IF 金の卵を産む鶏の主人公が日本の公務員だったら
@kkb
第1話
****** ウソップ物語 *****
昔昔あるところに日本という国がありました。昔は貧しい国でしたが、国民が懸命に働いたおかげで裕福な国になりました。
日本には大勢の人達が住んでいて、その一部は公務員と呼ばれ、公の仕事をしていました。公務員以外の人たちは民間人と呼びます。公務員の収入は民間人が支払う税金から得ていました。
公務員の収入は安定していましたが、長い間、それほど高くはありませんでした。
経済がバブル景気に沸き返っていた頃、公務員は相対的に慎ましいポジションに置かれていました。
それがバブルが弾けると、給料や退職金がよくて、失業する心配もなく、一生裕福に暮らせる就職人気ナンバーワンの憧れの職業になりました。民間が苦しんでいるのにもかかわらず、新しい家、おいしい食べ物、きれいな洋服を手に入れました。
本来ならば、彼らの収入は税金だけでまかなわなければいけないのですが、民間より高い収入を維持するだけの税金を民間に課すのはさすがにまずく、国債や地方債という手段で民間からお金を借りて、収入を確保しました。
この借金というのは、主に国民が銀行に預けたなけなしの貯金で、銀行が国債や地方債を購入することで、国民は知らず知らずのうちに国や県などにお金をかしていたのです。
国や地方の借金はふくれあがる一方で、もうこれ以上、国民から借りることができなくなりました。このままでは債権価格が暴落して経済がまずいことになります。
そこで、国民の代わりに日本銀行が国債を買うことになりました。日銀は通貨を発行する立場にあります。自分で発行したお金で、国に融通する。それならいくらでもできそうですが、円が大量に出回ることになり、通貨の価値が下がる危険性もあります。
実際かなりの円安になっていたのですが、円が大量に出回ったせいばかりではなく、電気産業の競争力が下がったことも原因です。ですが、日本には自動車産業という競争力の強い分野があり、なんとか持ちこたえていました。
円安は輸出企業の競争力が上がるので、(円ベースでみると)儲かる会社もあります。産業界には円安を望む声が大きいのですが、庶民の生活は大変です。給料の手取額が毎年減っていく有様です。物価も上がり始めているようで、スーパーで売られているポテトチップスやスナックの中身がいつの間にか少なくなっていました。
民間の生活が苦しくなっているにはかかわらず、公務員の給与が毎年のように上がっていきました。
財政が悪化しているのにもかかわらず、欲深くなった公務員達は、自分達の給与を下げようともせず、民間人にもっとたくさん税金を払わせようとしました。
そこで、消費税アップ、健康保険料アップ、年金支給額の減額、給与控除の制限など様々な手段で税収を上げようとしました。
ところが、税金をいくら上げても、消費が下がり、思ったように税収は増えません。
公務員達は税金を支払う民間人の腹の中を探りました。そこには資産という金の卵があるに違いないと考えたからです。
金の卵をとるにはどうしたらよいのでしょうか。がちょうや鶏のように腹を割くわけにはいきません。
簡単なことです。不動産や貯金、株式などの資産に直接課税すればいいのです。その準備として、誰がいくら持っているか把握するためにマイナンバー制度が導入されました。
資産課税の対象はお金持ちだけです。貧しい人たちは、反対どころかむしろ賛成をする始末です。
そしてついに、伝家の宝刀資産課税が行われました。
なかには海外に逃げたお金持ちもいましたが、多くのお金持ちがそれで貧乏になってしまいました。すると、モノが売れなくなり、ますます景気が悪くなってしまい、税収も却って下がり、公務員達は以前よりも貧しくなりました。
ちょうどその頃、EV(電気自動車)と呼ばれる新しいタイプの車が世界中で普及しだし、日本の稼ぎ頭だった自動車産業が不振に陥りました。財政悪化と輸出産業総崩れで、日本はまた貧しい国になりました。
租税を薄くして民を
道の明かならざる世にして、財用の不足を苦む時は、必ず曲知
西郷隆盛 『西郷南洲翁遺訓13』
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