しろい背中

しろい背中から

 あなたのしろい足

  目のしたで展開し 翻る 傷口が

  見えることはない

白く翻り そこにあって、いずれ消えていく

 消えていくだけ、だからそこにいて


夏の正午過ぎに

 揺れる波紋を、あなたはしろい足で漕ぐ

 岩のごとく重たい波紋は目のしたで翻り展開するが、誰も彼も見ることはない

 消えていくだけ、だからそこにいないで

 いてはいけない、あなたのしろい足が正午の下で消えていく

 広がりながらどこまでもただ無くなっていき、雲間から零れる雨が重なる


太陽が真上を迎える正午に

 わたしの背中からあなたのしろい足が展開して 午後を打つ 白い闇が浮きあがる

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詩篇──冬の夜 kud @miki_k

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