Arashino Yoruno Shounen
そこは、、、
なんというか、駅を間違えた感じがすごい。
綺麗な観光地。
ではなく。
昔の面影が残る古都。
でもなく。
普通の。
ごくごく普通の。
掴みどころのない。
そんな、印象を与えてくる。
そんな街。
駅から伸びる大通り。
そこを、歩く。
回復した少年が一言。
「Nanka Tumaranai」
どうやら少年も同じ事を思っていたようだ。
どの街にでもありそうな。
ありきたりな食料品店が軒を連ねる。
どこを見てもありきたりな。
ありきたり過ぎて、昔見たことがあるような感覚に。
私は、少し陥ってしまいそうな。
そのうち、大通りは細い道に。
そんなところで引き返してきた。
このまま駅に引き返してしまおうかと思った。
しかし。
私の足に、そんな耐久力はなかった。
道端の。
これも既視感しかないが、喫茶店による。
ありきたりな小さな四角のテーブルへ。
私は、コーヒーを。
少年は、、、果実の搾りたてジュースを。
それぞれ注文する。
ほどなくして。
白いカップと透明なグラスが運ばれてくる。
今度もありきたりな、、、
とはいかなかった。
コーヒーは私が知っているものより薄い色。
しかし、負けず劣らずの芳醇な香り。
ジュースは、白い液体にカットされた果実が。
店員は、「特産の果実を使用しています。」
などと言っていたが。
訳なく2人は流し込む。
私が、会計をすまし、少年と外に出ると。
少し暑くなっていた。
コートを腕にかけ、私は駅へ。
少年は「Kuchiga Piripiri...」
と呻いていた。
私は、古びた駅舎の窓口へ。
さっきと変わらず、遅い列車が来るのを待つ。
降りたときは気付かなかったが、この駅はまあ大きいくらいか。
ガラガラと音をたてる小さい機関車が、走り回っている。
「おーい。危ないよぉ。キーつけろやー。」
野太い声が聞こえた気がする。
私が突っ立っていた所のすぐ横が、池と化す。
少年は「Awawa...」
いきなりの事に反応が追い付いていない。
上を見ると、ホースの口がこちらを向いていた。
そこからは、ぽたぽた水が垂れる。
全くなんなんだ。
私は、愚痴を吐き、静かに入線してきた車両に乗る。
ありきたり、既視感の街に愚痴を吐きながら。
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