大嵐現る

「というわけでな、お前が寝てる間に人を募集することにした」

「へえ〜」

「ポスター貼ったでござる」

「はい、お疲れさん」「お疲れ様です」

「ここら辺一帯に貼ったんで明日明後日には来ると思うでござる」

「めんどくせーし今日は休みだな」

「そんな適当に決めるんですか!?」

「店長だから」

「それで許されるんですか・・・」

「じゃ、俺寝るから。勝手にしてくれ」

「えっ?あ、はい」

「ミケ殿はどうするでござるか?」

「えーっと急だからなあ・・・。うーん」

「悩め若者よ。でござる」

「はい、出ました。外行きたいです」

「心得たでござる」


 外に行くことにした理由は、何か思い出せると思ったから。

 あと、ここがどこだか知りたかったから。


「ここら辺結構栄えてるんですね。人いっぱい」

「いわゆる市場でござるからね」


 全員人。変なとこじゃないぽいな。


「ここには色々あるでござるよ。思う存分羽根を伸ばすでござる。」

「ござるさんここのところ働きっぱなしでしたもんね」

「いつもより多めに回ったでござるよ。目が」

「ふふっ。それじゃあ楽しみましょう!どこいきます?」

「全力で娯楽施設回るでござるか」


 それからはいろんなところに行った。

 いろんなスポーツが出来るとことか、似顔絵描いてくれるとことか。

 でも、日本と変わらないとこばっか。もはや日本でした。


「楽しかったでござるか?」

「もちろん!でも変わったところってないんですね」

「変わったところがちょっとわかんないでござるけど、不満だったでござるか?」

「いやいやいや!そういうわけではないんですよ!ただ」

「ただ?」

「外出たら何か思い出すかもと思ってて、それで」

「そんな焦る必要ないでござる。ゆっくり思い出すでござる」

「あら?イカちゃん!今日はえらい可愛い子連れてるねえ」

「おわっヨネさんじゃないでござるか!買い物でござるか?」

「ええ、今日はスーパー火曜市だからねえ」


 やっぱここ日本なんじゃ・・・


「また困ったことがあったらなんでも相談してくださいでござる」

「ええ、また今度ね」

「今のおばあちゃんお知り合いですか?」

「うちの大事なお客様でござるよ」

「へえ〜」

「また今度ちゃんと紹介するでござる」

「お願いします」


 そんなこんなでお店に戻ってきました。残念ながら記憶は戻らず。

 楽しかったから問題ないか


「ただいま〜」「ただいまでござる」

「人を募集してるんでしょ?アタシを雇いなさい!」

「募集はしてるさ!ただ人を募集してんだ!バケモンはお呼びじゃねえ!帰れ!」

「バケモノですってえ!ムッキー!レディに向かってなんてことを!」

「言うに事欠いてレディだあ?どっからどう見てもおっさんじゃねえか!」

「てめえ今なんつった?ぶっ飛ばしてやる!表でろ!」

「今の声確実におっさんじゃねえか!誰がでるか!」


 一体全体何事なの・・・

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異世界の便利屋さん! 秋野 夕暮 @Altair_Vega

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