・第六十六話「竜の帰還(後編)」
・第六十六話「竜の帰還(後編)」
さていよいよ、〈もう一組の
ララ・ララリラとキーカという少女がいる。リアラとルルヤの物語においてはごく端役というべき存在だ。カイシャリアⅦに潜入する時に、たまたま借金を抱えていてリアラとルルヤに姿が似ていたからという理由で、二人が身代わりを買って出てカイシャリアに潜入する時にその名義を借りた、その位の縁の存在だ。その潜入工作事態は敵に見切られていたので、それほど決定的な影響を状況に与えた訳ではない、と、軽く思い返しただけでは思うかもしれない。
だがそれは、カイシャリアⅦの内実を知れば、二人にとっては正に地獄行きを肩代わりしてくれた上に地獄を粉砕してくれたに等しい行為だった。
そしてそれはリアラとルルヤに、そして
これほど、因果と縁というものは複雑かつ玄妙に繋がり、思いもよらぬ巨大な力となるものである。
ララ・ルルリラとキーカは、不本意にも逆境に鍛えられた、といってもあくまで少々生存に長けた程度の、この不幸な時代の一市民二人に過ぎない。
しかしその物語は、リアラとルルヤの運命だけではなく、〈
吟遊詩人による偽情報の流布を調査していた
それはあくまで偶然であった。ララ・ルルリラとキーカが、恩義を忘れていなかった事も、友情を力にこの不幸な時代を生き抜いてきた二人が善性と義侠心を持っていた事も、たまたま話を聞き付けた事も、吟遊詩人の偽情報に対する義憤をフェリアーラと共有した事も。
だが同時に必然も又あった。どこに行っても逃げられない程荒れた時代、
その結果何が起こったか?
〈最大神殿〉の持宝の中には、大量の魔法力を蓄積し、それを使用者に分け与え、大規模魔法を行使可能とするものがあった。これは【
これまでリアラは【
ならば。
大量の魔法力を行使できるのであれば、【鱗棘】ではなくフルセット、リアラが行使できる竜術と白魔術すべてを護符として貸し与える事が出来るのではないか? 無論〈最大神殿〉の持宝を使用可能であるという、【
無論、魔法的な身体能力強化のカタログスペックと対
しかし撹乱に使うのなら、それで十分。光学迷彩、光速の狙撃、高度な飛行能力、生存能力、防御力。撃って逃げるだけなら十分……否、十分どころではない。
更に言えば『
だが危険度は高い。一般
重ねて言うが、これは過去のルルヤとリアラの人々を守り救う為の戦い、そしてアヴェンタバーナに接触を持った状態でのリアラの憔悴を補う二人の活動を支援すると決めた者達の言葉、そしてこの戦いに手を貸してくれる皆の勇気と絆があればこそ通る無茶で。
即ち。今罪を背負い戦うリアラと、皆がそれでも思いを重ね、心を重ねているが故でもあった。
「ぶざっ……ふざっけるな!」
そのリアラの戦場で。治癒
「手前等だって
「だから言いました。僕も又殺めた身だからこそ、と。罪を思わず咲く愛に、と。罪を思えばいいものではないにしても、僕は僕の罪を知っている。貴方は、貴方の罪を知っているか。先に僕達の血をぶちまけたのは貴方達だ。それが無ければ、貴方達が世界を踏みにじらなければ、僕が貴方の愛する人を殺める事は無かった」
その反論は無駄だ、もう言った、と、リアラはそれを跳ね返し、そして、重ねてゼレイルに、お前もまた逃げられない、と告げた。
「知るか、知るかよ! やったのは『
お前を踏みにじったのは俺じゃない、俺を踏みにじったのはお前だが、と、尚も反論するゼレイル。
「カコン・アグヤ。ラーサー・グアン。コルニ・フィアマル。ガッスロー・レウ。ルーゲラ。キカキザ……他にも、沢山の人が居た」
リアラは淡々と名前を揚げた。最初、ゼレイルは、突然何の呪文だ、とでも言うように、それが名前だという事すら一瞬気づかなかった様子だった。
「知らない人が大半ですが、冒険者として聞いた名前もあります。かつての僕達と同じ冒険者として。貴方が運命を歪めて殺した冒険者達。立派な人が沢山居た。偶々彼らがそうじゃ無かっただけで、その内の誰かが今ここに立っていてもおかしく無かった。彼らを知る冒険者の中で僕達を手助けしてくれる人もいる」
それは、ゼレイル・ファーコーンが、己の都合で殺めた冒険者達の名であった。告げられた瞬間、初めてゼレイルはぞっとした。
「人を殺して成り上がった貴方の存在が
悪が悪を産み出す。それは復讐の連鎖と因果応報の双方が根元だ。悪を産み出す事の恐れを以て悪を為す誘惑に本来抗わねばならぬという戒めであると同時に、為された悪に対しての応報と、応報は確かにあるのだという世に生きる人の心への救いでもある。
では、復讐の連鎖と因果応報にそれでも違いはあるのか。あるとしたら何か。
「貴方はそれでも胸を張って己は生きるに値すると言い張るなら。それを通せるかは、もう、勝負でしょう。僕は僕が産み出した貴方の怒りをこの身に刻んだ。貴方にも、同じ事をしてもらいます」
「ひ、ヒ、結局、力づくかぁ?」
己の血を流す傷口を指でなぞるリアラは、ひきつった笑みを溢すゼレイルに。
「否定はしない。力づくで世界を蹂躙してきた君達
それはそちらが先にした事がそちらに返っただけだと答えつつ、自分の行いがそれに似ている部分もあるかもしれないと認め、だが、と、その上で言う。
「血まみれでも泥まみれでも罪まみれでも、それでも僕は人を守り人を助けたいと思った。その手段が戦う事でしかなくても、それでも僕はそうすると決めた。そうしていいと自分に言う。そうしていいと言ってくれた人がいる。それを否定する相手と戦うと、一緒に戦ってくれると。例え貴方にもそういう人がいるとしても」
リアラは傷をものともせずいう。背筋を伸ばして、悲壮だけれど勇気を宿す瞳で、血まみれの拳を殴る為に握りしめながらも。
大きなものを担う竜の力を宿す、だがあくまでも小さな人間。
それでも、立つ。罪深くも、強く優しく。
ひゅん、ひゅんと、そんなリアラの背後、青空に流星が幾つもよぎっていく。いや、それは流星ではない。流星ではない事を
「恩返し、出来ました!」「見たかい、やってやったよ!」
ルルヤとリアラにどこか似ているが違う、しかしよく知らぬ者であれば勘違いする事もあろう勝ち気そうな少女。彼女達は影武者であり、派手に戦う存在ではないが、それだけではない。
「私にも、出来る!」「リアラ、こちらは任せろ!」「翼がある……今、助けにいける!」「危ない!」「来た! お願い! 私にも力を!」
数多の戦士が空を飛ぶ。それは流星ならぬ竜星。リアラの竜術を受けた者達だ。
村人がいた。傭兵がいた。冒険者がいた。
かつて生き延びる事が精一杯で荒んでいた者がいた。血で血を洗う凄惨な報復をしていた者がいた。為す術もなく敗北し多くの命をむざむざ失った敗北者がいた。すれ違いあい争いあっていた者がいた。
それぞれの過去を抱えていた。罪だと思う事を抱えている者もいた。
それでも、それでも人を救おうとして良いんだと叫ぶリアラと共に、
流石に全員ではない。数人だ。だが、限定的にだが真竜の力を与えられた竜の子らが空を翔る。それが戦況を激震させる事は、嫌でも分かった。これこそが、この土壇場を覆す為のリアラの一手だった。彼ら彼女らは、それぞれに各地で戦う。
「馬鹿な……!」
エクタシフォンで『
「そう来た、か」
「申し訳ございません……私の力が至らぬばかりに……」
そして遥か彼方で、『
「だが、あの程度ならば、まだやりようはある」
『
「『
最後の戦いに、動き出す。
だが、今はまだリアラは眼前の敵に向かい合わねばならぬ。
「し、信者共め!」
『
「信者! 信者! 信者! 狂ったように称える狂信者ぁっ!」
狂ったように連呼した。『
「……助けられたら、そりゃ助けるだろ。なあおい、あんな肌も露な格好で守るべき人の盾になる奴に、まして自分の恩人を、つまり人が恩義と感じるような事を頑張ってる奴相手にさ、一回手の伸ばし方をしくじったからって、掌返して石を投げるクソ市民になれるか?」
直後、『
「常識的に考えろやっ!」「きいああああああああっ!?」
「僕を意識しすぎたね……〈帝国派〉、これで残り何人?」
「おのれぇええっ!」
あくまで全体の一局面、と認識していた。だがそう意識的に認識していた割には、『
尤も、同時に『
一時は最大派閥を誇った〈帝国派〉の
「ありがとよ、リアラちゃん! おかげでミレミも助けに行けた! はは、ミレミの奴、やっぱ似合ってたぜ、
ずっと心配していた相手を救いにいけた事を、皆は大丈夫だと、晴れ晴れとした表情で
「分かったよ! ありがとう! 助かった! だからここは僕に任せて!」
それはリアラの心も溶かす。最早後顧の憂い無し。すれ違い様『
「っ……分かったっ!」
そうリアラが決めていた事は事前に
「テメェ!」「待たせたね!」
それはゼレイルの激怒を誘った。多少こちらの数を減らした程度で、多対一で勝てるつもりかと。俺の怒りを舐めるなと。そんな心算は微塵もなくただこの僕以外誰と戦いたいわけでもないだろうと因果を清算せんとするリアラへの、劣等感を押し隠す為にも怒った。
「ぶっ殺してやるぁあああああっ!」
「言っておくよ!戦う以上……!!」
そしてリアラとゼレイルは激突した。ゼレイルは腕を振り上げ
BKII! 「ぎげっ!?」「因縁と容赦の有無は別だっ!!」
そしてゼレイルは叫んだ。保険的なぬるい思考で放たれたモンゴリアンチョップめいた両手振り下ろしを、リアラは迎撃した。掌底で指を穿ち、折った指を取り、更に捻り、相手の爪と肉の隙間に自分の爪を捻り食い込ませる組手。ゼレイルの両手を封じた状態からの前蹴り、再度鳩尾。
「がぁっ!」
反射的に繰り出されるゼレイルの蹴りを素早くリアラは脚で防御。身体能力と幸運頼りのゼレイルとは武術の基礎が違う。そのまま踏み込んで……
「ぐおおおっ!」
BAMBAMBAM!
ゼレイルが吠える。無詠唱による
「ぎっ!?」
リアラの踏み込みは止まらなかった。痛烈かつ的確、一瞬だけ【
(痛ぇ!? 痛ぇ痛ぇ痛ぇ!?)
ゼレイルは心中絶叫した。痛い。痛すぎる。超神たる
(痛い、痛み、こいつは……!?)
己を攻撃し続ける傷だらけのリアラを見る。リアラは何故止まらない。リアラの【鱗棘】が成長により固さを増し、【血潮】による高い再生能力を得ているのもある。そしてまた組打ちを選ぶ事により落雷や隕石等の派手な技やチャージした大威力
「こ、この野郎ォ!?(こいつは何故怯まねぇ!? 何故苦しまねぇ!? 痛覚を麻痺させてやがるのか!? いやそうじゃねえ、そんな魔法は戦闘中使うには効率が悪いし《復讐》はあくまで自分の受けたダメージを相手に与える魔法だ、そうだったらこっちの苦痛を増加させられる訳がねぇ!?)」
ゼレイルもまた鬼手殺手を繰り出していた。攻撃
信仰を持たない
頬に傷走り、額が鉢金ごと割れ、金色の片目は潰れていた。ビキニアーマーのブラ部分も吹き飛んでいるが、色気を感じるどころではない。
だがそれは傷だけが理由ではない。残る片目に宿る戦意故だ。
(竜……!?)
なりは美少女だが、正に竜の目だった。ゼレイルは一瞬己もまた超神の怪物と化している事実を忘れた。生身の人間が裸一貫で竜に至近距離から睨まれている感覚を味わった。だが同時にリアラの戦意には、狂奔ではない武があった。
「ぶつけて、こい!」
リアラが叫んだ。この身を抉れ、この身を焼けと、その憎悪と復讐心を理解している。己の行いの結果を受け止める、と。
「君から命を一つ奪った! だから一度命を預ける! 僕だけに挑むなら! 来い!」
(我慢比べで、俺を制する心算か!?)
戦意はあるが殺意がない。冷静な強さがそこにはあった。苦痛を与え続ける事で復讐心より苦痛を逃れたいという思いを強くさせて自分から後退させる事で、復讐より自分を優先させたと事故認識させる事でこちらの戦意を折って制圧する心算なのだとゼレイルは気づいた。少女の肉体には余りに不器用で武骨な償いとして、こちらから今回は殺しはせぬ、復讐と復讐をぶつけ合い比べ合おうと言っている。
「くたばりやがれ!」
だがそれはある意味殺されるよりも完全な精神的完敗を意味する。だからこそそんな事させるものかとゼレイルは猛然と攻撃を繰り出した。攻撃
ゼレイルは思う。自分は『
(まだか、痛い、まだか、痛い、痛い痛ぇまだかまだかまだかぁあああっ!?)
何故倒れん。何故殴り合い続けられる。圧倒敵対格差から考えればリアラがするのは正気と思えぬ正面からの打撃戦。一発殴る毎にリアラも必ず殴り返してくる。倒れない。怯まない。苦痛を感じている筈なのに此方に苦痛を伝えてくる。何時相手は消耗する、何時隙を抉じ開けられる、何時までこの苦痛に耐えればいい、いや、耐え切れるのか?ゼレイルの心は乱れ、堪えた悲鳴でパンパンになり。
(っ、いっ、まっ、だぁああっ!)
リアラの上半身が揺らいだ。ガードが乱れ、攻撃目標である胸部に隙が出来た。ついにリアラが苦痛に屈したと、ゼレイルはそこを狙い、全力の一撃を繰り出……
「あぎぃっ!?」
全力の一撃を繰り出そうとしたゼレイルは悲鳴を上げた。涙と涎と鼻水を噴いた。白目を剥いた。股間から陰惨残酷な水音が響いた。
リアラの膝が、大振りの攻撃を繰り出そうと踏み出して間の開いたゼレイルの股間を粉砕していた。上半身が揺れたのも、防御が乱れたのも、この攻撃の予備動作にして同時にゼレイルの攻撃を誘うフェイント。リアラの表情は、痛苦を堪えきっていた。己の罪悪感ではない、敵が与える苦痛や恐怖に、リアラは絶対に屈しない。ゼレイルは、『
そこから更に脛蹴り。膝皿砕き。肋骨折り。股間を砕かれた結果前屈みになった顔面へリアラの手指が襲いかかる。
「~~~~~~~~~~っっっ!!!???」
喉笛。片目。鼻。片耳。黒犬獣の顔面が滅茶苦茶に破壊される。最早悲鳴もあげられぬ獣の顎がぱくぱくと開閉して血反吐と泡を吐く。
「……これが僕達がいつもしてる事。この苦痛より酷い事、死が、これが僕と君が殺した相手にいつもされている事。僕も、君も」
噛み締めるようにリアラが呟いた。
ゼレイルは膝を屈した。背丈が逆転する。リアラを見上げる。雷の檻の逆光で影になったリアラの顔。隻眼が隻眼を睨む。リアラの鎧と体は竜術でじわじわと再生していく。黒鉄のビキニアーマーはルルヤの竜鱗のビキニアーマーよりは防御力が低いが竜術で生成したものなので再構成速度はずっと早い。だが回復は『
「……【SYLLLLLL】」
リアラが唸った。腕を振り上げた。ゼレイルが戦うなら、防がねば。
「あ、ぎっ、ひいいいいいいいいいいっ!!??」
ゼレイルは壊れた汽笛のような悲鳴を上げた。リアラの背後に自分が殺してきた無数の冒険者達が見えた気がした。泳ぐ様にもがき、リアラに背中を向けた。折れたが再生しつつある足が地を蹴り、もつれ、転んだ。手を敵を殴るのではなく地面を引っ掻いて這いずってでも少しでもリアラから遠ざかる為に使った。
ミアスラの声はもう聞こえていなかった。
リアラは隻眼から涙を溢した。血と混じった桃色の涙を。
あらゆる異世界人に成り代わって叫びたかった。上から目線してるんじゃねえと。その代弁の仕方がこれというのが、我ながら如何にも浅ましく情けなかったが……
それでも、ルルヤはそれに耐えるだろう。あの強く美しい人は。ならば己も耐える。リアラはそう己を律した。
「っんなろぉおおおっ……!!」
同時、落下した時に巻き込んで破壊したナアロ軍自律多脚戦車の残骸の中、唸りながらラトゥルハは地面に倒れた半身を起こし上を向いた。場所は諸部族領・連合帝国国境間際。最後の決戦が今行われようとしている戦場だ。
天に翼を広げたルルヤ。ラトゥルハは見上げる。その名の通りの反逆の視線で。
(こういう視線は、慣れんが)
ルルヤは内心愚痴る。ラトゥルハの表情は今や必死な挑戦者で、それはルルヤが優勢を取った証ではあるのだが。
カイシャリアⅦでは校舎屋上の『
砂海では正面から『
常に挑む側、仰ぎ見る側だった。この世界を見下させはしないと。だからの、少しの違和感。だが、力関係は常に変化し、そしてまた力を持つ者同士は変化させようと動き続ける。違う立場になって初めて見える事があるもの。そして。
「「「「「っ……」」」」」
集中する視線。ルルヤとラトゥルハが戦いながら辿り着いた場所は正に、希望と警戒の入り交じった強烈な緊張感が沸き立つ坩堝だった。
戦場ではナアロの軍と諸部族軍残党、〈
「GRRRRRRRR……!!」
「GHOOOOOOO……!!」
「SYAAAAAAA……!!」
身長
『
それは無念であり不本意である。命を懸ける為に自ら戦場まで来た誇りを持つ者は当然そう思う。
だが、もし『
(皆の希望を担うと決めた以上、担わねばな)
ルルヤは背筋を伸ばす。リアラの理解どおりに。
「勝ちたいから、負けたくないから、勝たねばならぬから、負けるわけにいかぬからで勝てる程勝負は甘くないと言う者もいるが。それ一つで決まるわけではなくとも力の要素の一つと私は言おう。そしてどうやら、勝ちたいよりは負ける訳にはいかないの方が少し強いようだ。今、私とお前の戦いを私の方に傾ける程度には」
ルルヤはラトゥルハに告げる。これで終わりではあるまい、というように。だが同時に、どこか教え諭すように。
「どうする。ラトゥルハ・ソアフ・シュム・アマト!」
「……こうするさ、
壊れた両腕から火花を散らしながら、ラトゥルハは吼えた。その周囲に渦巻く力を、ルルヤは感じ取る事が出来た。見えない力の流れを見る【
感じ取れるのは自分と同じ
「この手に取らん神の行い、我こそこの世の主人公!
愛するからこそ抗いたい、貴方のあらゆるものが欲しい!
偉大なるものに挑みたい、いつも人はそう思い抱く!
上を目指して上回りたい、飢えに近く呻く程に!
得たいのだ大いなるものを、永遠にそう思ってる。
怨念にも似て重く重く、此こそが我が現実なり!
『
大地が揺れ、閃光が瞬き、炎が舞い上がった。そして炎が、『
「成る程。漸く、分かった」
それを見て、ルルヤは。得心の表情を浮かべた。
【
(
(何、あるいは……と、可能性として想定していた程度さ)
こちらの【
ルルヤの変身が始まる。神話の戦いが始まる。竜が、帰還する。
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