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あの賑やかだったポートタウンは、今は見る影もなく、まだ日が暮れる前なのにひっそりと静まり返っていた。たまに人を見かけても、みんなどこかに急いで帰るみたいに通りを早足で歩いている。
でも、アレンの店の周りだけは人が多かった。どうやら店の中だけでは入りきれないらしく、隣の空き家まで借りているみたいだった。
「レン! 体はもういいのかい」
店の前まで来ると、すぐにアレンの奥さんのジェイダが気付いて側に来てくれた。
「うん。もうだいぶ慣れたよ。それより、港が閉鎖されたって」
「ああ。三日前に突然ね」
「それにしても、こんなにも人がいなくなるなんて」
「コーディネーターが警告を出したのさ。港から危険な病原体が見つかったってね。もちろん作り話だよ。でも郡当局は感染が広がらないように、できるだけこの町から移動するよう通達を出したんだ。コーディネーターはわざわざ死体まで用意していたからね、港湾局もあっさり信じてしまったんだよ」
なるほど、それが港の封鎖の理由か。
店内をのぞくと、商品は隅に追いやられて人でごった返している。
「これ、みんな『アーム』の人たち?」
「まだ隣にもいるよ。それに全員じゃない。これから来る奴らもいる。バーニィとTBは?」
「ラオスーと話をしてから来るって」
「そうかい」
「レン!」
店の中からキャットとフランチェスカ、それにクリスが出てきた。
「お前、ちょっと見ない間に、なんかがっしりしてきたな」
キャットが僕の腕をたたく。
「ラオスーに鍛えられたんだ。クリス、怪我はもういいの」
「ああ。あのときはすまなかったな、レン」
僕は首を振った。
「腕前もぜんぜん落ちてないわよ」
フランチェスカがクリスの肩をたたき、クリスは苦笑いを浮かべた。
そのとき、僕の背後で聞き慣れたぱたぱたという軽い足音がした。
僕は振り返った。
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