Arashino Yoruno Shounen

 私は、何もする気が起きなかった。


ゆり椅子を揺らす。

たまには、地下に行くか。


 この家を作った奴は、稀代の変人だった。


私でも、まだ全ての部屋を見ていないかもしれない。


 建てた後に気付いた事だが。

そいつは、魔術師でもあった。

だからなのか。


住み始めた当初。

私は、使用用途不明の部屋をいくつも見かけた。


それに加えて。

私が、ゆり椅子でくつろいでいるこの空間。


見ればわかる。


柱の位置が、ありえない。

重力に逆らっているような構造。


極めつけは。


建築素材が不明。



こんな、へんてこりんな家も今では天国だ。


 私も一応、魔術は使える。


一応のレベルではないかもしれないが。


しかし今は。

極力、使わないようにしている。


 あれのせいで。



私は、しばし発狂していた。

収まると、腹からの救助信号が。


 全く、空気の読めない腹だ。

私は、1人、微笑してキノコを探しに、ドアノブを回す。



地下へ行く、という考えは、脳内で1人にされていた。


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