・第八十三話「混珠から遠く離れて(前編)」

・第八十三話「混珠から遠く離れてファー・フロム・コンジュ(前編)」



「ルルヤさん、応答して下さい、ルルヤさん!」


 東京湾。妖精のような羽でビキニアーマーを纏った肢体を飛翔させるリアラは、波を蹴立てて進む黒い巨竜の背鰭に声と魔法通信で呼び掛けた。


 近くに寄って見ても、それやはりルルヤの【真竜シュムシュの巨躯】にそっくりに見えた。尻尾が一度羽上がった後水沈し、その時は湾内とはいえだいぶ沖合いであったものの、再浮上した現在は随分岸に近づいている。


 リアラとルルヤ、そのどちらも地球の現実から遠く離れた物語的な存在だ。リアラ自身地球の町に囲まれた東京湾の中にいる【巨躯】を湾岸と対比し見ると、特撮映画を囲う画面のフレームが吹き飛んだ様な一種異様な迫力を感じる程だが。


 BAGOBAGOBAGOBAGO……!!


 喧しく空気を掻き乱す騒音。恐れも危機感も知らぬマスコミのヘリコプター。


(拙い)


 リアラは少し焦る。自分の顔は、歩未あゆみが見てはっきり前世を確信する程生前の面影を残している。撮影されれば、過去故にどうしても両親はあまり心配できないが、歩未あゆみ緑樹みきに迷惑がかかるかもしれないのは避けたいと強く思う。マスコミの中で最も悪辣な部類な『情報マスコミ欲能チート』と血みどろの戦いをしただけあって、リアラはそれをひどく警戒した。


「何か飛んで来ました」「え、何?」「翼がある……」「人?」「どこどこ!?」


 水面上の【巨躯】が人目を引きリアラがそれと比べ小さく飛行してる事からまだカメラで捉えられていないが、【真竜シュムシュの角鬣】でそういう声は聞こえてくる。


「【PKSYLLLLLL】!!」「「「「「う、わっ……!?」」」」」


 この問題に、リアラは【真竜シュムシュの咆哮】を使った。威圧して攻撃を反らす効果と言葉を伝える効果の併用で、【僕の顔を撮るな、そして下がれ】と強いたのだ。カメラのピントが乱れる。神秘の力の存在を示す事になるリスクはあるが、【真竜シュムシュの世界】の効果があるので巻き込んで撃墜する心配は無いとはいえ、撮られる・巻き込むよりはこの方がマシだとリアラは判断した。


「【G……】」「ルルヤさんっ」


 ばたばたと慌ててピントのずれた映像に望遠でしがみつきながらも距離を取るヘリ達。それと同時に、【巨躯】が唸った。リアラは即座に再度呼び掛ける。だがその瞬間、リアラはいぶかしんだ。最初に目撃した沖合いで翻った尾と、今目の前にある背中は、何かこう、形は同じなのだが、質感が少し違う気がした。そして何より、竜術の気配が少し違う……


「【GIEAAAAKIAAAAFAAAANNG】!!」


 水柱をあげ、大気を震わす【咆哮】を、水面から起き上がり【巨躯】は発した。


「……!!!?」

「怪獣です! 正に怪獣です!」「信じられません! ですがこれは特撮映画ではありません!」「飛行物体、飛行する人間? ぎ、技術的問題か何かで、カメラのピントが合わないようです、申し訳ありません……そして巨大生物が身を起こしました!」


 遠ざかりながらも尚もマスコミヘリが騒ぐのがリアラの耳に入った。それより遠く、沿岸でスマホを振りかざす人間、それを安全の為規制しようとする警察官達の騒ぐ声も漠然と聞こえる。


 だが、リアラは最早それどころでは無かった。


 その頭部を、見たからだ。



「違う……!?」


 それはルルヤの【巨躯】では無かった。全体は類似している、というか、水面から出ていた部分はルルヤ大好き人間のリアラに見分けがつかないのだ、微かな質感の違いを除けば完全に同じといってよかった。同じ型から抜いたような背鰭だ。だが顔が違う。その顔は、抽象化された雄牛と鳥を融合させた頭蓋骨を象った兜を被った四角四眼の植物で出来た竜、といった顔をしていた。翼の構造も折り畳んでいる時に見える表面だけはそっくりに似て見えたが、構造は蝙蝠のそれに近いルルヤの【翼鰭】と違って鳥のものに近い。それを全身コールタールじみた泥で覆い表面を変形させ、強引に似せていたのだ。


「これ、何処かで見て……まさか、〈ギルガ二世〉の……あれの? 『泥人エルキド』で? 『天牛グガラナ』と『樹守フンババ』を変形させて繋いだ?」


 〈ギルガ二世〉。ギルガメシュ叙事詩を基にした〈Destiny/Duel in the Dark〉とは別の神話英雄解釈による物語。それに登場する主人公、ギルガメシュ王の力を受け継ぐ超神人少年ギルガ二世が従える叙事詩に登場した獣を基にした〈三大下僕〉。空を飛べと歌われた牛と鳥が融合した様な姿の『天牛グガラナ』、陸を行けと歌われた様々な獣の要素を取り込んだ植物巨人『樹守フンババ』、普段は亜人型だが変幻海のようと歌われていた黒い泥のスライム『泥人エルキド』。


 叙事詩から逸脱しているが、泥から作られた原点を活かした変幻自在の『泥人エルキド』、この程度の無茶はやり遂げるのは原作通りだが、その質量は原典より遥かに巨大。更に『天牛グガラナ』と『樹守フンババ』の合体の為の変形は明らかに改造だ。無論それは、これらを呼び出した者の仕業だ。


「でもこの気配は……違うとはいえ竜術の……!?」

「ふん、その通りだ」

「【真竜シュムシュの宝珠】……!?」


 だがその気配は姿を真似ただけではなく魔法的にも類似している。『竜機兵ドラグーン』やラトゥルハに近い。そう理解した瞬間、その眼前の偽物から【宝珠】通信。驚くリアラに語りかけたのは。


「『交雑クロスオーバー欲能チート』!? どうやってこれを……」

「単純な話だ。元々俺のこの姿は、〈とある模倣の最低最強〉は、その名の通り力を模倣する。それと『文明サイエンス欲能チート』から吸収したこれまでの研究データを組み合わせ、『泥人エルキド』にそのデータをダウンロードした……それだけだよ」


 気色ばむリアラに『交雑クロスオーバー』の返答は奇妙に落ち着いていた。【宝珠】を使用しての通信だが、それに映像が添付され『交雑クロスオーバー』自身の姿を見る事が出来た。


 その姿は黒い泥に半身を埋もれさせ、丁度ルルヤが己の意思を顕す為【巨躯】の頭部に幻像を産み出していた様に『交雑クロスオーバー欲能チート』は上半身を浮かべていた。血色が悪く肉体的には疲労して見えたが、取神行ヘーロースとしての姿『継承大権・神群統王タイラント・マルドゥク』の証であるその紅碧の金銀妖眼アレキサンドライト・ヘテロクロミアは尚もギラギラとした執念に、憎しみの対象たる地球に来た事で一層憎悪を掻き立てられる為か肉体を超越して強く激しく輝いていた。


「落ち着け。安心しろ。ルルヤに何かした訳じゃない。お前の【真竜シュムシュの世界】は、そもそもそういう事をさせない力だろう」


 そしてそうでありながら、存外余裕がある、というよりは正々堂々とした様子でこちらの疑問に応対する、そんな『交雑マルドゥク』の態度を、リアラはいぶかしみ問う。


「随分紳士的になったね。あれだけ僕らを陰湿にいびろうとした君が」

「あれは目的を果たす為に戦略的に必要だったからしただけだ。もう目的は達せられた。なら、今さら不愉快な事をする必要は無い。『全能ゴッド』が俺の欲能を使いこなせないように、俺がお前達の【息吹】や【巨躯】や【世界】の形を使える訳じゃないが……目的のものは手に入った」


 それはとても合理的な回答だ。そして同時に、その余裕の理由も分かった。


「【息吹】の属性や【巨躯】のあり方、【世界】の効果はあくまでその魂のあり方による。君は、君が願っていた【世界】を手に入れたんだな」

「そういう事だ。これで、後はお前さえ殺せば俺の望みは叶う」


 『交雑マルドゥク』がルルヤを責め立て、産み出させようとしていた【真竜シュムシュの世界】の効果。地球を強く否定し、そこにある存在の魂の全てまでもを滅ぼし尽くせるという法則。それを、『交雑マルドゥク』は己の憎悪で己のものとして手に入れたのだ。


「それにしても、それでもよく竜術を自分の身にコピーできたものだね」

「ここまで積み重ねた力、侮るな。それにな……」


 故にの余裕か、だとしても、というリアラに、それだけではないと『交雑マルドゥク』は付け加える。合理ばかりではない、と。


「このコピーは俺の欲能チートも使っている。その効果を覚えているな? 俺がコピーできるのは気に入った物語だけだ。……地球は憎んでいる、混珠こんじゅは潰す気でいる。だが、お前達のその底抜けの抵抗は、それはそれで面白いと思っているという訳だ。感嘆し、感服し、好敵手として評価した、と言っておこう。故にの礼儀でもあるさ」


 敵手として、お前達の物語を評価すると。大したものだと感服したと、偽りのない口調で『交雑マルドゥク』は宣言した。


「実際大したものだ。お前もルルヤも、悉く俺の予想を上回ってくれる。次元奔流の最後の一瞬……位置関係上先に落ちるお前、ルルヤ、一瞬別世界に存在しだが同時にどちらも狙えたタイミングでの攻防。その中でのお前のカバーリングもルルヤのカウンターも……実際大したものだったよ」


 『交雑マルドゥク』はひきつった笑いを浮かべた。理由はリアラにも見てとれた。服の千切れ、そこに付いた血、頭部の意匠から考えられる『泥人エルキド』の泥の深さからして下半身を収める隙間が無い事。『交雑マルドゥク』の体は明確に欠損している。腰から下が吹っ飛んで、断面をその泥が塞いで、血流を操る事で辛うじて生き長らえているのだ。悪魔すら上回る生命力・意志力。


 ルルヤがその一撃を加えたか。そしてリアラが意識朦朧で若干前後の認識が曖昧だったのは、その攻防の時に受けたダメージ故か。だとすれば、カバーリングしたという事ならルルヤは無事ではあろうが、通信に出なかったのは似たような理由か。


「……反応に困る事を言ってくれるね」

「構わない。それで、下半身ひとつでそちらの刃と心が鈍れば儲けものだ。後顧の憂いは絶え、戦闘において更に俺は強まった。得たものしかない変化がそちらの当惑になれば一石二鳥というものだ」

「……本当に、困るよ。君の姿は、僕に似ている。その力も凄いが、それ以上に恐るべき敵の一人だ」


 ともあれ、ここまで正面から堂々と来られるのは『神仰クルセイド』『増大インフレ』以来か。これまで散々罵倒されてきた故に肯定的・称賛的な反応に困惑するリアラに対し『交雑マルドゥク』はぬけぬけと言葉を加え、リアラを苦笑させる。肉体的な損壊等、毛ほども気に止める必要なし、我が戦意と憎悪ある限り我は不滅にして不敗、と。


 その憎悪の際限の無さはリアラにとっての強烈な圧力となるが、自身の復讐者としての業を受け止めたリアラは、それに真っ向から対峙する。


(ルルヤさんも、僕と同じような状態で地球に降りた、か。あの隕石のどれかっとして。じゃあ、ルルヤさんは何処へ……?)


「尤も、紳士的にするからといって優しくするわけじゃないぞ。これからそれを知る事になる」


 しかし同時に胸をよぎる疑問。その答えは、次の瞬間齎された。


 ZDOOOM……ZDOOOM……!


「何だ!? ……雷撃!?」


 遥か沖合いに立ち上る水柱。その中にリアラは超感覚とルルヤへの愛で確かに見た。水中爆発の水柱の中に翻る今度こそ間違いなくルルヤの【巨躯】の尾を。


「【GEOAAAFAAAANN】……!?」

「っ、ああっ!?(そうか!沖合いで一度姿を見せたのは本物のルルヤさんだけど、そこから動いていなかったのか……!)」


 遥か彼方であるがしっかりと、その【咆哮】も聞いた。こちらも今度こそ間違いない、ルルヤの【咆哮】だ。その意図もリアラは理解するが同時にルルヤから【宝珠】による通信がどっと入ってきた!


(ルルヤさん!)


 ぱっとリアラの心と表情が一瞬明るくなる。しかし、すぐ表情が引き締まる。伝わってくる情報が、中々面倒臭いものだったからだ。


 幸い、過去に混珠に持ち込まれた現代兵器と戦った経緯から、ルルヤには現代兵器についてある程度レクチャーをしている。故にルルヤの現状認識は正確だ。故にリアラも全てを理解する為初期対応は失敗していないようだが……


(【すまん寝て……ああいやついさっきまで海底で魔法力が切れかけて休眠状態に入っていた。途中寝返りを打ってしまったので気づかれたのか、周囲を地球の水中軍船が囲んでいる。攻撃してきたが、こちらで防御するまでもなくリアラの【世界】に防がれている。だが攻撃してきたという事はこいつら、お前の【世界】で守る対象に指定されていないのではないか? 迂闊に反撃し破壊するのは拙いが追い散らそうにも【咆哮】の効きが悪い。どうすればいい?】)


 すまん寝てたくらいはどうでもいいのに、と、ルルヤが無事であった事にまず安堵するリアラ。そしてルルヤの余計な被害を出さない配慮にもまた安堵そして感謝。その上で、状況を把握しその面倒さを理解する。


 昔一度、リアラが混珠語を理解できなくなって大混乱に陥った事があった。この状況は丁度その逆だ。つまり、ルルヤは地球の言語を話せないのだ。


 幸い、リアラはそれを理解する事は出来る。過去にあんな事があってから、一応研究と対策は重ねていた。【真竜シュムシュの咆哮】の二つの機能、攻撃すら止める威圧と、霊や獣といった普通では言葉を交わせぬ存在との対話。後者を使えば、言葉の通じない相手ともある程度の意思疏通が可能となる。


 だがそれはかなり複雑かつ精密な竜術行使が必要であり、かつ威嚇するのではなくある程度の意図を伝えて追い散らかそうとすれば、言葉の通じぬ相手との対話に使う分の【咆哮】の力を威圧効果と合わせて使用する事になる。術に長けた日本語話者のリアラが日本のマスコミのヘリに行うのであればかなり細かい行動への影響が可能だが、ルルヤは地球の言語が話せない。【咆哮】のリソースをそちらに振り向けねばならぬ為、そこまで細かく効果を使うのは難しい。


 そしてルルヤの危惧は確かにそのとおりだとリアラも判断する。己の【眼光】で己の【世界】を見れば、それがあくまで味方と第三者を守る力であり、敵対してくる相手は別、という事が感じ取れる。かつての『旗操フラグ』との確執の心の傷から生まれた力なので敵組織の一員でも敵と認識が確定していない状態の相手ならその存在を未確認でも守る事は出来ようが、明確に敵対されてしまえば敵と認識する事になり守護対象からは外れる。少なくとも今はまだ。増えれば迂闊に【咆哮】を使えば魚雷を反転させ撃沈する可能性はあるし、包囲を潜り抜ける事は出来るだろうが、相手がリアラのいる方向にも展開しているので【巨躯】を引っ掻けて撃沈してしまう可能性もある。それ故にルルヤの動きが鈍っていた訳だ。


 ……力を得て、手が届く範囲が増えれば、見える範囲も増えていき、世界は大きくなっていく。増えた力でも拾いきれない程に。だけどそれでも。諦められるなら、妥協できるなら、復讐者の勇者として、この人生という物語を生きてはいない。ならば抗い続けるだけだと。


(【ともあれ『交雑クロスオーバー』と接触したなら急がねば。【巨躯】を解除して飛ぶ!】)

(【いえ、リアラさん! これは……!?】)


 決意しながら急いで合流するというルルヤをリアラは制止した。確かに【巨躯】のまま飛び上がるよりは目立たないだろうが……


 SYAAAAAA……!!


 その方向の解決策を狙いすましたように、空をヘリ以外の翼が裂く音が加わった。


「ジェット戦闘機……J-21に似てるけど違う、新型のJ-32? ……それと……あれは噂の〈匕首〉か……!」


 日本共和国の空を公然と飛び回るそれは安全保障条約の名目で進駐する中華ソヴィエト共和国の航空機だ。先に調べた現在の情勢からすれば、ルルヤを囲む潜水艦も同じだろう。リアラが知る中華ソヴィエトの戦闘機J-21の写真と、竜の目で捉えたそれは平べったい機影は似ていたがより翼が洗練され若干細部が異なる。正透まさととしての生前には開発中と言われていた機体か。そして、それには全く方向性が違う、鶴嘴の頭が飛んでいるような機体が随伴していた。事前に秋葉原で調べた情報にあった。第六世代超音速ドローン〈匕首〉。


「!!!!」


 それ自体は恐れるものではない。だが、それは言わば小道具に過ぎなかった。


 そう、『全能ゴッド欲能チート』の悪意の道具。J-32の一機のコクピット真上に、腕を組んで『全能ゴッド』が直立していた。そいつらを従えている事、そしてリアラの【世界】の効果が発生している以上洗脳する事は不可能な地球の軍隊と協調行動している事から、そこに更なる悪意が込められている事を告示しながら。


「……出てきたか、『全能ゴッド』。言っておくが、俺はお前に好きにさせるつもりはない。お前を殺さなければ、俺は憎い地球を殺せない。だからお前の事情などどうでもいい。だが、お前はルルヤを守るんだろう?」


「勿論さ。君の復讐の願いも、『全能ゴッド』の救済とも、僕は戦うと決めた。全部受け止めて進む、ルルヤさんを守る。混珠こんじゅも、地球も、それを守るルルヤさんや皆と一緒に戦う」


 進行する悪意。現代兵器は最早どうとでもなるが、『全能ゴッド』の存在は極めて危険だ。戦闘能力的にも、悪意・策略的にも。故に『交雑マルドゥク』の言葉に、リアラは頷いた。その猛々しさは、最早運命を踏破する事を恐れぬ強さであり、1ミリもルルヤを侵食する可能性を許さない愛の断言であった。その熾烈さ。『交雑マルドゥク』すら眩い威圧感を覚えるその時のリアラの眼差しは、光と恵みを齎す為に作られた混珠こんじゅの太陽の優しさだけではなく、大気圏と距離という守り無ければ生物を醜く焼き焦がす放射線を帯びた地球の太陽光の苛烈さを纏う事も恐れず。過去と再会しても、敵をより深く知っても、それも背負っても尚、緩みも揺らぎも無い。


「安心しろ。お前の【真竜シュムシュの世界】は、仲間を傷つけさせない力だろう。仲間は、ルルヤは無事だろうさ、ルルヤはな」

「大丈夫、分かってるさ。ああ、この程度の戦闘条件なんて、いつもの事だ!」


 それに対して冷静に、寧ろ宥めるような口調で『交雑マルドゥク』は応じた。その力があれば、例え『全能ゴッド』でもルルヤを直接傷つける事は叶わないと。リアラは苦笑して頷き、そして二人は改めて眦を決し睨みあい。


「なら……」「ああ……」

「「勝負だ!!」」


 そして、戦いが再開される。リアラは挑む。小さな少女の体に対し、あまりにも圧倒的に巨大な敵に!

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