Arashino Yoruno Shounen

 私は、街へ行く準備を、しようとしていた。

しようとしていた。


こんな、雨じゃなぁ。

なにせ、分かっているのだ。


強酸だ、と。


 部屋の奥に仕舞っていたいたはずの、やつを、出す。

少々、埃をかぶっているか。

気にしては、いられない。


 金庫へ向かう。

硬貨が、床にばら撒かれたようになっている。


こんなことをしていたら、いつか金が逃げていきそうだ。

今度、暇があったら、整理でもしておこう。


何枚かを、拾っていく。

 嵐は。

当分このままだろう。


そう私は、予測する。

いつもより多めで。


 少年は、大丈夫だろうか。

一声かけて。

おく必要はないようだ。


スースー、と寝息をたてているのだから。


 当分、起きる様子は。

ない。

しかし、わからない。


見ず知らずの、人の家で、1人にされるのは、恐ろしいだろう。

何か、書き残していかなければ。


私は、棚から、薄く削った木を、1枚取り出す。


羽ペンの先を、インク瓶に突っ込む。

そして、踊るように、ペンを動かしていく。


少年

起きたかな?

心配しなくてよい。

私は、買い物に出かけた。

決して、逃げた訳ではない。

嵐の中、不安だとは思うが、何も心配はしなくてよい。


 まあ、こんなものだろう。

私は、ひとり満足し、嵐の中へ踏み出すのだった。



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