この顔にピンと来たら助けてくれ。

第17話 最終回

｢このグチョグチョどうする？｣

｢真っ赤だな｣

｢これって肝臓じゃね？｣

　..................。

　この物語ってこんなんだったっけ？

　何があったか。

　簡単だ。窓が決めた『戦う奴』に関係なく全校の戦闘狂で攻撃を仕掛けたら見事作者死んじゃった。で説明がつく。

　それを踏まえてもう一度問う。

　この物語ってこんなんだったっけ？

　楓が話かけてくる。

｢やったな大地。世界を救ったぜ｣

　作者死んだのにか。

｢やっぱり平和が一番だな｣

　教室が血の海なのにか。

｢犠牲も最小限で良かった｣

　東京帰って来ねえのにか。

　楓は戦闘狂のトップだった。どこか可笑しいかも知れない。

｢作者の肉って美味いかな？｣

　駿斗怖い。

｢私の出番少ない｣

　紗彩。女子で唯一名前が出ただけでも喜べ。

｢俺のライダーキックを......｣

　......。京太郎はもういいや。

　でもまあ、あの緊迫した空気の中から作者の犠牲でここまで笑いの溢れた(恐ろしい)空間になったのだ。凄い(恐ろしい)事だろう。

　......てかこれ、作者死んだのに誰書いてんだ？

　まあいい。今はあまり考えないようにしよう。

　嫌だったこのクラス。この学校。この世界。案外、嫌うもんじゃないかも知れない。

　退屈だと思ってたけど、意外と楽し、

｢おい大地。何一人でいい空気なってんだよ｣

｢そんな空気、この物語には似合わねえだろ｣

｢そうだぜ大地。最終回だからって調子のんなよ｣

　クラスメイトの声。......主に男子だが。

　そうだこの物語にいい空気とかいらん。｢この顔にピンと来たら助けてくれ｣は、最後までふざける。

｢てことで大地、あのネタやれよ！｣

｢そうだ！ 性転換やれ！｣

｢やんねえよ！｣

　もしかしたらどっかふらついていたら作者（バカ）に会うかも知れない。俺と同じ気持ちの奴が、それ以上に苦しんでる奴も勿論いる。

　もしもそいつらにあったら、一人で苦しんでる奴がいたら。

　その顔（苦しみ）にピンと来たら助けてやって欲しい。