第4話 驚異的ノーラル!
「なぁノーラル、お前ちゃんとサンプル品集めしてるのか?」
「あ、あぁもちろん!生えているキノコをつんつんして粉が飛ぶのを楽しんでなどいない!」
「楽しんでるんだな…。」
まぁ悪魔って言ってもガキだし仕方ないか。
それにしてもさっきから、人の気配はするものの何も現れないな。メドゥーサの森って言ったって他にもモンスターはいるだろ。
そう思った瞬間だった。
ガサガサ。ガサガサ。
目の前の藪の中から音がした。
明らかにそこには何かがいる!
「おい!ノーラル!」
「はいよー!わかってるぞ!」
どうやらノーラルも気配を察していたようだ。
俺は装備の剣をかまえ、何かが藪から出てくるのを待っていた。
すると―
「ガゥルルル」
何やら生き物の唸り声が聞こえたかと思うと、黒い影が藪の中から飛び出した。
ライカはこの姿を本で見たことがあった。
「これは…キマイラか。」
剣を持つ手に力が入る。なんせ初めて相手にするモンスターだ。見た目はそれ程までに大きくはない。まだ幼体なのだろうか。
「いくぞ!ノーラル!」
「おう!」
俺とノーラルは必死に闘った…と言いたいところだったが、ノーラルが凄まじく強かった…。
思い出してみればノーラルの力はとんでもないものだった。俺の何百倍もの力を持っていた。
キマイラの攻撃を片手で防いだノーラルは村で俺に見せた魔法でキマイラを倒した。
足が震える俺にノーラルは
「ライカ、俺すごいだろ!」
と言って笑みを浮かべる。
この先俺の出番は…ないか!
よし、このままメドゥーサも倒して帰ろう!
そして俺らはダンジョンの先に進んだ。
道中、キマイラの方にもゾンビ、エキドナなどの本でしか見たことのないモンスターが多数俺の目の前に現れた。
しかしノーラルには雑魚同然だった。
いつしか俺はノーラルが倒した敵の素材集めの係になっていた。
「なぁノーラル、お前がそんなに強かったら俺の出番はないじゃないか。」
もうあれから剣を1度も持っていない。持つ前にノーラルに倒されてしまうのだ。
「ライカ、俺も永遠と魔法が使えるわけがないだろ。」
ノーラルの顔にいつもの元気は見えなかった。
そしてその言葉の意味を俺に考える余地はなかった。目の前に例のモンスターが現れた。
そう、そいつはメドゥーサだった。
今までに1度もモンスターを倒さず、眺めていただけのライカ。
そしてもう魔法が使えないであろうノーラル。
俺らにメドゥーサが倒せるのだろうか…。
幼き悪魔と始めるダンジョン攻略 トラ @tora_0810
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