安全装置
満身が
友が及ぼした烈火は、当方の神威を物ともせず、私の心身を紙屑のように焼いてゆく。
己が仕出かした罪を思い、情けない気持ちで一杯になる。
もはや取り返しがつかない世の中に、私は手ずから、更なる厄事を招いてしまった。
もちろん、いまだ言い訳が
現在の世界に人はなく、“分家”の連中が大手を振る困った世情。
上辺の平和など、いつ崩れ去るやも知れぬ。
なればこそ、この手で真の平和を築こうと、私は……
「言い訳ですか?」
「言い訳……。 そうでしょうとも」
ふと見ると、
この期に及んでもなお、唇に
「主は
意味を知るのに数瞬を要したが、すぐに得心した。
わが
拙作ながら、本来の守備力には
ただ、使い勝手は決して
今だって、宇彌嬢の猛撃は、当の
彼女が差し向ける害意に対し、当方にはわが身可愛さを覚える心積もりなど毛頭ない。
そういった
「捨てておしまいよ?
「それは駄目……」
この施策は、言うなれば最後の砦であり、わが心中に宿る
凶行の
現世に混乱を招いた後も、必ずやり直しが
「主はやはり神であるな? 鬼には成れん」
大きな瞳に多分の憐れみを含んだ姫君は、私の胴体に
“駄目!”
慌てて叫んだつもりが、一向に声を得ない。
当の
わが身可愛さから、
「………………」
少なくとも、チラリと見えた彼女の眼に、当方を害そうという影は無かった。
ならば、私の方にも、そもそも自愛を覚える理由など……
「む!?」
瞬間、姫君の
足下から噴き上がる黒炎を、赤枯れた空の彼方へそっくりと舞い上げ、
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