第2話脇役ではあれども

 自分自身は脇役に転じたはずだった。しかし私は大変なことを忘れていた…あぁ…なんということなのでしょう…私としたことが…


 脇役とは言えどその中にもやはり脇役の中の主役がいるのだ。主役の中の主役は確かに目立つ。明らかに「主役」なのだ。しかし、脇役にも「名脇役」というものがある。常に周囲を見て主役を引き立てるものなのだが、脇役の中ではそう。名脇役こそ、主役。密かに暗躍し、上手くコトが行けば真の主役になれる。やはり脇役の世界でも私はあやつり人形だ。その中でも「名脇役」となってしまった私は周囲の脇役達から丁寧に扱われ、皆から「ご機嫌麗しゅうございますか?」と言われるような存在になってしまった。しかしこれも練習のひとつ。白百合のような微笑みで交わしていくのだった。


「お茶の加減いかがでしょう。嬢。」

「上々ね…今日の茶葉はどこから取り寄せたものかしら。」

「イギリスでございます。嬢、お菓子もありますがお持ちいたしましょうか?」

「ええ…頼もうかしら。今日は晴れてるからワゴンごと持ってきてくれるかしら?今日は自分でゆっくりお菓子を選びながら食べたいのよ。いいかしら?」

「承知しました。いますぐお持ちしますね。」

 使用人は屋敷にお菓子を取りに行った。

 明日はどのように手駒を動かそうかと、私は1人静かに歪な笑みを浮かべながら庭で紅茶をすするのだった。

もし上手く行けば…すべて私の思い通りに動くのだから。


―ねえ、私。なにか違うのじゃない?

       それは逆戻りするだけ…

         私が嫌いな者と同じに…


なにか私の中から声がした…

きっと気のせいだ。

今の私は大きな野望を抱いている。そうそれは…それは…

ふふっ…まだ言えない。これはまだまだお楽しみに取っておかなくては。

青春というこんなにも楽しく、滑稽な幕は他にはないのだから。



 さあ私という名脇役は明日も舞う。脇役達の中で眩しいほど輝く私をどうぞご覧くださいまし。



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