・第七十三話「かたりきれない物語(7)」
・第七十三話「かたりきれない物語(7)」
「【GEEEEEAAAAAA】!!!!」
「お、おおおおおっ!?」
激闘は続き、太陽は徐々に夕刻に至りつつあった。その空気をルルヤの【
その叫びは、ルルヤの【巨躯】が放った【咆哮】、即ち怒りの怒号に対する恐怖の故だ。機械触手を弾けさせただけではない。金剛不壊なる『
(馬鹿な!?)
計算上、そこまでしたら既に我を忘れた暴走状態を通り越した、計画通りの、その暴走を利用可能な状態に至っている筈だったのだ。事実それを狙い、機械触手の一部には侵食性のナノマシンを仕込んでいた。暴走状態に陥ったらラトゥルハから
鱗が皹割れた。皮膚が裂けていた。肉が千切れていた。
強引に『
その欠損部位全てから黒い炎の如き暴走間近の【息吹】を溢れさせながらルルヤは猛然と『
「【AAAAAA】!!」
ZVEZDOOOONN!!!!
【息吹】一閃。過去の【息吹】より明らかに出力を増し、最大限までチャージしたものに匹敵するか上回る威力を一瞬で引き出す。『
「お、おおおおおお!?」
驚愕した『
「【GEOAAAAAAAAAANNNN】!!」
【咆哮】!! それら『
「おのれ!」
ZN! ZN! DBAN! ZUN!
「おおっ!?」
仕掛鞭剣じみた翼の刃を再構築し振り回して抵抗する『
「ちっ……!」
僅かな舌打ちと共に、然し即座に『
「【GWAAAAAAAANN】!!」「ぬうっ!!」
ルルヤは【咆哮】と共に【息吹】を【巨躯】の全身から放出! 再び接近するそれらを命中前に叩き落とす!
(こいつの事は、聞いている!)
かつて倒した『
実際に食らって分かったが。確かに同じだ。だが威力は雲泥の差、『
(ならば食らわなければどうとういう事は、 いや)
「分析しろ『
ZNZNZN! BBBLAST!
「ぐっ……! (それほど甘くはないか!)」
しかしそれは『
『
しかし同時即座に『
「死ななきゃ! 構わんっ!!」「何じゃとおおぎゃあああああ!?」
ZAN! ZAN! DAN! GRIP! BITE!
だがルルヤは尚も前進! 更なる『
兎に角、ルルヤは止まらなかった。片腕片翼そして顎で『
(まずいまずいまずいまずいっ!?)
このままではやられると『
「『
恥も外聞も無く助太刀を求めその最中に追撃を受け叫ぶ『
(ここまで粘るか! ……理由は……まだ分析結果が出ないか……やはり
『
己が出るか、予備兵力を繰り出すか。リアラの狙いは限界を越えてでも猛攻でこちらを追い詰める事で『
(いや、こいつにそこまでの策はあるまい! はったりだ!)
『交雑』はそう判断した。過去の事例からするに〈
『この手に取らん神の行い、我こそこの世の主人公!』
故に『
それは他の
「【GEAOOOO】!」
「だ、ダメじゃ『
「しまった……! ええい!」
角がまだ折れずに残っている方の肩で体当たり! 傷ついた足で蹴り! 噛みつき!全身の傷口から溢れ出している月の【息吹】を纏って押し付け炙るような遮二無二突撃する接近戦に、『
その光景を見て『
つまりどういう事かと言うと。
他者を守る為に変身しよう等とする事を想定した構造ではない。変身しようとした場合、変身する時間の間に『
「止まれっ!!」
こうなれば予備兵力の投入しかないか、と判断しながら、それまでの時間稼ぎとして『
ZDGAAAAANN!
炸裂……狙い済ましたえげつない一撃、片目が潰れる深刻なダメージ、だが!
「止まれと言われ止まる敗北主義者がいるか! 【GEOAAAFAAANN】!」
ルルヤは吼え、進む! 焼け爛れた傷から血を溢しながら! 止まらない!
「化け物め……!!」「ハッ、誉め言葉だな!」
苛立ち呻く『
「ええい、来るな、来るなっ……!」
「私らしさはこの戦いの力だ! 女らしくないと女らしい見かけに拘った事もあったが、この力で救える人がいて、そんな私を愛する人がいる以上! 化け物だろうが怪物だろうが好きに呼ぶがいい! 私の力への誉め言葉をな!」
正に竜の猛々しさ。『
「【GOAAAA】!!」
絶叫と共にルルヤの【巨躯】がその鋭い爪を振り抜く。紅の爪は【息吹】の黒い炎を帯び剣の如く長く延びた。斬撃の軌跡が黒い三日月を描く。『
(ラトゥルハを直接殺して【巨躯】を解除する心算か!)
そう判断した『
「読んだぞ! 貰ったわい!」
そしてその意図を見破った以上カウンターを合わせる事が出来ると、最後に残った首で反撃にいく。同時に切り落とされた二本の首の内一本を再生しながら。
(これなら仮に首を一本落とされても死にはせぬ! 暴走させるのは死に追い込む事で行えばよいわ!)
「!? 馬鹿者ーっ!?」
その瞬間『
ZUNN!
そしてルルヤの【巨躯】の鉤爪が突き刺さったのは、ラトゥルハが収まったカプセルでもそのカプセルを守る翼腕でもカウンターの首でもなく、『
「何じゃと!? ラトゥルハを切り離す心算か!?」「出来れば、な!」
『
「させん! ラトゥルハは奪わせんし、もう一つの手は……そっちはどのみち、貴様自身が保つものか……!」「難しいのは分かってるさ! だが!通して見せる!」
ルルヤの【巨躯】の爪が食い込んでいく。切り裂いていく。『
それは恐ろしく無謀な一手だと『
突き進む傷だらけのルルヤの気迫から感じられる覚悟の美は、『
その効果は暫くすれば出始めるだろう。その全容が明らかになるのは、それより時間がかかるだろうが……何れにせよルルヤは既に決意していた。
(リアラが来るまでの間、宗家の長として私が、皆を守るんだ。救うんだ。その為の手を打たねばならんのだ! 成し遂げてみせる、だから、帰ってこい、リアラ!)
そして、そのリアラが戦っていた。帝都エクタシフォン。偽竜が放った燃え盛る炎は鎮火されつつあったが、徐々に染まる日光は周囲を朱に染めたままに留めようとするが如くだ。
「くそっ……!」
轟く爆音。それは《王神鎧》の攻撃によるものも含んでいて。やむをえぬ判断だったとはいえそれへの対処を後回しにせざるを得なかったダビンバ将軍は唸った。
「ッ……!」「集中して」「ええ……!」
そんな中ルマ太子は轟音に流石に集中を乱しかけ、それを魔方陣の少女に窘められた。謎の一団の魔法行使に協力しているのだ。真竜の力を預けられているので、それが出来る。意識を【
情報の伝達。状況の把握。それに加えて少しでもと魔法力を流し込む。それは酷くちっぽけな力だが……それでもこの大いなる災害のごとき戦いの中、それは少しでも力になる。何事も無意味ではない。無意味では、ないのだ。
大気を揺るがせた爆発、操られた『
爆煙が晴れる。先に操られ襲いかかってきた『
「「いない!?」」
通信を繋ぐルマと魔法陣の少女が現地情報を知覚し驚愕する。しかしすぐ分かった。消えた訳はない。消滅した訳でもない。情報は伝わってくる。伝わっている。
彼女達は《大転移》の最中であった。事前にリアラがアヴェンタバーナで準備していた魔法護符という文字通りの手札の内の一つ。大人数による事前準備と設定した場所から設定した場所へという事前準備が必要という制限が大きい魔法だが、アヴェンタバーナの大神官達に手伝ってもらって準備した力。奇妙な巡り合わせとして、リアラが戦いを始める切っ掛けとなった最初の事件において、かつてのパーティメンバーであるハウラとソティアとでその実施を助けた魔法。
それにリアラは魔法に作用しその効果を調整する魔法を幾つか加え、緊急脱出用かつ場合によっては敵を遠くに吹き飛ばし致命的な状況を一端ひっくり返す為の魔法としてアレンジしていた。本来であればこのタイミングで使用すれば魔法の片方の基点であるアヴェンタバーナへ敵味方問わず一定範囲の全員を転送してしまい、しかも相手の力によっては転送を拒否される可能性もあったが。
【《
……これはその結果の、思いもよらぬ副作用だ。
転移前でも転移後でもない時間。転移前でも転移後でも両者の間のどこでもない場所。亜空間とでも言うべき混沌の中で、リアラはゼレイルと、言葉を、視線を交わしていた。
「……どうして……」
リアラは問うた。ゼレイルは『
その為にリアラは生き延びていた。それが無ければ死んでいただろう。そしてリアラの見えない力を見る【眼光】の力が、『
「手前の、したい事を、させてたまるかって、嫌がらせだよ。手前に庇われて、生かされてたまるか。死んでも手前には従わねえし、こいつも、お前に救わせやしねえ。台無しに、してやるんだ。お前の願いなんて……台無しに……」
げぼげぼと血に噎せ、目を濁らせながらゼレイルは意地と呪いを込めて呟いた。
「でもそれなら、何も、僕を庇うようにする必要なんて無かったじゃないか……」
僕を殺したかったんじゃないの? と、リアラは悲しく問うた。
「ああ、手前は殺したかった。けど、無理だった。だから、一番ダメージを与えられる方法を考えて……これしか思い付かなかった……どうだこの野郎、守ってやるとか言った相手に守られて死なれる気分は……絶対一生忘れられねえ嫌な思い出だろう、ざまあ、みやがれ……」
そんなリアラを呪い、呪い終えるとゼレイルは、リアラの苦しげな表情を見て満足したと思おうとし、腕の中のミアスラの死骸に触れ、呟いた。
「は、は! ミアスラ、俺を裏切るから殺されるのさ、手前も卑しい女だったな、ざまあ……ああ、畜生、なんでこんな、なんで裏切って、なんであんな醜い事を……畜生、俺が選んだ結果か? 俺が卑しい道を歩んだから、お前も……」
憎み、笑い飛ばし、忘れようとして、出来なかった。ゼレイルは呻き、そのもう素顔の見えない鬼の外骨格を震える手で撫で、嘆いた。
変化する余地はあった筈だった。ミアスラの
「ああ、畜生……嫌だ、やり直させてくれ、まだ、嫌だ、もう一度生まれ変わらせてくれ、助けてくれ、やっぱり死にたくない、意地張るんじゃなかった、助けられてりゃ良かった、畜生、怖い、死にたくない、死にたくない、死にたく……」
そしてそこからゼレイルの意思は崩れた。自分の命を捨ててでもリアラの心に傷を刻んでやるという決意が崩れた。死への恐怖が蘇り全てを覆した。それはリアラの心に更に深く傷をつけた。
「……もう一度言う。僕の完敗だよ。君の完全勝利だ。お前がナンバーワンだ」
リアラは歪んだ悲しい笑いを浮かべた。それにゼレイルはだらしない自他への嘲笑とも苦笑とも取れる笑いを浮かべた。それは俺を慰める為の言葉だろう、と。そして、そのせいで最後の意地を見せた。
「……復讐したくて復讐してんだろうが……俺の死はお前の楽しみの筈だろ……なのに慰めるのか、偽善者野郎……」
震える手で、ゼレイルはリアラの口元に、頬に触れた。血でその唇を彩り、それに繋げる形で頬に吊り上がった笑みのように赤い線を引いた。お前は邪悪な愉悦の笑顔を浮かべているのがお似合いだ、と、最後の牙を突き立てる。
「……ああ。偽善だよ。君に負けを認めるのも、君をこうして死に追い込んだのも。これからも殺し続けるのも、したくてやっている事だ。この敗北宣言は君という人の為であると同時に僕という人の為でもあるさ。……それでも僕は戦い続ける。君には負けを認めるが、君のその糾弾には負けを認めない。」
その牙をリアラは受け止めて、跳ね返した。血塗れの笑顔、上等だ、と。笑ってみせた。それにゼレイルは、如何なる意図を込めてか、泣き笑いの表情を浮かべて。そしてゼレイルは首をぐんにゃりと曲げて死んだ。
《大仕切直》が終わった。リアラがゼレイルとミアスラの死体の前で、地面に膝をついて俯きそうになり……そうしなかった。膝を屈さず、ぐっと足に力を込めて、顔を起こした。ぐいと、頬の血を拭った。悲しみも笑いも共に胸の内に。リアラは屈しない。正義も悪も復讐も怒りも悲しみも優しさも憎しみも、全部手放さずに行く。
「それ、でも。それでも僕は悲しく思う心も、罪悪感も捨てるもんか。己を戒める為に、狂わない為に、最後まで己自身でいる為に……それでも続ける次の戦いを、少しでもましにする為に。例えそれもまた血塗られた道でも」
瞳は悲しく、しかし強く誓う。生存に善悪があると、地球と違い生きるに値するものが生き残る世界なのだと示し続けろと、かつての好敵手に言われたからだ。己がそれに値するのかはわからない、いや、戦えば戦う程それに値しなくなっていくのかもしれないと自分では感じる。だけどそうではないと、リアラに生きてくれと言う仲間がいる。そして、リアラ自身がそうではないと、僕は兎も角生きるべきだと言いたい仲間と愛する人がいる。だから戦い続けなければと。
「
「……はい、よ」
共に戦う少年を呼ぶ。彼が答える。リアラは周囲を知覚した。狙い通り、アヴェンタバーナ近郊、『
「……これは……!?」
そこまで認識したところで、大量の情報が一気にリアラに雪崩れ込んで来た。
名も知らぬ者達が伝えた情報。ルルヤが決意し行った事。その結果周囲の戦いに波及した影響。
リアラは全てを知った。喜びと恐怖、安堵と不安、希望と絶望を、一度に。
そして、その周囲の戦いに波及した影響は、陸海空の戦局を変化させていた。
「あんたが海を力で従えるってんなら!私達はそれを受け流すまでさ!」
「……!?」
「愚かな、ああ、ああ、やめろ!私の『嬢士』が!軍艦が!」
海上での戦いでまず流れが変わりはじめた。水の『
成程確かに水の【息吹】の力で周囲全ての海水を掌握し続けるのは属性の力があるとはいえ力の消費は凄かろう。だが、眼下の海の全ての波が天を衝くような対空槍と化して乱れ撃ちされる極大の【息吹】を、与えられた【翼鰭】でかわし切るというのは、これも恐ろしく消耗を強いられる筈だ。であるのに、舞闘歌娼撃団が敵を上回ろうとしている。それは……
(力がまだ漲ってる、これがルルヤから【宝珠】通信であった……
(報いないと、勝たないと!)
それはルルヤの行うある策の力であった。リアラによって真竜の力を分け与えられたその策が何なのかは、皆に伝わっていた。それは何れ致命的なリスクが露わとなる策であったが、それが逆に皆に覚悟を強いる。覚悟は力になる。この策による竜の戦士達の力の増大以上に。
「
「そこにハリハルラさんの魔法を上乗せれば!通算!24倍の威力だーっ!」
ボルゾンの矢がそこに加わり、ハリハルラの魔法がそれを後押しする。
「今度こそっ、逃さないっ!」
「う、おおおっ!」
氷の防壁を打ち抜いて、氷の『
「断ち切れぇえええっ!!」
リアラの翼と同じ、妖精めいて可憐で煌びやかな、しかし縁が単分子の刃となっている【翼鰭】が海上を奔る!
そして陸上では、閃光が炎の中を走っていた。
「……!?」
「ぎゃああああっ!?腕、腕がっ……!?」
己が炎の中を貫いて薙ぎ払った、それまでを遥かに上回る威力の光の【息吹】に炎の『
「風よ、大気よ、炎の熱よ!光を集めて!私達の光も、敵の炎も!」
ユカハが魔法刺突剣《
「いいよ、その調子!薙ぎ払い続けて!毒は、僕が!」
その傍らでミレミが杖を振るう。自らの手首を【爪牙】で強化した歯で失血死しない程度に咬み破り、熱い【血潮】を溢れさせる。毒の『
いずれも巨大な魔法力が必要な荒業、ルルヤの策の力であったが。
「もう一発っ!!」
「皆!まだだ!まだだよ!……まだ僕達がここにいる!」
「「「「「「「おおおおおおっ!!」」」」」
だが、その力を活用できる二人がいればこそ、そして抗い続ける二人と共にあらんとする兵達が居ればこそ!炎の地獄に、兵士達は雄叫びを上げて突入する!
BLAM! BLAM!
一方、空中戦における戦況の逆転を齎したのは、それだけではなく。口火を切ったのは連続した銃声だった。
「な……」
『
「……!?」「っ……!!」
【雷】の『
『
それは、ストックを着けたモーゼルミリタリーとボーチャードピストルを混ぜたようなデザインの、対重装甲目標用大口径自動魔法拳銃。
その銃口から
フェリアーラはあっけにとられた。それはガルンも『
「何故です、一尉……」
辛うじて村井が声を出せた。八重垣一尉としての
「結局、勝つに値する戦で勝ちたかった。勝つに値せぬ大義の無い侵略戦争で勝利を重ねても、満たされる事は無かった。他者を傷つけただけで、有害無意味だ」
目の大きな幼女の顔に似合わぬ疲れた笑みを浮かべ、幼女の小さな手に似合わぬ……といってもブルームハンドルなので握りにくそうでは無かったが……大型拳銃を握り、八重垣は嘆息した。
「誰かを助けたいというその思いが、純粋な善意なのか、過去の自分と同じような目似合っている誰かを救ってその人と自分を救いたいのか、それとも他者を救える自分への自己愛と優越感と自己顕示欲なのか。前二者は良いが、後者は醜悪だ。そして自他ではなく自分にのみ向いた善意は盲目で結局他者を害する。お前達は前二者の内それぞれどちらかなようだが……お前も努々忘れるな、村井二曹」
「一体、何を……」
「遺言だよ。晩節を汚した事、『
震え声で村井は尋ねた、透明な声で八重垣は答え、己の頭を撃ち、墜落した。
「ぬおりゃあっ!!」「「!?」」
一瞬の沈黙を無視して戦闘を再開しようとしたのは【雷】と【風】の『
「今だ!」「うぉおおおおおっ!!」
間髪入れずガルンは叫ぶ、その時にはフェリアーラは既に攻撃態勢。《
ZGDOOOOOOOOOOOOOOONN!!炸裂!!
……世界は大きく、そして数多い。一つではない。色んな世界が集まっている。それは単に
そこでは、自分が今いきる戦いとは別に、様々な戦いがそれぞれ勝手に、関係あるものもないものも繰り広げられている。
その影響を受ける事も受けない事もある。無関係な何かに苦しめられる事も、無関係な誰かに助けられる事もある。それはそれぞれが意図的に為す事もあるが、全く意図せず結果的にそうなる事もある。関係ある誰かの問題で苦しむ事もあるが、全く別の場所にいるが絆で繋がった仲間の戦いに大いに助けられる事もある。
人は生きるだけで誰かを苦しめ誰かを助けている。世界そのものもまた然り。
その全てを知る事も全てを回避・防御する事も出来はしない。
それでも、己の命、己の戦いに、人は挑み続けるしかない。逆に言えば、挑んでも良いのだ。それは大いなる呪いであり祝いである。
その結果、リアラとルルヤの戦いはかくも多数の物語と縁を持った。
天の時、地の利、人の和、時の運。
そして尚それぞれの戦いは、それぞれに続く。それらは語られる事もあり、かたりきれない事もあろう。この世界は、それは苦しみであり救いでもあるが、広大で数多であるが故に。
そしてリアラとルルヤの
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