思い付きで、防犯ブザーを鳴らしながら投げ付けた携帯は、水柱に飲み込まれた。

 防水のそれは水中でもくぐもった音を発し続けているが、迫る水獣すいじゅうの勢いは止まらない。


 いまわしいほど人間じみた顔を持つ化物は、ユリカを吐き出し、水柱に飲み込まれたわたしの腕をくわえる。

 息が続かない。


 薄れゆく意識の中、化物の向かう先は水天宮すいてんぐうだとおぼろげに理解した。


END.10



https://kakuyomu.jp/works/1177354054884676877/episodes/1177354054884676949

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