××な舞台
雪峰 若葉
××な舞台の少女達
第1話未確認
私が「みんなと一緒じゃなきゃ仲良くできない。」と学んだのは幼稚園児の頃だった。
体が弱く休みがちだった私は幼稚園ですこし浮いてしまった。そしてすこし違うこと、劣ることがあると排除、嘲笑する世界があると知った。私はショックだった。みんな違う顔で、違う親から生まれたのに、なぜすべてお揃いにしたりしようとするのだろうと。たいして仲もよくない子に合わせ、自分の意思を殺し、他人を見下すのか私はわからなかった。
小学生になり進級するごとに、私はすこしだけわかるようになった。自分の意思を殺すことで他人から好評価を得ることができると。私はその時から意思を殺すようになった。まわりに合わせれば、シナリオ通りに他人と接すればいいと。それができる私は勝ち組であると。周りからみれば滑稽な演者だっただろう。
そして学校が「舞台」であると。
もちろん私は裏で「八方美人」として扱われていた。そのうち私は面倒くさくなり影を薄くすることを覚えた。そして学校生活という舞台の裏方として、徒党を組んで舞台のキャストとして明るい人気者達を、引きずり落とそうと暗躍した。もちろん裏方であっても努力は怠らない。人を惹き付けるための話し方や仕草。人間観察も怠らない。報われるかわからないこの努力。人気者からしたら、日陰者の妬みなどつまらなく、鬱陶しかっただろう。
―ある日ふと気づいた。自分が大切にしているものは?
他人を引きずり落としたところでなにになる?
その先に私が得るものは?そもそも何故…
これ以上は書き表せない…しかしその日私は目の前が真っ暗になり、何もわからなくなった。自分の存在価値ですらも…
私は人間関係という名の人形師のあやつり人形として動いていた。そしてこれからも私は人形師に操られるあやつり人形なのである。
表向きの言葉や表情があやつり人形である私たちの舞台衣装とメイク。
一見美しくてもよくよく見ればその舞台衣装とメイクは目も向けられないような醜く、ドス黒いものでできているのだ。
人生というストーリーの上で、「人生」という名の舞台で1日という1幕を命がつきるまで私たちは踊る。舞台から落ちてしまえば、振り付けを間違えてしまえば、たちまち社会不適合者となってしまう。
右手、左手、右足、左足、節々、全てを糸に括りつけて踊りましょう。さあさあ、そこの貴方も私の舞台へいらっしゃい。右手はこちら、左手はそちら…
これから楽しく滑稽な舞台を演出しましょう。
皆様も手拍子、喝采を送ってくださいな。
生きている限り、「人生」という私の舞台の脇役として…
しかしこの時まだ私は気づいていなかった。
脇役の中にも舞台があると。
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