俺は誰を恨んだら良いのか解らない。コロナか、差別か、負けた者か

2020年、あのウイルスが流行っている時、2人の高校生の日常がガラッと変わってしまう。

2人は恋人同士で、お互いの両親にも紹介して認められている仲。放課後一緒に勉強したり、たまに会ったりしてコロナ禍の中なりの方法で青春を謳歌していた。

しかし‥‥‥

この物語が、単なる物語なのか、ノンフィクションなのかはわからないが、コロナ禍初期の激しい差別のような事件は、今となっては当事者以外には忘れ去られているようだ。

実際、私の周りでも、転居を余儀なくされた人がいたという事実を、これを読んで思い出した。忘れてはいけないのに!

差別。それは他人事ではない。自分に責はなくともどんな状況で自分が巻き込まれるか、誰にもわからない。

この物語は、そんな不安定な現実に危険信号を示してくれた作品です。

いまいちど、あの悪魔のような2020年を振り返って、自分が当事者だったら、どう振る舞えたかを考え直してみても良いのではないでしょうか。

そんな思いに至らせてくれる秀作です。是非、ご一読を!