第7話 始まった戦い
「敵艦砲撃!」
「回避行動!」
命令はすぐ伝達される。その直ぐあと、艦隊は回避行動を取る。至近弾は少ない。距離もそれなりにあるので、当たる心配は今のところは無さそうだ。
「全艦に通達、砲撃を開始せよ!」
司令官の指示で、艦隊各艦が砲撃へ移行していく。その砲撃は正確で、次々と土竜群島連合海軍の艦艇を沈めていく。
――――――――――――――――――――
「あれが、暁皇国………」
「なんて正確さだ………」
ガルシア王国海軍のメンバーは驚愕していた。敵でなくて良かった、と。ファルシウス王国海軍はあまりの強さに目を奪われてしまっている。
「て、手旗信号!」
「読め」
「フリーゲート艦は前進。戦列艦は後方支援に徹せよ、と」
「全艦に伝えろ!」
「はっ!」
「なんてやつらだ」
大将の証を胸につける男は、暁海軍を見て呟いた。
――――――――――――――――――――
「敵軍、反転していきます」
「そうか。深追いはするな。閣下の大切な船だ」
「はっ!各艦に伝達します!」
土竜群島連合海軍の第一波は敗北を喫した。あの大艦隊は半数を失っていた。
「呆気なかったですね」
「ああ。しかし、たかが前哨戦だ。気を抜くなよ」
「もちろんです」
――――――――――――――――――――
「ただいま、土竜海軍の第一波が終わりました」
「ど、どうなったんだ!?」
谷口の報告にラクセン王は焦りを見せる。
「無惨に敗北したのでは………」
ラシード王は悲観的だ。
「やはり講話すべきだ」
「致し方ない。それが良いかと」
ゼン王とホルス王子はそれぞれの考えを述べる。
「待って下さい。まだタニグチさんは話しを終えていません。…………どうぞ、タニグチさん」
イレーネ大公の仲介で、谷口は海戦の報告を再開する。
「敵艦21隻を撃沈、43隻を大破、その他不明。友軍の被害は3隻轟沈、19隻が大破、12隻が中破、その他損傷軽微です」
「なっ!?」
「本当か!?」
「す、すごい……!」
「まあ!」
「あの大国に、勝利したのかっ!?」
思っていた通り、皆驚愕の表情を浮かべている。相手は海洋大国。こちらは後進国だ。この反応は当たり前だ。
「ありがとう!タニグチ殿!」
ラクセン王はとても嬉しそうだ。涙が見える。
「まさか、勝つとはな」
「し、信じられない…………!」
ゼン王とラシード王はいまだに驚いている。
「流石ですわ」
「私はあなたがたを見くびっていたようだ」
イレーネ大公は目を細め、谷口を見つめる。ホルス王子は謝罪を入れる。
「しかし、まだ第一波。次に備えなければならない」
「そうです。ホルス王子の言うとおりです。次に備えなければななりません」
ホルス王子と谷口は次を考えていた。第一波の海軍の総数が約90隻。第二波も同数くらいはいるのではないか?谷口はそう考えた。
――――――――――――――――――――
ラクセン王とラシード王が海軍の再編のため会議所を後にした。この場にはイレーネ大公、谷口、ゼン王しかいない。
「陸については、要塞化を進めています」
「要塞化……?」
「要塞化だと?」
「はい」
谷口は資料を配り、説明を始める。
「海岸付近には砲台を設置し、敵を迎え撃つ準備をします。内陸部にはトーチカや塹壕を設置しています」
「と、トーチカ?」
「ごめんなさい、良くわからないわ…………」
そうか、トーチカの概念がないのか。
「トーチカは、一般的に円形や方形などの単純な外形で、全長が数メートルから十数メートル程度、銃眼となる開口部を除いて壁で保護された防御施設です。この急造ののトーチカでも、大砲くらいなら簡単に防げます」
「なんだと……」
「す、すごいわね」
驚愕といった風な2人に苦笑しつつ、谷口は説明を続ける。
「石造りのトーチカなので、大砲を防ぐのが限度です。内陸部の塹壕に沿って建造しています」
「な、なるほど。簡易的な要塞、ということだな?」
「そうですね。兵の練度によりますが、歩兵軍団程度なら、簡単には突破できないでしょう」
「そ、そうか」
ゼン王はたじろぎながらうなずいた。イレーネ大公は言葉を失っている。
「あなた方は、一体………」
「我々は…………この地に国を作った東洋人の国、ですよ」
「東洋人………」
「聞いたことがないな」
ゼン王もイレーネ大公も東の方面は大陸内しか知らないようだ。東洋人というのは存在する。暁皇国が編入した土地の民族は東洋人と名乗った。
調査は戦争で、お預け状態。谷口はいつか日本に帰れることを祈った。
ゲームの世界で国主始めました ラインズベルト @kisimoto
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