Arashino Yoruno Shounen

 私は、少年が見当たらない部屋で、1人、ゆり椅子に揺られていた。


揺れが収まってくると、また足で勢いをつける。

そして、名前も行方も知らぬ、少年を考える。


 キィコォキィコォ

どれくらいそうしていたのだろうか。

私の脳みそは、この家について語っていた。


私は、床をけるのをやめずに、うんうんとうなずいていた。




 ふと思う。

昔の仲間はどうしているだろう。


私は、とてつもない虚無感におそわれた。


あいつのこと

あいつのこと

あいつのこと


どうにもイカン。


 このままでは、まずい。


必死になり他の事を考えようとする。

が、しかし。


脳は、「当然だ」と言わんばかりに、涙腺に指令をだす。


「涙を流せ」


ああ、止まらないではないか。


 仕方のない事だ。


今日はたっぷり、涙腺に仕事をさせてあげよう。



少年に、脳が気付くのは、かなり後のことであった。


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