ルートヴィヒ少年の決断

作者 SHASHA

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★★★ Excellent!!!

 全然関係ないんですけどルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンとヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは直接の親交があったそうじゃないですか。ええ、全然関係ない話ですね、失礼しました。

 この、ある意味でのエディプスコンプレックスからの卒業の物語は、全おとこのこの心の聖域をえぐるのではないでしょうか。と言うかえぐられました。これはいけません。おとこのこは母より巣立ち、やがて母となるであろうあの子の胸に飛び込むのです。これはおとこのこの宿業なのです。

「男の」、じゃないですよ。

 ルートヴィヒという、一人のおとこのこが、内面から外郭を見つめ、さながら切り絵を作るかのように内面と外面との折衝点を探る。もしかしたら、大人になる、というのは、この部分に一定の基準を見出だした状態のことなのかな、と思いました。

 身体の性別に関わらず、おとこのこが大人になるための道筋が、この物語の中にあったように思います。

★★★ Excellent!!!

とても考察の捗る小説です。

「ルートヴィヒ」という王子様のみの視点で書かれていて、どんな国の王子様なのか、どうして辺境伯の娘を妻に迎えなければいけないのかはほとんど書かれていません。
ルートヴィヒ曰く、「由緒正しい王家の、歴史と伝統ある森と泉の国――そう言われるのは光栄なことではあるが、必ずしも実情と一致しているわけではない」とのこと。

すこし落ちぶれ気味なのかな?と思いきや。
突如として民から悪意を向けられるルートヴィヒ王子。
そして、初恋の女性、ケーテの「殿下の御世が来たら国の何もかもが良くなるって思ってます」「まだ御年十七の王子さまに、国の悪い部分を何もかもどうにかしてもらおうとしている。」という言葉、従者のマティアスの「もう本当に、この国が亡ぶかもしれないというくらい追い詰められているんですよ」という凄まじく重い言葉が出てきます。
とっても暖かい話に見えて、実は黄昏的な、別の面から見ると悲壮感のある話に見えてきます。

どういうことなのか。ひょっとして、母がルートヴィヒを十七まで箱庭に囲い続けたことと意味があるのか。色々と空想や考察が湧き出てきます。

こういう話はとても好きです。