Arashino Yoruno Shounen

 想像より酷い。


 森の木々の葉が、風に弄ばれる。


ゴウ


風が森を駆ける度、足元の木の葉は、宙に舞う。

 足元の、石畳が見えなくなる。

ちょうど半分、といったところか。


ゴウ


 私は、コートを押さえる。

金がとられては、たまったものではない。

私は、歩を進める。


 ようやく、街のガス灯が、ちらほらと現れ始めた。

人通りも、次第に増え始める。

再び、石畳が現れる。


 人ごみの中、私は一人、立ち往生していた。


行きたい店までの、道のりは分かる。

しかし

人の流れが、そうはさせない。


結果、思考が停止してしまった。


 通行人に小突かれること数回。

我に返る。

顔が、火種を入れた暖炉のように、熱くなる。


一度、道の端に寄る。


どっぷりと時間を使い、頭を冷やす。


 だから、街は好きじゃないんだ。

私は、1人、ポツリと呟く。


 それから。

強酸から、普通の水に戻った雨を顔に浴びる。


早く厄介事は、済ませてしまいたい。


少年もいることだし。

私は、記憶から、店の位置を引っ張り出す。


さっきよりも堂々と、道を歩き、店へ向かう。

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