第8話 宮白神社
そこそこ早いペースで登っただけあって、十分もしないうちに宮白神社に到着した。ゆらのことだし、もっとまわりを気にしながらゆっくり行くかと思っていたのだが、宮白神社への関心が勝ったらしい。すっころぶようなこともなかったし、嬉しい誤算である。
「ついたね。うーん、でも意外と小さいような……」
『そうか?俺はむしろ、意外と大きいと思ったんだが』
同じものを見ているのに、感想は逆だった。無人にしてはそこそこ広い、至って普通の神社。それが俺の第一印象だ。
円形になっている敷地の奥の本殿は小さな集会を開けそうな程度はあり、横を見れば手水舎や石灯籠、狐の石像なども立っている。山中にあるにしては、敷地も広い。全体的に比較的新しく見える。
「そう?こんなものなのかあ……」
『多分、初詣で行くみたいな、大きい神社を想像したんだろ?神主や宮司がいない神社なら、こんなものじゃないか』
「ふーん。……何というか、普通だね」
『まあ、普通だよな』
狐の像があるくらいで、何が珍しいとも思わない。何か思い出すようなこともない。元から期待などしていなかったが、それでも拍子抜けだ。
「ここで神隠しに遭ったんだよね。んー、でも、変なものは特にないかなあ」
『ないな。まあそれはなくて当然だ。一応は管理されてる神社だし。……それより、何か思い出すこととかあるか?』
「ないねー」
そう言いつつ、ゆらは左右にある狐の像に近寄り、じろじろと眺める。もちろん、突然喋りだすこともなければ何か秘密の暗号が隠されているなんてこともない。
それ以外も少し時間をかけて歩き回ってみるが、まあ当然というか、不自然なところはなかった。それでも一応はゆらに指示して、写真を何枚かとっておく。
境内を二周したところで、ゆらが諦めたように目を伏せて立ち止まった。
「うーん、あとはもう、見てないのはこの本殿の中しか……」
『いや、覗くのはそれこそ罰当たりだろ。分社の方にも行くんだから、そろそろ次に行かないか?』
「あはは、冗談だよ。さすがにそんなことはしないって。あ、でもちょっと待って。お賽銭、入れていかない?」
ゆらは本殿に合わせていた視線を若干下にずらしてそう言った。
そういえば本殿の前にはちゃんと賽銭箱がある。せっかく神社に来たのだから、確かにお賽銭くらいはするべきだ。
『そうだな。せっかくだし、そうしよう』
「いいの?やった!」
俺が賛成するとゆらは嬉しそうに賽銭箱の前に駆け寄った。
「ボクからやっていい?」
『どうぞ』
俺がそう言うと、ゆらは財布を開き、五円玉を手に取った。願いをこめるように一度ぎゅっと握りこみ、そっと賽銭箱に投げ入れる。
ーーカラン
ーーパン、パン
「…………」
手を合わせて、何かを願っている。
どんなことを願っているのか知りたい気もするが、ゆらはそれを伝えてくることはなかった。知られたくないことなのだろうか。いや、ゆらに限ってそんなことはあるまい。
「……よしっ!」
参拝が終わったらしいゆらが目を開け、手を下ろす。じゃあ交代ね、という声が聞こえたかと思うと、引っ張られる感覚と共に一気に世界が鮮やかになる。一瞬の後には、俺は賽銭箱の前に立っていた。
「…………」
俺も財布を開き、小銭を探す。五円玉はゆらが使ったのが最後だったらしい。代わりに十円玉を掴む。一円玉もあったがさすがにケチに思われてやめておいた。
持った小銭を弄びつつ、何をお願いするか考える。本当なら格好つけて夜刀上ゆらの意識が戻ることなどを願いたい場面だが、今は自分のことで神頼みしたいこともある。
(……よし)
小銭を投げ入れる。
ーーカラン
ーーパン、パン
「…………」
ーーーーどうか、誰にとっても悪くない結果に落ち着きますように。
そう願う。
はっきりしない願いかもしれないが、こうなってくれたらと思う。
少し前までは二重人格の解消とか、体を奪われないことだとか、自分のことのみを望んでいた。いや、実際に最初はそんな内容の願い事にしようかと考えた。
しかし神頼みの形とは言え、いざ自分の考えを外に向けて具体的に示すとなると、単純に解消などと言うことは気が引けてしまったのだ。今は、少なからず自分だけでなくゆらのことも気にかけてしまう。
接した時間は少なくても、彼女は俺の中で大切な存在になり始めていた。だから今のままの関係が続くにせよ、消えてしまうにせよ、……もしかして本当に夜刀上ゆらとして覚醒するにせよ、出来ればゆらにとっても満足できる結末を迎えて欲しいと思う。
俺としても、ずっと一緒に生きていくことすら、今の関係が続けられるのなら悪くないと思えてきた。俺の中から消えるとしても、出来れば納得した上でそうなってほしい。……もしも三番目が実現することになれば万々歳、か。
だから『どんな方向であれ、俺にとってもゆらにとっても良い方向に向かえますように』に決めようかと思ったが、その前に智惠さんと愛梨ちゃんの顔が頭を過ぎった。
夜刀上ゆらが目覚めるかどうかはともかく、彼女たちにも良いことがあって欲しい。そう思って範囲を広げ、結局こんな願いになってしまった。
「…………」
少し長めに、念入りに手を合わせてから目を開ける。
『あ、終わった?長かったね』
「待たせたな。じゃあ、次に行こうか。いいよな?」
『うん、いいよ。ここには何もなかったし、一番上の分社に行ってみよう!』
ゆらに確認を取ったあと、踵を返して入り口まで戻る。
鳥居をくぐり、その先の短い階段を下りると、そこには分かれ道がある。左の下り坂は今来た道。そして右の上り坂が頂上に続く参道だ。
迷わず右の道を選び、上っていく。先ほどまでとは違い、明確に道が古く、粗末なものに変わった。
気にせず足を動かして階段を上がる。木が覆うように生えていて日陰が多く、意外と暑さが気にならない。
『ねえ、さっき神様になんてお願いしたか、聞いていい?』
「え、まあいいけど」
少し歩いたところで、ゆらがそう聞いてきた。別にいいと頷きを返す。
「『誰にとっても悪くない結果に落ち着きますように』だ。我ながら具体性のない願い事だとは思うけど、まあ神頼みなんてそんなもんだろ?」
『悪くない結果って、ボクが目を覚ますってことだよね?ありがとう!』
「あ、ああ……」
ゆらは嬉しそうに、しかしどこか申し訳なさそうにお礼を言ってきた。
俺の言った悪くない結果はーー少し違う。
しかし同意してしまった。俺の願い事は、もう少し消極的なのに。
ゆらの言ったことは、確かに理想だろう。しかし俺はそこまでの奇蹟を信じられず、だから妥協した。
せめて悪いことが……俺が体を奪われる、ゆらが失意の内に消失する、愛梨ちゃんや智惠さんの仲が拗れてしまう、といったことはどうか起こらないでほしいと。
……微妙に意味が違うとは言え、訂正まではしなかった。悪いなと思う気持ちを誤魔化すように、質問を返す。
「まあ、そんなところだ。ところで、そう言うお前はなんて願い事したんだ?」
『うえっ、ボク!?』
「おいおい、俺には聞いといて自分は聞かれないとでも思ったのか?ま、言いたくないんなら別に構わないが」
思わぬ狼狽えように、少し驚く。ゆらのことだし、どうせ早く目が醒めますようにとか、容易に想像のつくお願いをしているだろうと思っていたのだが。
『わ、笑わないよね……?』
「は?いや、まあ、笑わないけど」
笑うようなことを願ったのか?
訝しみながらも頷く。
そして、ゆらは恥ずかしそうな小さな声で、ぼそっと教えてくれてた。
『その……お、おかあさんと一緒にいたい、というか……』
「……お母さん?」
……つまり、智惠さんか。
ほほう、あの人が琴線に触れたと。はは、やっぱり子供っぽいとこあるなーこいつ。
と、笑っちゃダメだ。
「なるほどなあ。つまり、早く智惠さんと暮らせるようになりたいってことか。いや、いい願いだと思うぞ」
『う、うん……ありがとう』
…………?
何だろう。何か引っかかるんだが。
間違ってはいないと思うのだが、どこか煮え切らない肯定。ゆらの返事は、ちょうど俺がさっきゆらの質問に答えたときの『ああ』にとてもよく似ていた。
俺が訂正しなかったように、ゆらの願いにも彼女が敢えて訂正しなかった、俺が思っている意味とは違う何かがあるのだろうか。
……まあ、わざわざ指摘はするまい。お互いさまだ。
「あ、そういや代わんなくてよかったか?」
話題を変える。
少し歩いたことで、先ほどのお賽銭のときに交代したままだったことを思い出した。
また代わるか聞いてみる。
『え、どうしよう。……うーん、今はいいかな』
「そうか?まだそんなに歩いてないけど。……まあ、あんまり変わり映えしないしな」
こう言っては何だが、道の両脇にはひたすら木が生えているだけで変わった物が無い。目印になりそうな物がなく、確かに迷いそうだと納得する。
そうこうしている内に、分かれ道が見えてきた。聞いていたとおり、立て札等は見当たらない。曰く、適当に登っても分社に着くとの話だが、どちらから行こうか。
『どっちに行く?』
「上に続く道ならどっちでもいい。どの道を通っても上まで行くぶんにはそう変わりないらしいし」
『うーん、どっちかと言えば右の上り坂が真っ直ぐ上に続いてるような……』
「じゃ、そうするか」
『うん!……あれ、どうしたの?』
「いや、一応メモをな」
携帯のメモ機能を使い、右とだけ簡潔に記しておく。適当に歩いても着くのは上りの話で、いざ下りるとなると途端にややこしくなるそうだ。まさに、『行きはよいよい、帰りは迷い』である。
迷ったあげく山の反対側に出た、なんてことになっても嫌なので、来た道はちゃんと覚えておかねば。
「行くか」
『うんっ』
スマホをポケットにしまい、右の道に足を向ける。
賑やかなセミの声を聞きながら、たまには山登りも悪くないなとぼんやり思った。
結局、一度も休憩せず山頂の辺りまで登り切った。かかった時間は一時間強。山登りとしてはそんなに大した時間ではないが、脇道は確かに多かった。何故にわざわざ多く作ったのか。
しかし、何はともあれ、
「ついたな」
『ついたね』
階段を上った先に見えてきた鳥居をくぐると、先ほど見た本社の境内と似たような場所が目の前に広がっていた。木々に囲まれた中にぽっかりと円形の更地が広がり、奥には本殿らしき建物が見える。ちなみに山頂付近と言われ、密かに眺めを期待していたが、木が邪魔をして回りを見渡しても見事に何も見えなかった。
ちょっぴり落胆したが、気を取り直して境内を見渡してみる。元は本社だったと言うだけあり、敷地の広さも本殿の大きさも後からできた下の本社に引けをとらない。とは言え、建物は下に比べかなりボロっちい。かなり長く手入れされていない様子がうかがえる。
『思ったより、こう……大したことないね』
「どんなのを想像したのかは知らんが、まあ、ボロいよな」
ここまで来る道にしても、石畳だったり何もなかったり、中には単に木が敷いてあるだけだったりとろくに整備されていなかった。ただし同時に、多少歩きづらいだけで危ないと感じる場所は無かっただけましではある。ここは聞いてきた通りだった。
ちなみに、ここに来るまで一切人を見かけなかった。観光地というわけでもないし、当然ではあるが。
『そういえばここに来るまで、鳥居が並んでるのは見なかったね』
「確かに。愛梨ちゃんが言ってたとおり、別のルートにはあるのかもな。まあ夢の話だし、なくてもおかしくはないけど」
そう適当なことを言い合いつつ、境内を歩く。さっきゆらが歩いたコースと同じように大きく一周しようと考え、周りを観察しながら歩きだした。が、少し歩いたところですぐに一旦止まる。
「あれ、後ろにもう一つ建物があるのか」
『あ、本当だ。前に隠れて見えなかったんだね』
見る位置をずらしたことで、隠れていた建物が見えるようになった。少し足を早め、よく見える位置に移動する。
本殿の後ろに、もう一つ同じような建物があった。さっきまでは前の建物に隠れていたが、大きさ自体は前とあまり変わらない。何となく下の本社と同じかと考えていただけに少し驚いた。こちらの建物もまたボロい……が、前にある建物よりかはまだましだろうか。無論、下の本社とは比べるべくもないが。
『後ろの建物は何なんだろうね?』
「倉庫か何かかな。もしくは社務所か。案外、昔は神主がここに住んでたのかも」
『あー、なるほど』
もう少し近づいてみる。
これだけボロければ中の様子が覗けるかと少し期待したが、きっちりと締め切られて隙間がある様子はない。
塗料が禿げて木の色が表に出ている扉や壁は、腐っている部分も多く脆そうな印象を受けたが、さすがに破るわけにもいくまい。
一応裏にも回ってみるが、残念ながら特に何もなかった。
本殿の回りを一周し、正面まで戻る。気にかかったのは本殿の建物が二つあるくらいで、他は別段変わった物はなさそうだ。思い出せそうなこともない。多少脱力するが、どうせこんなものだという諦めは最初から持っていた。ゆらとの山登りはそれなりに楽しかったし、気にはしない。
『……うーん、これだけかー』
「まあ、そう言うなって。山歩きは楽しかっただろ?」
『ん、もちろん!』
……結局俺が表に出て行動する場面が多かったが、外を出歩くことは楽しんでくれたようだ。それだけでも、来た価値はある。
もう一周するかどうか迷ったが、これ以上何かあるとは思えなかった。一度入り口の方へと移動し、境内の真ん中少し手前辺りで改めて本殿の全体像を視界に収めてみる。
「…………」
『…………どうかした?』
「……いや何でも。ただ、寂しい光景だなって思って」
こうして見ると見捨てられた神社といわんばかりの様子に、なんとも言えないもの寂しさが湧いてくる。
打ち捨てられた雨晒しの木造建築は、まだしっかりと風雨に耐えている。しかしすでに外側はボロボロで、直そうと気にかける人もいない。建物がしっかり残っていて、それがかつての立派な面影を感じさせてくるぶん、余計に侘しい気分になる。耳に痛いくらいの静寂が、人が来ないことを如実に表しているようだった。
……もっとも、ここの神様は忘れられたわけではなく、神社が移されただけなのだ。新しい、人里に近い場所で人々の拠り所になっていると思うと、そんな感傷も長くは続かなかった。
「さて、一周してきた訳だが……なんか気になったところとかあったか?」
『んー、別に……』
「だよなあ。ま、一応はこっちでも写真を撮っとくか」
スマホを構え、本殿が収まるように写真を撮る。これ、あとで見たら心霊写真ならぬ神霊写真とか撮れてたりしないかなーなんて考えながら、一枚、二枚とシャッターを切る。
後ろの建物も写そうと場所を移動しようとして……そこで、ふと足を止めた。
「……あれ?」
『どうしたの?』
「いや、…………圏外?」
スマホの画面を注視する。
アンテナが立っていなかった。
『あれ、本当だ。ここ、電波飛んでないの?』
「……みたいだな。山の上だし、まあそういうこともあるか」
少しばかり釈然としないものを感じながらも、そのまま写真を写していく。後ろにある方の建物も写すために、結局ぐるりともう一周してしまった。
「こんなもんかね。さて、じゃあ帰ろうか」
『そうだね!あ、お賽銭どうする?』
一周したところで帰ろうとすると、そんな提案があった。振り返ると確かに、賽銭箱はちゃんと置いてある。
「さすがに要らないんじゃないか?さっきお賽銭は入れたし、そもそも回収する人がいないだろ。でも、お参りはしていくか?」
『うーん、でもさっきお願いごとしちゃったよね?』
「別に二回しても問題はないだろ。軽くでいいから、手を合わせとこうぜ」
二回もお願いごとをするつもりは無かったが、せっかく来たのだから、挨拶くらいはして帰らないと神様に失礼だと思うのだ。
ーーパン、パン
「……」
『……』
わざわざ交代もせず、目を閉じる時間も短めだったが、本日二回目の参拝だしこれでいいだろう。一礼してくるりと踵を返す。
『はあー、結局何もなかったね』
「まあそう上手くはいかないさ。期待してくれてそうな愛梨ちゃんには悪いけどな」
『あはは、それは確かに困ったね、どうしよう』
「仕方ないし、正直に成果なしって言うしかないだろうな。これ以上嘘つくのはごめんだし」
『……うそ?』
「あ、いや、気にするな。夢の内容を思い出したことって言って話しちゃっただろ?あれのことだよ」
『あ、なるほど。……でも、何だかんだで楽しかったなあ。ボク、神社も山も初めてだったし』
「そりゃよかった」
俺も久しぶりだったし、悪くはなかった。宮白山は目立ったものがあるわけではないが、軽い山登りには適していたと思う。
この分社も静かでいい場所にある。静けさが過ぎて侘しさがアップしている気はするが、それはそれ。世俗から離れた静寂さはときにありがたいものだと思う。山頂からの景色が見えないのは残念だが。
……でも、静かすぎやしないだろうか。
「……そういやここ、セミの声が聞こえないな」
『あ、そういえば。ミンミン響いてるのに慣れちゃって気づかなかったよ。この辺りには住んでないのかな』
夏真っ盛りの森の中、うるさいほどにミンミン鳴きまくってたセミの声が一切聞こえない。耳に届くのは、俺の声の他には微かな風の音と木がそよぐ音だけだ。
……この静寂さ。俺はさっき世俗から離れていると感じた。それはつまり、人の世界から切り離された場所なのか。
携帯が圏外だったことを思い出す。何となく、町が随分遠くにあるような気がした。
「……帰るか」
『……うん』
さっきまでは心地よかった静寂になんとも言えない無気味さを感じ、少しばかり足早に出口へと向かう。無意識に右ポケットの携帯を確認していた。それは圏外になったとは言え、元来た道を示すメモを記録している。
堅い感触を確かめながら、帰り道はしっかりと確認しながら戻ろう、と心に決める。今は少しでも早く、あの町の喧騒の中に戻りたかった。
……はっきり言って、俺の考えは甘すぎたと言わざるをえない。神隠しがあった山に登るにしては、無用心に過ぎた。
一度神隠しにあった者は、神様が近くなる。夢を含めると三回も神隠しに関わった俺たちがそちらに引かれやすくなるのは、ある意味予定調和であったろう。
まあこの時点では神隠しの存在自体を信じていなかったのだから、仕方ないことではあるのだが。しかし神様を相手に、信心の有る無しなど関係はない。
ただ来る者を、隠すだけ。
いきはよいよい、かえりはまよい。
宮白山の神隠しが、牙を剥く。
……気づいたときには、もう遅いのだ。
ーーーーあれ?
鳥居をくぐり、階段を下り始めたところで、ゆらが疑問の声を上げる。
ーーーーどうした?
心なしか急ぎ足で階段を下りつつ、ゆらに尋ねる。が、返答を聞く前に俺にもそれが見えた。
ーーーー霧が出てるね
まよいながらも、かえりませ
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