・第五十二話「糾弾対峙の転生者(4)」
・第五十二話「糾弾対峙の
閃光、そして力の奔流。
ギデドスが切り開いた通路を突っ切って飛翔したリアラは、【
だがその場にいる三人、即ち『
その戦闘形態である超神の姿『
故に【
『
「この手に取らん神の行い、我こそこの世の主人公!
人皆善悪を餓え欲し、瞳に耳に裁きを求む。
甘き善悪の菓子を食う、数多の民は数多く。
餌食う家畜を飼うは我ら、選ばれし語り手達なり。
必ず全てに瑕疵はあり、駆り立てる我ら可不可を定めん。
情報常時情と世を制す、此こそが我が
『
極めて皮肉げな詠唱と共に告げられる名は、罵詈雑言と暴露とで神々を嘲笑い、世界を崩壊に導いた巨人にして神たる北欧のトリックスター。
露になったその姿は、ロキ神の子らである
同時にそれに似て非なる姿に変じたのが『
「この手に取らん神の行い、我こそこの世の主人公!
旗を我が為に掲げよ、秤を我が方へ傾けよ。
英雄は道を堅く固め、栄光に満ちて進んで行く。
煌々と輝く叡知で、攻略を延々と万全に。
手には華懐に金、敵には破滅不満は皆無。
攻略全て思うがまま、此こそが我が
『
名乗るその名は古代エジプトの冥府神。露になったその姿はエジプト風の装飾と獅子・河馬・鰐を象った防具を装備し二降りのエジプト剣であるコピシュを帯びる黒い肌の人身狗頭、寧ろ得物を除けば霊獣アメミットを象った鎧を着けたアヌビス神に近い姿だが、所々肌に緑の線が走り包帯で覆われているのが、緑の肌を持ちミイラの姿をしたオシリス神を思わせる要素だ。
その二柱に対し『
「この手に取らん神の行い、我こそこの世の主人公!
だけど
主役に成れないという呪詛が、新しい世界を作るのよ!
餓えて! 恨んで! 裏をかき! 奪う!
忌々しさで出来た今風、此こそが我が
『
詠唱で名乗るは古代アナトリアの獣と男を従える女神の名。【息吹】を弾くは蜂の大群。それが晴れた後の彼女の姿はかつての『
首回りに鬣めいた長い毛の襟が付いた毛皮のマントを羽織り、その下から宝石で出来た巨大でしなやかな昆虫のそれじみた羽根を生やしているが、体は人間のままという姿だ。
その代わり周囲に彼女が従える『
「こうなったか。どうやら、選ばれたのは俺か?」
「……そういう事よ」
『
「てめぇ返せ! それは俺んだぁっ!!」
怒りの咆哮と共に獣めいて飛びかかる『
「手癖の悪い真似しやがって、人が変神してる隙に!」
「僕達にだって手が出しにくいレベルで変身を守り固める為に、結果的に自分達で放り出しておいて! 悔しかったら僕達みたいに身を挺せ! それに……」
「人を、もの扱いするなっ!!」
ぎらぎらとある種の銅と錫の割合で鋳られた青銅の様な薄い黄金色に輝いて切りつけるコピシュ二刀を矛の刃と石突を翻して防ぐリアラ。糾弾を叫ぶが、しかし反撃に転じる余裕は無い。
「うるせえ、賢しらぶった事を!」
『
「行けっ、『
QPLLLLN! GQPN! GQPN! GQPN! GQPN!
更に『
「ZGYUUU!」
無個性な怪物と化した『
「くっ……【守れ】! 【祓え】!」
それに対してリアラは、ビキニアーマーの胸の谷間から素早く護符を数枚引き出して対抗した。大きく柔らかな胸乳がふるんと揺れる……外套を羽織っている普段なら兎も角戦闘中のビキニアーマー一丁の姿となるとここ以外は左右に尖った肩鎧の中くらいしか物を入れる所が無く実際これより前のシーンでは護符等出すときは肩鎧の中から出していたのだが……ともあれ胸が揺れ終わるより込められた術が作用するのが早い程の速度で護符が作動!
「ZGYUU!?」
宣誓詠吟【
「ふむ、護符ですか、成程。【
その護符の作成経緯を『
「ですが微々たるもの。そして、二人揃って此方に来るか仲間を見捨てられず別行動を取るか。別行動を取るとしたらどちらがどちらに対処するか。どう動くかと思っていましたが、想定していたパターンの一つといったところですね」
【
そして何より、リアラは一人だ。
「仲間を見捨てられない平凡な判断。もう一匹は同盟者達を助けに向かいましたか。残念ながら、あちらには『
「いいや、こっちは四対一だ。『
「おっと、そうでしたね。何にせよ、上々の状況です」
十二分に我が策の内とほくそ笑む『
「ええ。あなたが最後に残った。貴方に、
『
(剣に
「はっはっはっはっはあ! これで俺も準
何とはなしに自覚せず未練げな事を戦闘中にも関わらずふと思う『
「その俺に比べりゃあ……大したこともねえ助太刀だな。歯向かった以上敵だな、手柄首だな、ええおい!」
高揚した口調で牙を剥き吠える『
「はっ、借り物で調子にのりやがって……俺も人の事は言えないか? いいや、俺はこのチート野郎の力を自力で斬って奪って手に入れたぜ?ま、今立ててるのは貰い物の護符のお陰だが」
負けじと笑う立ち上がった男。『
「助太刀する。が、ルマはまだ目覚めん。助けたいというのだろうが、俺たちも民の命を預かる
「助太刀は喜んで。けど……生き延びてください。生き延びさせます。そうしないと、『
ギデドス・マテラ・シュム・アマトが、立ち上がった。リアラが護符を使った時に、
「なに、その心配は無用ですよ。何故って? ここで殺すからです。ええ、出来れば風評被害だけでじわりじわりと真綿で首を絞めるように殺りたかかったですし、無粋ですが仕方ありません。さあ皆さん、殺しますよ!」」
「応!!」「……『
無駄だと『
同時、第二
「うわわっ……!」「き、来た……来やがった……!」
『
「落ち着け! あれは出会い頭の事故だ、〈布陣・王手飛車取〉!」
それでも軍師も兼ねる『
〈王国派〉が始めた〈
その認識に縋り付いて陣形を、ルルヤが自由な回避起動を取れば魔法攻撃の流れ弾が後方の仲間達目掛けて飛ぶ狡猾で陰湿な形に叫び立て直させる『
何となれば、正にエクタシフォンの戦いでは〈長虫〉との戦いを互角に渡り合っていたはずの〈超人党〉で見た目がもっともそれらしいがゆえに著名な『
「やれやれ……リアラちゃんと一緒じゃなくて、いいのかよ?」
「……私もそうしたかったが、敵の狙いが、な」
だがルルヤの表情にも余裕はない。
その先を、全力で凝視し続ける。その、先とは。
「馬鹿者共が、小娘相手におたおたしおって……」
「リンシア第二
重厚な騎士装束を覆う冷たい金属を思わせる容姿の壮年男性が一般
「ゼタ、マシナ……! お前達が僕達の周囲にねじ込んだ人員だろう、そいつらは……こっちがそっちの尻尾を掴めないレベルで僕らに何もさせていなかった癖に、そいつらにさせた事で白々しいでっち上げの内部告発を!」
リンシアの苦しい息の言葉を待つまでもなくそれが
連合帝国筆頭大臣にして
「私がリアラの安心ばかりを惜しんで向こうで二対三で戦う事を選んでいたらどうしていたんだ、貴様等」
「三対二でも、十分な有利だろう。【地脈】封じを計算にいれればましてな。それでも死ぬやつがいればそれは組織にて不要。我々がお前達の足元を堀り崩した後、三対二の戦いで消耗した所に悠々増援として加わり止めを指せばよい」
「そして何より過去のプロファイリングにおいて、ここで他の仲間の危険を看過する行動を取る可能性は極端に少ないと言えました。そうでしょう?」
「……ああ、そうだな、下種共め」
問いかけに対して冷酷にして冷静な回答を返す『
「ついでにいえば過去の戦いで、二対二より多くの数の比率で
「つまりこれで終わりという事だ。向こうの方が先に片付き、お前は弟子のカチ割られた生首を見ながらひとりぼっちで死ぬのだ。ルルヤ・マーナ・シュム・アマト、破壊工作、大量殺人、私戦、冒険者法違反、不法侵入、窃盗等において連合帝国法により、そして今はこの世界の正当な所有支配者となる
勝算は整えられた、我らの勝利、貴様等の敗北だと『
そして、変神が行われる。
『
「この手に取らん神の行い、我こそこの世の主人公!
ぶっ殺すぞ、豚共!
がたがた抜かすな、餓鬼共!
社会は借金の如く灼熱で身を焼き、
先達は先手必勝で閃光より早く動く。
『
その姿は巨大な雷の塊。それが空中に浮遊し、蠢き、うねり、不定形の目と口を持つ怪物の頭となる。
そして『
「この手に取らん神の行い、我こそこの世の主人公!
多数は大河の如く全てを磨り潰し、
慣習と前例は神と善の如し。
法律と契約は本能を消し去り、
おお、掟こそ王、此こそが我が
『
現れ出るは輝く宝石で作られた機械仕掛けの古代風鎧騎士とでもいうべき姿。背に羽、足に車輪、銃めいた槍と
そして二柱の
「よくもここまで抵抗を続けたものだ」
「貴様等は我等玩想郷の邪魔者、いやさ大敵だ」
「原始的な王政に留まる異世界人風情が。これは許されざる反逆行為です」
「この最終鬼畜布陣をもって貴様等の罪に我等が処罰を与える」
「「死ぬがよい!!」」
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