珈琲というモノについてのコラム

第7話 王道の淹れ方・ネルドリップ

　さて続いてですが、コーヒーの淹れ方で最も最良などと噂が立つ、『ネルドリップ』について解説をしたいと思います。

　ネルドリップとは、フランネルという布地を袋状にしたフィルターにコーヒー豆を入れ、後はペーパードリップと同じように上からお湯を注いで抽出するコーヒーの事です。

　ゆえにネルドリップと言います。

　抽出の方法は、ペーパードリップとほぼ同じ。フィルターが紙か布かの違いになります。

　これが『王道の淹れ方』と表現したのには訳があります。それは、この方法で淹れたコーヒーは、丸みがあって穏やかな味わいになり、絹を舌の上に転がしているような舌触り・喉越しになる所からなのです。

　私も頂いた事がありますが、通常のペーパードリップでは出せない味わいに驚愕した経験があります。

　しかしこのネルドリップ、欠点もあります。それもかなり。

　まず、フィルターとなるネルですが、使い始めに一度洗ってコーヒーの出し殻と一緒に煮て、コーヒーの風味を移さなければなりません。

　そしてネルに付いたコーヒーの風味を落とさないよう、水を張ったタッパーに浸けて冷蔵庫で保存しないといけません。

　ペーパードリップの紙フィルターと違って何度かは繰り返し使えますが、多くても10回程度が限界かと。コーヒー豆の微細な粉で目詰まりし、しっかり濾（こ）せなくなってしまいますので。

　使う度に洗って保存してまた取り出す。ちゃんとした喫茶店でなければ、とてもではないですが手前がかかりすぎるのです。

　毎日のコーヒーを、手前をかけて美味しく飲みたい。そんな人向けの抽出方法です。良かったら是非お試しを。