第3話虚飾
「××さん…!やっと追い付きましたわ…」
後ろから息を切らせながら走る者がいた。友人であり、ソリストとなる予定の結衣子だ。小学部からいつも一緒で背後をついてまわってくる。事実言うならば鬱陶しい。私がN極ならば彼女はS極だろうか。ひかれあうのだ。鬱陶しいと思ってはいるのだが。私は彼女に申し訳なさそうな笑顔と言葉を発し、並んで歩く。
できたてのお餅のようにふっくらした白い頬、カラメルソースのように明るさと深みを含んだ色をしたキラキラとした目、そして血のように真っ赤な唇。紺色のボレロとスカートを人形のように着こなす彼女は我が校のパンフレットの表紙を飾ることが高校にあがって多くなった。その理由…それは「整形」だ。実は彼女、中学部まで片目だけ一重であることがコンプレックスだった。私に何度か相談してきたこともある。彼女が本気で悩んでいることを親に話すのにも同行した。
そしたらさすがは金持ちだ。かわいい一人娘のためならと、最高の整形外科を受診させ、入院中はスイートルームで過ごさせていた。その日から彼女はみるみる変わっていった。高級ブランドの化粧品や服を買い漁りだした。
しかし学校での立場は変わらなかった。整形したことは明らかであり、さっそく悪口の話のタネになったからだ。それでも彼女は持ち前の優しさで悪口を言った人達を許した。彼女の優しさに虜にされた主役達は彼女を共にステージに立つ役者として選んだが彼女は断った。彼女は私の側にいたいと言ったのだ。主役達は一瞬しかめ面をしたが、さすがは人間関係においてのプロ。持ち前の心の広さで彼女を許した。
私は不思議に思ったことがある。彼女の優しさはどこから湧いてくるのであろう。まるでルルドの泉のように湧いてくるのだ。あまりに不思議で私は調べた。しかしそこには知ってはいけない事実が述べられていた。
☆☆有名某私立jkとS○Xしてきた☆☆写真下↓↓↓↓
彼女の優しさは援助交際による男との性行為で得ている快楽からきているようだった。もしこのことが学園と親に知れたら彼女は即退学。しかし今、この手札を切っても効果はない。私は静かに画面をキャプチャし、保存し、手札フォルダにいれた。
あぁ結衣子さん。貴方は愛らしい容姿を武器として男と乱れている。あぁなんということでしょう。ましてや写真を撮られているなど隙がありすぎる。彼女はソリストとしておいておくわけにはいかない。私はそのことを知らないかのように優しく微笑んで「結衣子、置いていってごめんなさいね?なにかしら?」と優しい友人を演じるのだ。
―演じる?
友人を?貴方は彼女に何をしたい?
何を求める?演じるなんて前と同じ、変わらないじゃない!―
また私の中から声がした。どなたかしら…とふと考えたが考えるのをやめた。考えたら笑顔の仮面が外れてしまうもの。
××な舞台 雪峰 若葉 @luma_girl8828
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