第3話 メドゥーサの森

「なーぁー、起きろよライカー!」


 朝からコイツ、何でこんなに元気なんだよ。


「もう少し…寝かせ…」


「なーぁーラーイーカー!!!」


 う、うるさい!非常にうるさいぞコイツ!!

 朝から鳴り止まないノーラル目覚ましに起こされた俺は今日の日程を確認しつつ、朝食を作る。

 今日の予定は修理屋に装備を修理してもらう為に出しに行くのと、アイテムの買い出し、そして昼からは1番村に近いダンジョンの攻略に向かう。

 例年なら、ダンジョン攻略者は数多くいて、ダンジョン攻略も早いスピードで進むのだが、今年は俺1人。だから儀式の参加も俺だけだったってことだ。


 今日の朝ごはんは市場で手にいれたモンスターの卵を使った目玉焼き、そしてパン。

 なんとも組み合わせの悪い食事だ。


「なぁライカ、ちょっと少なさすぎやしないか?」


「うるさいなー。経済的にこれが精一杯なんだよ!文句があるなら、さっさと食べて、ダンジョン攻略して、お金を稼ぐぞ!」


「う、うぃ…」


 そして俺たちは午前の予定を片付け、とうとう2人初めてのダンジョンに向かうことになった。

 マップを片手に持ち、武器、装備の確認、アイテム所持の確認、などなどを俺がせっせと行っている間、ノーラルは呑気にクッキーを食べてやがる。こいつやる気あるのか…?


「よし、行くぞノーラル!」


「はいよーライカ!」


 こうして俺らは1番最初のダンジョン

『メドゥーサの森』

 に旅立った。


 村からダンジョンまでは送迎用の乗り物が運んでくれる。乗り物と言っても、草食モンスター2匹がおじいさんにムチでペシペシ叩かれながら走らせ、その荷台に乗っけられるというもの。


「ついたぞ勇者よ。攻略後はわしの持っているこの玉が光を放って知らせてくれる。その時またここまで迎えに来よう。では、健闘を祈る。」


 送迎おじいさんはそう言って俺らを下ろし、村へと帰って行った。


 ダンジョンというより深い森じゃないか。

 メドゥーサの森というくらいだからここにはメドゥーサが潜んでいるのか…。

 となると攻略とはすなわち、メドゥーサの討伐を意味するのだろうか。

 森の中には見たことの無い草木が生い茂っている。辺りの空気は少し紫色に染まっており、霧のようなモヤがうっすらとかかっている。

 俺は近くに生えていた草木を採取し、これをサンプル用カプセルに入れ、村に持ち帰ることにした。このような見たことの無い植物、アイテムなどは村でそのダンジョンのサンプル品として残される。

 こうして俺とノーラルは少しずつ少しずつ、森の中に入っていった…。

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