第71話 タロットカードと教祖 #R

[#Rレオン視点]


 ミティもミティの元恋人も、酷い怪我を負ったわけではなかった。無事回復に向かっているらしい。俺のせいでこんなことになったから、とりあえずはほっとした。

 黒須くろすのことはもう諦めるしかないかもしれない。スワトは大分ヤバいヤツっぽいな……。化系トランシィ殊人シューマも大量に雇っているんだっけ。シーフとシャドウキラーか。


 シーフは単なる盗人って感じの殊人シューマだったな。物を盗むために問答をして、爪がないとかいう特徴があったような。

 シャドウキラーは暗殺術に特化している殊人シューマ。壁を歩けるとか足音や影がないとか、あとはそう、出会ってもすぐに忘れてしまう容姿という神力を持っている。


 ──シャドウキラー。

 俺は昨日会った忍者のような男を思い出した。俺に攻撃されたのに殺さなかった以上、そんなに悪いヤツでもなかったのかな。いや、ただ甘く見られているだけか。やっぱり人間おれの魔法なんて大したことないのかもしれない。


 でも、例のシャドウキラーの神力──『出会ってもすぐに忘れてしまう容姿』。

 そして、俺が今もまだ男の顔をこと。

 これらを組み合わせて考えると、あいつはシャドウキラーではないのか? ただ黒髪黒目だったってだけで……。



 俺は辿り着いた建物を見上げた。太陽の眩しさに顔をしかめる。

 ──戦士ナイトギルド。

 冒険者の道もアリだったけど、俺はどちらかといえば騎士になりたい。もっと強くなりたいし、騎士ってカッコイイじゃんか。騎士は貴族が多いらしいけど、一応普通の人でも試験は受けられるらしい。


 戦士ナイトギルドの建物は、冒険者ギルドのものなんかよりずっと立派だった。厳かな白い大理石で建てられていて、三階建てくらいの高さ。他の建物よりずっと高い。入口の扉も剥き出しの木ではなく、黒色に塗られている。


 俺は勇気を振り絞って、三段ほどある階段を上がった。扉の前に立ち、ドアノブを掴む。扉を開けた。


「わっ!」


 ちょうど出てきた人がいたらしい。思い切り誰かにぶつかって、後ろの階段の方に足がついた。階段を踏み外してそのまま転ぶ。

 ──ハァ。死ぬほど恥ずかしい。



「なんだなんだ? 平民じゃないか」

「平民がこんなところに何の用だ」


 出てきたのは三人の騎士だ。ギョロリと見下ろされて、胃がすくむ。殴りかかっては来ないものの、その目付きが怖い。貴族ならではの迫力っていうんだろうか。

 そのうち一人の男が、二人をなだめた。


「まあまあ。困っているじゃないか」

「ゼシルは優しいな。あんな男にも情をかけるのか?」

「困っている者に手を貸すのは当然のことさ。な?」


 ゼシルと呼ばれた男が、俺に手を差し伸べる。彼もかなり高貴な見た目だ。

 襟が立った藍色のコートは、金色のチェーンで前が止められている。中に着ているのは白のブラウス。ベルトも金色で、腰には剣が刺さっている。藍色のズボンに銀のブーツを履いている。

 見るからに"騎士"だ。


「大丈夫か? 怪我をしたか?」

「いえ、していません」

「ならよかった。ここに何か用だったのか?」


 俺は男の手を取って立ち上がる。赤く細められた瞳にドキリとした。黒髪に赤目は少し怖い感じがする。


「は、はい。その、騎士になりたいと思っていて……」

「へえ、騎士にね? 悪くない」

 

 ゼシルの赤い眼がギラギラ光った気がした。首筋に鳥肌が立つ。ゼシルの後に続けて、残りの騎士たちが笑った。


「いやいや、寝言も寝て言えよ」

「平民が騎士だって? ハハハ」


 俺は一歩ずつ後ずさる。

 でもゼシルが俺の方に近づいた。彼の首元のネックレスが揺れる。十字架に似ているけど、横棒が二本だ。横棒はどちらも同じ長さ。


「そうだな、よかったら話を聞こうか?」


 打って変わって、ゼシルはにこやかに笑いかけた。さらさらと彼の黒い髪が揺れる。片方の騎士が彼に声をかける。


「ゼシルは本当に変わってるな」

「いいじゃないか。俺は彼を助けたいと思ったんだ。なあ、どうだ?」


 ゼシルは瞳を優しく細めた。迷った末、俺はゆっくりと頷いた。




 ◆◆◆




 俺とゼシルは、二人で木造の居酒屋に来ていた。俺を気遣って、彼は民衆向けの居酒屋を選んでくれたらしい。それでも、普段使っている居酒屋よりも粗野な見た目の者は少ない。大声で笑う男とか、足を机に載せるような行儀の悪い者がいないってことだ。

 

 騎士の彼の名前は、ゼシル・ゴディアス・ヴォルフというらしい。男爵の称号を貰っている貴族だ。

 敬語を使っていたけど「別にいい」と言われたので、俺はタメ口で話していた。

 最初は少し怖い印象も受けたけど、話してみるといい人みたいだった。貴族なのにあんまりその地位に固執こしつしている感じもない。



 俺たちはカウンターに並んで座っている。俺が頼んだのはエールだけど、ゼシルは白ワインを頼んでいた。


「ゼシルは騎士なんだよな?」

「騎士ではないな。俺は魔士ましだ。騎士と同じ位にいる者さ。魔法に特化した戦い方をするんだ」

「なるほど、剣を扱う者と魔法を扱う者で名前が変わるってことか」

「そうだ」


 ゼシルは目元までかかる前髪を払った。彼の黒い髪は無造作に跳ねている。ウルフヘアってほどではないけど。襟足は長く、一掴みくらいの一部の髪が鎖骨まで伸びている。



 さっきから気になっていた、ゼシルの首にかかっているネックレスを指した。


「そのネックレス、何かの宗教のものなの?」

「ほう、これに気付くとはお目が高いな。俺はこの話を始めたら止まらなくなるが、それでもいいか?」

「止まらなくなる?! お、おう……」


 ゼシルは横目で俺を見た。胸元のネックレスを手に取って、愛おしそうにそれを撫でた。


「俺はな、こう見えても教祖なんだ」

「教祖? 宗教を作った人ってことか?」

「そうだ。崇神セブンス教って知っているか?」

「知らない。そもそも宗教を一つしか知らないんだ」

「なんと! 一つか、それは少ないな」


 ゼシルは赤い目を細めた。伏し目がちにして、ワインを口につける。髪の右側にある細い三つ編みが揺れた。一本だけ編んであって、赤い飾りも付いている。

 というか、教祖ってこんなに簡単に会えるものなのかよ。もっと偉い人で、教会の玉座の上とかに座っていそうなんだけど。それとも全然有名じゃない宗教なのか? もしかして怪しいやつ?



 ゼシルは酒を少し飲んだあと、また話し始めた。


「宗教は今まで、光神カオス教、使族ナチュル教、悪魔デモン教というのがあった。だがこれらはどれも七人の神様を真に理解し、信仰しているわけじゃない。俺はそれが許せなかった。だから新しい宗教を作ったんだ。それが崇神セブンス教だ」

「へ、へえ……」


 やっぱりゼシルってヤバいやつなんだろうか。日本の宗教観のせいか、こういう宗教に傾倒けいとうしているやつにはどうしても忌避きひ感を覚えてしまう。

 ゼシルは普通の人に見えたし大丈夫かな。聞いたのは俺なんだし、とりあえず話だけでも聞いてみるか。


崇神セブンス教ってどんな宗教なんだ?」

「俺たちの信仰を伝えればいいか?」

「おう」


 ゼシルはこくりと頷いて語り始める。


「まず、七人の神様は全員同等の神だ。優劣はない。そして神様は俺たち使族に試練を与えている。だから俺たちはそれに応えて、まっとうに生きなきゃいけない。自分が与えられた役割、例えば仕事だとか使族しぞくとしての生き様ってものを、誠実に貫いていく──それが大切なんだ。お分かり?」


 赤い瞳で見られる。エールを口に含んでから返事をした。


「おう。なんか普通だな」

「そうだ。これがだ。レオンも賛同してくれるか? これからは崇神セブンス教徒を名乗ってくれてもいいよ」

「え、お、おう……」


 崇神セブンス教は想像以上にだった。俺でも納得できるっていうか、それこそまともだ。神様に試練を与えられているってのはよく分からないけど、自分の役割に応じて生きるだけなら、誰でもできることだろ。

 


 ゼシルは胸のポケットから、何やらカードを取り出した。トランプよりも大きい。タロットカードか?


「ほう」


 ゼシルはカードをシャッフルしたあと、一枚カードを引いてその柄を眺めている。

 俺が知っているタロットカードとは少し違う。絵だけじゃなくて、複雑な記号も一緒に描かれていた。

 今ゼシルが持っているカードは、パーンが槍を持って立っている絵が描かれている。記号の意味はわからない。書いてある文字も、なんだか普通とは違う文字みたいだ。


「レオンを助けようじゃないか。何か困っているんだろ?」


 俺はぎょっとしてゼシルを見た。タロットカードを見て言ったんだし、占いか何かなのだろうか。

 ──それより、困っていることか。


 騎士になるのはとりあえず諦めた。

 ゼシルが言うには、騎士になるためには貴族の血筋がほぼ必須であるといっても過言ではないらしい。どうしても騎士になりたいというなら、まず冒険者で一流を目指し、そこから騎士に転向する方が近道なんだと。


 もう一つ困っていること──それは黒須のことだ。けどもうスワトに関わるなって言われたわけだし……。


「特に困っていることはないよ」

「んー、嘘だな? それくらい分かる。試しに言ってごらん」


 ゼシルの赤い瞳が怪しく光った。彼はヴァンピールなんだろうか。でも戦士ナイトギルドに登録できるのは人間だけのはずだ。


 俺は一度息を吸って、吐いた。言うだけなら問題ないのかな。


「その、実は、人を探していて」

「へえ? 誰を?」

「有名人なんだけど、シエリ・クロスって……」

「もちろん知ってる。なるほどな。なぜ探しているんだ? みんなとは別の事情ってことだろ?」

「おう。なんていうか知り合いというか、幼馴染っていうか……」


 転移者ってことは言う必要ないよな。ペラペラ人に話すものでもないだろう。もう色んな人に話したあとだけどさ。

 ゼシルはゆっくり頷いて、カードをポケットにしまった。白ワインの入ったグラスを揺らす。氷がからりと音を立てた。


「だが、そいつを探せなくなったとか?」

「そうなんだ。スワトってヤツが黒須を捕まえたみたいなんだけど、関わるなって警告されてさ……」

「いいだろう。俺が連れてきてやる。レオンは何の心配もいらない」


 ゼシルはワインの入ったグラスを見ながら、自信ありげに言った。

 どうやって連れてくるって言うんだ? それに警告されているのにまた動いたら、今度こそ誰かが殺されるかもしれない。

 俺は口を開いた。


「ゼシルも危ないよ。もう俺は警告されているんだぜ?」

「平気だ。俺はこう見えて強いのさ」


 ゼシルはそう言って、こちらを見た。


 さっきから気になっていたけど、ゼシルの口が変だった。口がっていうより、口の中が。

 口の中がキラキラ光っている。なんだか鱗粉りんぷんみたいなものが舞っているというか。見るたびにそれは色が変わり、今日見ただけでも赤、白、黒、黄、青があったと思う。


 俺が口を見ているのに気付いたのか、ゼシルが小首を傾げて笑った。


「口が気になる?」

「うん。それどうしたんだ?」

「生まれつきさ。誰かの悪戯かな」

「誰かのって何だよ。舌はどうなってるんだ?」

「舌はない。ほら」


 ゼシルは口を開けた。

 ──たしかに舌がない。代わりに光の粒が舞っている。意味がわからない。なんだこれ。舌がないのにどうやって喋ってるんだ?

 でもこの世界ではわけの分からないことがたくさん起きる。例の海の渦もそうだ。メアリに聞いたけど、呪いで姿がおかしくなった者もいるとか。スキュラだっけな。

 

 もしかしたらゼシルも、そういうたぐいなのかもしれない。もしくはこの世界の特殊な病気だとか。



 ゼシルは口を閉じると、流し目みたいにして俺を見た。ゼシルはたまに男ながらエロっぽいと思う。髪の毛が一部長いのも、なんだか昔の武士とかのヘアスタイルみたいだ。妖鬼オニのリューキっぽいといえばそんな感じもする。

 まあ服装は騎士だから、西洋風ではあるんだけど。


「ところでレオンは、やっぱり崇神セブンス教には入らないのか?」

「俺宗教とか分からないからさ……」

「そう言わずに、是非入ってくれよ」

「入ると何が変わるんだ?」

「まず俺がこの複十字のネックレスを渡す。あとは、神に感謝したい時はこうやって感謝を示す」


 ゼシルはにこやかに微笑んだあと、目をつむった。

 右手を左の鎖骨、右の鎖骨に移動させたあと、手を合わせた。指を折って包み込む。つまり神社のパンパンってやる方じゃなくて、"お願い"のポーズだ。

 その合わせた両手を額に付けたあと、そっと外す。ここまでが一連の流れらしい。うん、すげー宗教っぽい。


 ゼシルは目を開けた。


「どう? 簡単だろ。いい出会いがあったとか、幸せなことがあった時とか、感謝するのはいつでもいい。禁止していることは、無闇に人を殺したり甚振いたぶったりしないこと。それを職業にしている人は仕方ないけどな。基本は真面目に生きてほしい。だが、自分が苦しい思いをするなら、何をしたって構わない。盗みや人殺しでも」

「へえ。それじゃあなんだかほとんど入った意味がないじゃないか」

「レオンがそう思うだけさ。例えば光神カオス教徒の奴らなら入らないからな」


 光神カオス教。

 光の神フシューリアを一番に考えていて、カオスを待望してるやつらだっけ。とにかく戦いが好きな宗教。それこそ、スワト会は光神カオス教と繋がりがあるんだったよな──。


 俺は頷いてゼシルに返事をする。


光神カオス教は争いが好きなんだもんな。それなら崇神セブンス教の考えには賛同しない気がする」

「そうだろう?」

「じゃあ他の宗教は?」

悪魔デモン教だと、人間以外の使族を見下している。その考え方も、崇神セブンス教とは違うな」

悪魔デモン教ってそんなんなのか。そう考えると俺に一番合っているのは崇神セブンス教っぽいな。使族ナチュル教はどんな宗教なんだ?」

「詳細な説明は省くが、基本的には文明を否定している。あとは商いとかな。人間以外のニンフみたいな使族を見習えって感じだ」

「それは……やばいな」


 崇神セブンス教以外はまともな宗教ねえじゃん! まぁけど、わざわざどこかの宗教に属する必要もないから、断ってもいいのかな。

 けどせっかく知り合ったしなあ。彼の考え方にダメだと思う部分は別にないし。



 俺はもう少し崇神セブンス教について聞いてみることにする。


「本当にそれ以外にやることはないのか? なんか毎日神に祈りを捧げるとか、教会に出かけるだとか」

「ないな。そもそも最近できた宗教だから、まだ教会はないんだ。今後そういう仕事を作るつもりもない」


 ゼシルは真剣な顔付きになって、誇らしそうに話す。


「俺は普通に神様を慕う人を作りたいだけなんだ。レオンは他の宗教がだと思っているんだろ。それで俺の宗教はだと言った。そういう価値観の人を、俺はただ増やしたいんだ。お分かり?」

「は、はあ……」


 俺のこの考え方なんて、転移者だったら当たり前だと思うけどな。この世界の人は最初からある悪魔デモン教だとか光神カオス教に毒されているのかもしれない。

 けどそこまで言うなら、じゃあ俺は崇神セブンス教徒になろうかな。信仰を持つってなんとなく日本にいる時から憧れていたんだよな。中二病じゃないぜ?! いや、中二病か……。


 俺はまた質問を重ねた。


「最近できたって言ったけど、いつくらいにできたの?」

「五年くらい前だ」

「どれくらい教徒がいるんだ?」

「場所にもよるが、50人に一人いればいい方だな」

「街で見かけるかもしれないってくらいか。そうだ。何か買ってほしいものとか、あるんじゃないのか?」


 これが一番大事だ。日本じゃこういう詐欺があったからな。この世界だって詐欺くらいあるはずだ。

 けどゼシルはきょとんとした顔をして、首を傾げた。黒い髪がさらりと流れる。


「何を買わせるのさ。このネックレスはタダで渡すしな。神を信仰しているのに、俺が作ったものを渡してもなんの意味もない。だろう?」

「いや、まぁそうなんだけどさ。じゃあ分かった。俺も崇神セブンス教徒になるよ」

「本当か! レオンに声をかけて本当によかった。ありがとう」


 ゼシルは顔を綻ばせて喜んだ。イケメンに感謝されて悪い気はしないな、うん。



 俺は残っていたエールを喉に流し込む。そのあいだに、ゼシルはポケットから新しい複十字のネックレスを取り出していた。

 ゼシルは俺の方にネックレスを掲げた。


「できれば付けていて欲しいが、職業柄取らなきゃいけないなら、無理にとは言わない。もしも壊れたら会った時に言ってくれ。違うものを渡すから」

「おっけー。ありがと」


 本当に緩い宗教だな。生粋の日本人の俺には助かる。俺はネックレスを受け取ったあと、そのまま首にかけた。

 ゼシルは瞳を輝かせて喜んでいる。自分の複十字のネックレスを、優しく撫でている。よっぽど教徒が増えるのが嬉しいんだな。



 俺がエールを飲み終わっているのに気付いて、ゼシルも残った白ワインを飲み干した。こちらを見て笑いかける。


「シエリ・クロスの方は俺に任せてくれ。明日の15時、またここで会おう」


 彼の頼もしげな笑みに、思わず顔が綻んだ。

 それにしても、俺って運がいいな……。ゼシルに無理はしてほしくないけど、黒須に会えないと分かってからこんなふうに助けてくれる人が現れるなんて。

 考えてみれば、最初に転移してきた時もラムズと出会えたわけで──。神様が俺に味方してくれてる?! こういうの巡り合わせこそ、転移特典だったりしてな。


 運? 

 ──運って、幸運グッドラックの方?



 ────それとも、運命デスティニーの方?



 カチカチと時計の鳴る音が──。いや、気のせいだ。頭を振って思考を追い出す。ゼシルに笑いかけて返事をする。


「無理はしないでくれよ?」

「ああ。大丈夫だ。俺は強いのさ。?」


 ゼシルの瞳がわらう。たまに彼は、例えばラムズみたいな笑い方をすることがある。一瞬だし、もしかしたら目の錯覚なのかもしれない。赤い瞳ってちょっと怖いからな。


 ゼシルは席を立つと、藍色のコートを羽織った。颯爽と居酒屋の扉まで歩いていく。

 手をひらひらと振ったかと思うと、最後コートの裾がちらりと見えて、彼はいなくなった。

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