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やってきたのは、バーニィとTBだった。
「『アーム』のバーナード・アリソンだ。レンのこと、感謝している」
僕たちはラオスーの家のテーブルを囲んで座っていた。
「ふん。まったくお前たちはやっかいごとばかり持ち込みおって」
TBがラオスーに向って手振りで何かを伝えようとしている。
「ああ、わかっとるよ、ニキ。しかし、今さらどうしようもあるまい」
再びTBが手を動かす。
「それはそうじゃが……」
「ラオスー、TBのいってることが分かるの?」
ふたりの様子を見て、僕はラオス―に尋ねた。
「手話というものじゃよ。喋れなくても、これで意思の疎通ができる」
そんな方法があるなんて知らなかった。でも、これならTBと話すことができる。僕はラオスーに詰め寄った。
「それ、僕にも教えて、ラオスー!」
「ああ、分かった、教えてやるから、そうせくな。それより、おぬしら何か知らせがあって来たんじゃろう」
バーニィがうなずく。
「港が封鎖された」
「え……もう」
「ポートタウンに西部地区の『アーム』のメンバーが集まっている。明日、俺からみんなに指示を出す。レン、お前もいったん合流しろ」
予定ではまだあと二週間あるはずなのに。
「計画が早まっているの?」
「分からん。今情報を集めているところだ。ラオスー、レンのほうはどうなんだ」
「まあ、普通に生活できるようにはなっているはずじゃ」
僕はうなずいた。
「大丈夫だと思う」
「分かった。お前は先にポートタウンへ行け。俺たちはちょっとラオスーに話がある」
またラオスーは文句をいうと思ったけど、今回は何もいわず、ただ髭をなでてているだけだった。
「じゃあ、僕は先に行ってるよ。バーニィ、僕もバーニィたちに話があるんだ」
TBが僕に視線を向けた。
「そうか。あとからすぐに追いかける。とりあえずアレンのところにいてくれ」
立ち上がりかけた僕にバーニィが声をかけた。
「レン。お前ちょっとたくましくなったな」
TBは僕を見てにやっと笑った。
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