな……」

「ああ」


 ラムズのくぐもった笑い声が横から聞こえる。わたしは彼の服を掴んだ。よく、分かんない。素直かな。



「そういえば、さっきの質問は何だったんだ?」

「宝石とわたしってやつ?」

「そう。何か分かったか?」


 彼の胸の中で、小さく首を振った。


「分からなかったわ……」

「俺がメアリを本当に好きか分かんねえから、さっきの質問をしたのか?」

「まぁ、そうね」

「どうしたら分かってもらえるかなー」


 わたしはずっとラムズの肩に顔を隠して喋っている。ラムズはわたしの背中をとんとんと叩いてくれていた。さっき抱きしめないって言ったからか、腕は回していない。

 ラムズがあっけらかんとした声で言った。


「いやけど、分かんなくてもいいや」

「え? そうなの?」

「だって、俺がメアリを好きかどうか気にしてる時点で、俺の勝ちだろ」


 ラムズの声が笑っている。

 ──俺の勝ち。

 言われてみれば、気にしてるわたしの方が……おかしい。


「えっと……それは、そうかも……」

「だろ? だから分からなくていいぜ。けど俺はもうちゃんと言った。メアリが好きだって。今度はメアリの番。本当に好きかどうか、今も好きなのかどうか、俺のことでずっと悩み続けて」

「……変なの。バカ」


 悩み続けて、とか。なんとなくムカつく。


 そろそろ落ち着いたので、わたしは彼の肩から顔を上げた。ラムズが優しく笑っている。「大丈夫?」と聞いてくるので、わたしはこくりと頷いた。さっきから優しいのか意地悪なのか分かんない。


「好きって言ったことない?」

「ないわよ……」

「そっか。ありがと」


 ラムズはまた、わたしの頭を撫でた。そしてようやく、わたしは彼の膝の上から解放される。ラムズが腰を持って立たせてくれた。



 他にも色々なことがあったせいで、もう膝の上とか気にしていられなかったわ。本当に心臓に悪い。人魚以外の人は、みんなこうやって好きな女の子と仲良くするのかな

(え、違う? ん、違くない? どっちよ。色々言わないでよね、もう)。


「もう寝るか」

「そうね。ご飯は食べてあるし」

「布団に入りな」


 わたしは白い掛け布団を上げて、その中に入った。ベッドは宿屋で使うものなんかよりもずっと大きい。横幅だけでも倍はあると思う。

 ラムズは天蓋てんがいのカーテンを下ろした。周りが星空みたいになる。藍色にダイアモンドの宝石がちりばめられている。すごく綺麗。たまに赤色や青色の星もある。

 ベッドの天井には黄色い宝石みたいな灯りがあった。それがくるくる回っていて、カーテンの星をさらに煌めかせている。



 ラムズは自分に浄化魔法をかけた。コートを脱いで、中に着ていたブラウスも脱ぐ。


「体力がないのに、そこまで細くないのね」

「あ? ああ、体か。まあな。男の上半身を見ても何も思わねえのか?」

「だっていつも海で見てるもの」

「たしかにそっか」

「あ、ねえ? 人間の脚って、男と女で違うの?」

「あー。少しだけ違うかな」

「何が違うの?」


 ラムズは横においてあった別の服を着た。胸元が空いている黒いTシャツ。カチャカチャ音がすると思ったら、ベルトを取っているらしい。下半身を見せてくれるのかな?


「違いは言わないでおく。たぶん話さない方がいい」

「どうして?」

「よく知らんが、人間は隠すらしい。けどまあ、人間じゃねえからいいか」

「たぶんいいんじゃない?」


 彼は少しだけ眉尻を上げて、考える素振りをする。視線を逸らしたあと、またこちらを見た。話すことにしたらしい。


「前に性行為の話をしただろ?」

「はっ、え、うん。そうね」

「それをするのに、男と女で下半身の構造が違うようになってる。人間はこれを隠してるらしい」

「へえ。そうなの。女だけ胸が大きいのと同じかな」

「そんな感じ」

「ふうん。ていうか、見せてくれるわけじゃないのね」


 ラムズはベルトを取っただけみたいだった。ベルトが邪魔だったのかもしれないわね。宝石が付いているから重いのかな。

 わたしの返事を聞いて、ラムズはいぶかしげにこちらを見た。


「俺の下半身が見たいのか?」

「別にそうじゃないわよ。でもベルトを取ってるからそうなのかと思っただけ」


 ラムズは呆れた声で言う。


「……そういうことも言わない方がいい」

「なんで?」

「性行為をする時に使うって言っただろ。見たいのかと思われるし、つまりしたいのかと思われる」


 こ、これも?! 人間って面倒くさすぎる。わたしはとりあえずふるふると頷いた。


「そうだったのね。もうやめる。別に見たくない」

「ああ、そうしとけ」


 よかった、他の人に言う前にラムズに教えて貰っておいて。レオンとかに言ったらめちゃくちゃ怒られそうだもの

(怒られはしない? むしろ喜ぶ? ほんとに?)。



 なぜか、ラムズは掛け布団を上げた。わたしはドキリとして右側にずれる。寝ないんじゃないの?

 ラムズはわたしが不思議がっているのに気付いたみたいで、口を開いた。


「たまには寝る。趣味みたいなものだっつったろ」

「他にも部屋があるじゃない……」

「メアリと寝たい」

「あ、そう……」


 一緒に寝ることになんの意味があるのか、わたしにはよく分からない。人間は襲うことを意味するのよね。ラムズは好きな人と寝たいって思うのかな?


 ラムズは布団の中に入ってきた。わたしは半分より右側で寝ていたのに、ラムズに引き寄せられる。


「え、何よ」

「寒い」

「それは自分の身体のせいじゃない」

「まあな。温めて」


 ラムズはわたしの身体を自分の方に向けて、そのまま抱き締めた。抱き締めたまま寝るの?! 嘘でしょ。無理、寝られないよ。

 わたしはラムズの胸をとんとん叩いた。


「なんだよ」

「恥ずかしいもの。寝られないわ」

「大丈夫。しばらくしたら安心するって」


 ラムズはわたしの頭を撫でて、背中をさすった。ラムズは暖かいのかもしれないけど、わたしは寒い。それこそ風邪を引く。

 そこでわたしはちょうどクシャミをした。やっぱり寒いんだわ。でもラムズは、放すどころかもっと自分の方に近づけた。

 

「風邪引いちゃう……」

「治してやるよ」

「光属性は使えないんでしょ」

「練習する」

「そういう問題じゃないってばあ」


 わざとらしいくらい明るい声で、ラムズが話す。


「まあ、気にすんなって。別に寝るのなんて、人魚としてはどうでもいいんだろ?」

「でも抱き締めるのは……」

「もう今更だ。変わらねえだろ」

「そうかな……」


 ラムズはずっとわたしの背中を撫でている。本当に眠くなってきたかも。10日も外で寝ていからな……。

 身体は寒さに凍えていたけど、眠気には抗えなかった。「おやすみ」とラムズの声が最後に聞こえた。わたしは眠りに落ちた。

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